「怖がりすぎた」資産5億円あっても“幸せではなかった”老後。80歳男性が最期に残した後悔
全額を現金で引き出した理由
ある日、林さんは窓口でこう言いました。
「もう全部やめたい。投資は全部解約してください」
相場は落ち着いていましたし、急いで動く理由はありませんでした。それでも林さんは、現金で持っていた方が安心できるからと繰り返しました。
数日後、大きな額の現金を受け取りに来た林さんの姿は、正直、異様でした。分厚い封筒を抱え、何度も中身を確認し、周囲を気にするように視線を動かしていたのを覚えています。
そこにあったのは合理的な判断ではありません。ただ失うことへの恐怖だけが、林さんを支配していました。
残された5億円と、最期の言葉
林さんは80歳で亡くなりました。
資産は、ほとんど減っていませんでした。帳簿上では、最期まで5億円近くが残っていたと聞いています。
そのお金は、ほとんど使われることがありませんでした。旅行にも、趣味にも、人との時間にも。守るために存在していたようなお金です。
亡くなる少し前、林さんはぽつりとこう漏らしたそうです。
「怖がりすぎたな」
その一言が、すべてを物語っています。
残ったのは5億円ではありません。使うことができなかった人生、そのものだったのだと思います。
お金を守りすぎた結果、失ってしまったもの
林さんの人生において、お金を増やすことが間違いだったとは思いません。問題だったのは、お金を失うことを恐れ、守ることだけに意識が向き、使うという選択肢が消えてしまったことです。
結果として、失ったものはお金ではありません。取り戻せない時間や、本当なら味わえたはずの経験でした。
お金は残せても、人生は残せない。
では、今あなたが大切に守っているそのお金は、何のためのものなのでしょうか。
