釣りの親子が生きた“幽霊”イカ発見・回収 南房総市の富浦新港 博物館で標本に
南房総市の富浦新港で21日、市内の子ども園の園児が深海に生息するユウレイイカを生きている状態で見つけた。普段、人が目にする例は少なく、博物館に目撃情報が寄せられるのは十数年に1度程度。生きた状態で回収されるのは珍しいという。即日、勝浦市の博物館に提供され、標本として活用されることになった。
ユウレイイカを見つけたのは、武半(たけば)朔弥さん(4)=同市富浦町青木=。父の琢也さん(32)に連れられ、魚釣りをしていたところ、港につながれていた漁船近くの海面に、プカプカと浮いているイカを発見。タモ網ですくいあげた。
琢也さんは、普段釣りあげるアオリイカやコウイカなどとは違う見慣れないイカだったため、その場でスマートフォンで検索。画像ではユウレイイカに見た目が似ているように感じた。
自宅に持ち帰り、海水を入れた発泡スチロールに移した。エアレーションで水中の酸欠防止にも気を配ったが、「動きが少なく、弱っているように見えた」という。
連絡を受けた県立中央博物館分館「海の博物館」(勝浦市)の柳研介主任上席研究員が、送られた画像でユウレイイカと確認した。
柳さんによると、本州中部以南の水深数百メートルに分布。房総半島沿岸の深海にも生息しており、まれに打ち上げられた個体が見つかることはあるが、人の目に触れることはあまりなく、同館に情報が寄せられるのも十数年に1度程度だという。耳が丸く、臓器が見えるほど胴体が透明で、足先が赤みを帯びているのが特徴。光を発する器官(発光器)が目の周りや足、臓器についており、外敵から身を守る「カウンターシェーディング」の役割があるとされている。
柳さんは「今回の個体は、何らかの原因で浅瀬に上がってきたのではないか」と推測する。
武半さん親子が見つけたユウレイイカはこの日のうちに同館に引き渡され、標本づくりの処置が始められた。同館は、資料として保管することにしている。
琢也さんは「貴重なものだとしても弱っているし、どうしたらいいものか」と一時は頭を抱えたが、博物館で活用されることになり、胸をなでおろしていた。
