ガストで人を介さず「テーブル決済」、食い逃げ対策はあるのか? すかいらーくに聞いた安心の仕組み

ガストで人を介さず「テーブル決済」、食い逃げ対策はあるのか? すかいらーくに聞いた安心の仕組み

ガストやバーミヤンで食事をした後、伝票を持ってレジに向かい、前の人が終わるのをじっと待つ。ひと昔前まで当たり前だった手間が省けるサービスが浸透しつつある。すかいらーくホールディングスが提供する「テーブル決済」だ。

 店員を介さずに卓上のタブレット端末で会計を済ませることができ、食事を終えたら、席に座ったままタブレットを操作して決済を行い、そのまま「ごちそうさまでした」と店を出られる。

 実際に体験すると、便利でスマートだと感じる一方で、初めてこのシステムを利用したときは「本当にこのまま店を出てしまっていいのだろうか」「店員さんに食い逃げのように思われないだろうか」と不安になった。筆者と同じように妙なソワソワ感や落ち着かなさを感じた人もいるだろう。

 テーブル決済は、すかいらーくホールディングスが店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進するなかで生まれたサービスだ。もともと分厚い紙のメニューに置き換わる形で全店舗に設置した卓上タブレットを、注文だけでなく最後の会計にまで活用しようという先進的な試みだ。

 すかいらーくグループ広報によると、2023年4月からこのシステムの展開を始め、現在約2500店舗にまで拡大している。対象ブランドもガストやジョナサンをはじめ、バーミヤン、しゃぶ葉、夢庵、ステーキガスト、むさしの森珈琲、から好し、とんから亭、La Ohana、桃菜と非常に幅広い。これほど大規模に店員を介さない会計を展開する裏には、一体どのような安心の仕組みが隠されているのだろうか。

 すかいらーくホールディングス広報への取材で見えてきたのは、誰もがパッと見て分かる直感的な仕掛けと、現場スタッフの細やかな気配りの組み合わせだった。

決済完了で画面が赤く 店員が遠くからでも一目で判別できる工夫

 まず、テーブル決済の具体的な手順について、ガストを例に出しておさらいしよう。食事が終わり、タブレットのトップメニューから「注文履歴」をタップする。注文履歴が表示されたら、自分が頼んだメニューや個数、金額がきちんと合致しているかを確認し、右上の「テーブル決済へ進む」をタップする。続いて支払い方法を選択する(今回は、「PayPay」を利用するため、「コード決済」という項目を選んだ)。コード決済サービス名を選択すると、画面の中央に会計用のQRコードが表示される。

 それを手持ちのスマートフォンのカメラや決済アプリで読み取るだけで、全ての支払いが完了する。なお、画面右下にある「お会計を中止する」を選ばずに決済を完了してしまうと、後からキャンセルができないため、注意したい。最後に、退店前にテーブルに置かれた伝票を入り口付近の専用ボックスに入れれば、全ての手続きが終わる。

 とても簡単でスムーズな流れだが、ユーザー側の視点としては機械の操作だけで、本当に会計が済んだと店側に伝わっているのかという不安が少し残る。また、逆説的にこれほど簡単だと、食い逃げなどの不正につながらないのかと心配する声もあるだろう。この素朴な疑問に対し、すかいらーくグループ広報は「会計が終了するとテーブルの端末の画面が赤くなります。また、店内に設置してある管理ボード上に『お会計済のテーブル番号』が表示されます」と回答した。

 決済が完了した瞬間に、今までメニューを表示していた卓上端末の画面が、はっきりとした赤色に切り替わる。この視覚的な仕掛けこそが、最大の安心ポイントといえる。フロアを歩くスタッフは、遠くからでもあのテーブルは無事に会計が終わったと一目で判断できる。派手なブザー音を鳴らして客を急かしたり、周囲の注目を集めたりするのではなく、色という非言語情報で店内のスタッフに共有するわけだ。

DXが進んでも「最後は人の目」 誤解を防ぐための運用ルールとは?

 現場で起こるイレギュラーな事態への対応も気になるところだ。例えば、食事の途中でトイレに立った隙に、会計済みだと勘違いされてお皿を片付けられないかという不安もある。これについて広報は、「お客さまの離席と退店の区別は端末画面で確認をするように運用ルールを作成・運用しております。また、未会計かどうかの判断はお客さまへのお声がけを行うことや、テーブル状態を確認していくように意識しております」と回答する。

 さらに、お皿を下げるタイミングについても「お客さまのお会計が終了しているか否かの区別は端末画面で確認をするように運用ルールを作成・運用しております。また、食器をお下げする際は、着席されているお客さまへのお声がけ『こちらの食器をおさげしてよろしいでしょうか』などを実施しています」と説明する。

 つまり、赤い画面のみに完全に頼るのではなく、最後は必ずスタッフの目と声かけを挟むように運用しているというわけだ。DXをどれだけ推し進めても、外食産業が大切にしてきたホスピタリティの基本である一言を省かない。これこそが、客側の「誤解されたらどうしよう……」という不安を払拭する配慮となっている。レジに固定される業務が減った分だけ、スタッフがフロア全体やテーブルの様子をしっかり見守る余裕が生まれ、結果としてサービス向上につながっているのも見逃せない。

「アラート機能」もあるが、詳細は非開示

 では、意図しない未会計のままの退店、いわゆる食い逃げに対してはどのような対策を講じているのだろうか。この点について広報に尋ねると、「アラート機能はございますが、詳細は差し控えさせていただきます」という回答を得られた。

 ここは、むしろ具体的な回答がないのが自然だ。仮に企業側が具体的なシステムの防犯内容を全てオープンにしてしまうと、客側が「システムの穴をかいくぐってしまい、本質的な対策にならない」ためだ。顧客の性善説だけに頼るのではなく、見えないところでテクノロジーがしっかりとガードレールを敷いていると考えられる。

 現在、テーブル決済で利用できるキャッシュレス決済サービスは多い。広報によると「バーコード決済は、PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ、メルペイ、すかいらーくアプリにひも付けたクレジットカード決済です」とのことだ。重たくカバンやポケットの中でかさばりやすい財布を出さずにスマートフォン1つで支払いが完結する体験は、いまや日本の外食インフラとしてすっかり定着した感がある。

 客がおいしい食事を終えて席を立つとき、タブレットに表示される赤い画面。それは、店側と客側の双方が「食事と会計が済んでいる」ことを把握できる、まさに証拠物ともいえる。今度すかいらーくグループのお店へ行ったときは、ぜひこれらの仕組みと、それゆえに確かな安心につながることに注目してみてほしい。

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