「新NISAで儲からない」は当たり前? 元外資系証券マン・杉村太蔵が『オルカン』『S&P500』を投資として認めない、納得の理由《人生100年時代の投資術を伝授》
〈“10年で株価10倍”もあり得る…「赤字続き」で配当がないのに投資家たちが大注目、元外資系証券マンの杉村太蔵も熱視線を送る「新興企業」とは?〉 から続く
「新NISAはもうからない」「1回の飲み会を我慢したほうが確実」――。
人生100年時代を見据え、多くの人が投資への関心を高めている。その入り口として人気なのが「オルカン」や「S&P500」といった投資信託だが、元外資系証券マンの杉村太蔵氏はこれらを投資として認めていないという。その理由とは?
杉村太蔵氏の新著『 杉村太蔵の推し株「骨太」投資術 』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。
杉村太蔵が「オルカン」「S&P500」を「投資」として認めないワケ
今までは、65歳まで働いて、現役時代に貯めたお金や退職金、わずかな年金で、何とか80歳〜85歳まで走りきる――それでよかった。でも、これからはそういう時代じゃない。そこからさらに15年、20年、寿命が延びていく。となれば、現役時代にいくら貯金しても、100歳までもたせるのは簡単じゃないですよね。
だからこそ必要なのは、“100歳まで生きる”ことを前提に投資をしっかりやらないといけない。これが、まさに私がこの本で強調したいことです。
「新NISAで『オルカン(オール・カントリー)』や『S&P500』に投資してみたけど、そんなにもうからなくね?」
「300万円投資して、5%の利回りが出ても、年間15万円の利益。ありがたいけど、これって1カ月で割ったら1万2500円の利益。だったら、1回の飲み会我慢したほうが確実じゃない?」
といった心の声が、新NISAが2024年1月からスタートして、そろそろ丸2年目となる今日この頃、少しずつ聞こえてきているわけです。
「オルカン」とは、全世界の株式の指数に連動する形で投資する投資信託です。それに対し、「S&P500」は、同様にアメリカの株式の指数に連動した投資信託です。信託報酬も安く、分散投資できるため、新NISAを利用した投資として多く利用されています。
たしかに、リスクを限りなく減らして、確実性を高める「資産形成」の手段としては、新NISA枠で「オルカン」は有効であることは間違いありません。でも、それって本当に「投資」と呼べるのか? はっきり言って、私に言わせればそれは投資ではなく「貯金に毛が生えたようなもの」で、決して「投資」とは言えません。
杉村太蔵が考える「資産形成」と「投資」の違いとは?
皆さんにまずは投資について理解してもらうため、「資産形成」と「投資」の違いについてご説明したいと思います。
「資産形成」とは何か。ひと言でいえば、「自分のためにお金を守り、積み上げていく行為」です。たとえば、老後資金をコツコツと作っていくこと。子どもの教育費を着実に積み立てていくこと。これはすべて資産形成です。ですから「S&P500」や「オルカン」のインデックス投資で毎月定額を積み立てるのも、資産形成の代表的な方法でしょう。
これは、いわば「貯蓄家」としての姿勢です。ローリスク・ローリターン。時間と分散を味方にして、20年後、30年後に確実にお金が残っている状態を作る。それが目的です。自分の人生を守るための経済的な防御。これが資産形成の本質です。
一方、「投資」とは何か。それは本来、「自分のお金を、社会をよりよくする使命感から投ずる行為」です。非常にめんどうな言い方ですが、まさにこの言葉どおりなのです。
もちろん、自らの大切なお金を自らリスクを取って、社会をよりよくする使命感に燃えて資産を投じるわけですから、リターンは高く帰ってこなければなりません。未来を信じて成長に賭ける。これは資産形成とはまったく異なるスタンスです。まさに「推し」がビッグになれるよう応援する、「推し活」と似た行為ですね。
繰り返しになりますが、「資産形成」は、老後の安心、家族の生活、将来の不安を取り除くために行うもの。それに対して「投資」は、この社会の未来を信じ、価値ある会社にお金を託すことで、その成長を応援する。そして、そのうえでしっかりと利益を出すということです。
『ライフシフト』が示す「人生100年時代」に向けて、私は、まずはすべての人に、しっかりと資産形成をしてほしいと考えています。自分を守る土台を作ること。自分の生活を安定させること。これはもちろんとても大切です。
でも、それだけでは、「やっぱりおもしろくないですよね?」というのが本書の大事なポイントのひとつです。お金は守るだけではなく、使ってこそ意味があります。「推し活」と同様に、我々一人ひとりが、社会をよりよくしていこうと考え、その視点から同じように努力している企業を探し出し、大切なお金を投じることで、投資家は社会の重要な構成員として、未来にコミットしていくわけです。
