国連が車の自動運転に安全基準、「レベル4」想定し熟練ドライバー並みに…6月策定の原案判明

国連が車の自動運転に安全基準、「レベル4」想定し熟練ドライバー並みに…6月策定の原案判明

国連が策定を進める車の自動運転に関する安全基準の原案が判明した。特定条件下でシステムが全ての運転操作を行う「レベル4」までを想定したもので、熟練ドライバーと同等以上の安全レベルを有することを求め、走行記録装置の設置などを義務付ける。一般道を含む全ての道路で適用される初の包括的な国際基準となる。6月の策定を目指す。

 現在、レベル4に対応する車については、量産に必要な審査を行うための詳細な国内基準はない。国連の基準はその「ひな型」となるもので、量産化に向けて弾みがつく可能性がある。

国連欧州経済委員会の傘下の専門会議「国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」で基準作りを進めており、日本は欧州などと議論を主導してきた。ジュネーブで今月開かれた関連会合で基準の原案が示され、大筋で了承された。

 WP29はこれまで、車両の構造や装置に関する国際基準を多数策定している。自動運転関連では高速道路に限定した基準が定められているが、一般道を含めた包括的な基準はなかった。

 原案では、車両に搭載される自動運転システムについて、「有能で注意深い人間の運転者と同等以上の安全レベルを求める」と明記した。メーカーに厳格な数値目標を課さない一方、模擬計算や実際の環境での走行試験などにより、システムが原因で被害が生じるリスクが十分に低いことを証明するよう求めている。

 また、走行中の速度や周囲の人や物との距離、カメラ画像などのデータを記録・保存する装置の設置を義務化する。走行中に起きた重大事故や、通信障害など深刻な問題が発生した場合はメーカーなどに当局への速やかな報告を求める。

 国連基準を採用した国同士では、輸出後に改めて試験をせずに販売できる「相互承認」の枠組みがあり、日本や英独仏、韓国、オーストラリアなど約60か国が参加している。日欧などを中心に国連基準を採用するための国内手続きを進める見通しで、枠組みの中で自動運転車の国際市場を形成できるメリットがある。

日本では、国土交通省が国連基準に合わせた国内の安全基準策定を進めるとみられる。詳細な国内基準ができれば、メーカーは自動運転車の量産に必要な審査を経て、国内販売だけでなく、国連基準を採用した国への輸出が期待できる。

 一方、自動運転技術の開発で先行する米国や中国が国連基準を採用するかは不透明だ。両国が独自基準を設けた場合、日本の自動運転車を輸出するには安全対策などをそれぞれの基準に合わせる必要がある。

 ◆自動運転=人の関与の度合いに応じて、レベルは1~5に分けられる。レベル4は区域や走行速度など一定の条件を満たした状況で、システムが車の運転に必要な認知、判断、操作のすべてを担う。2023年に福井県永平寺町の移動サービスが初めて認可されるなど、各地で実証実験や実用化が始まっている。

「完全自動運転」見据え国交省が安全性の検証を本格化…国際ルール策定の議論の主導目指す

寝そべったり、深く座ったり――。国土交通省が様々な乗車姿勢の安全性についての検証を本格化させている。見据えるのは将来の完全自動運転車の普及。衝突実験やコンピューター上の想定実験で得たデータを積み上げることで、国際ルールを策定する際の議論を主導する狙いがある。検証結果は既に、乗客が水平に寝られるバスの安全性ガイドライン作りにも生かされている。

ベッド型座席を備えた夜行高速バス「フラットン」は、高知市のバス会社「高知駅前観光」が導入し、昨年12月から高知―東京間での運行が始まった。前後2列の席が上下2段になる構造で、乗客は片道でほぼ半日がかりの道中を寝た状態で移動できる。週3回の往復便を運行する同社の担当者は「今までにない高速バスができた」と話す。すでに複数の同業他社から問い合わせがあるという。

 同月21日夜に帰郷のため、東京発の便に乗り込んだ横浜市の派遣社員の女性(47)は「これまでは座って眠っていたので首が痛くなって大変だった。これからはこのバスを利用したい」と喜んでいた。

人体への影響検証

 車内で水平に寝たり、背もたれを深く倒したりした状態で事故に遭った場合、座っている時に比べて人体への影響はどう違うのか。

国交省はこれまで、人形を使って衝突実験などを繰り返し、様々な体勢での安全性の検証を行ってきた。2024年11月には、ベッド型座席を備える高速バスの安全性ガイドラインを作成して公表。▽足が進行方向を向くような座席配置▽乗客が転落しないような転落防止措置を講じる――などが望ましいとした。フラットンはこのガイドラインに沿ったものだ。

 国交省は25年度、背もたれを深く倒した状態の安全性検証のため、コンピューター上での衝突想定実験を行っている。人形を使った衝突実験で、リクライニングの角度によってはシートベルトが腹部などを強く圧迫する可能性があることが分かったためで、今後も様々な角度で実験を行い、人体への影響を詳細に調べる方針だ。

データ積み上げ

 国内では現在、特定の条件下で人が運転に関わらない「レベル4」の自動運転が一部で始まり、全ての運転操作を自動化する「レベル5」の実用化に向けた技術開発も進む。全ての運転操作が自動化され、運転手も不在となる完全自動運転車内では、現在よりも自由で様々な乗車姿勢で移動することが想定されている。

 ただ、日本など主要国が採用する衝突時の安全性に関する国際基準は、前向きに座り背もたれが一定の角度であることが前提だ。寝た状態や後ろを向いた状態の基準はない。自動運転技術の進歩を受け、国連の専門分科会では安全性の国際基準についての議論が始まりつつあるが、策定には少なくとも数年単位の時間がかかるとみられている。

国交省では今後もこうした検証データを積み上げることで、将来、自動運転車の安全性に関する国際基準策定の議論が本格化した際、データなどを示して基準作りの議論を主導したい考えだ。

 国交省の担当者は「自動運転車の普及には、安全性の検証が欠かせない。将来、国際基準の提案をできるように検証を進めていきたい」と話している。

米国や中国ではすでに自動運転タクシーが運行

 自動運転のレベルは、運転操作の一部が自動化した「レベル1」から、システムが全てを担う完全自動運転の「レベル5」まで5段階ある。利便性向上や省力化などが期待され、国も技術開発を後押ししている。 政府資料によると、自動運転の実証事業は昨年3月時点で全国100か所以上で行われている。福井県永平寺町など7か所では、特定の条件下で人が運転に関わらない「レベル4」のバスなどが運行されている。

 国土交通省は、2030年度に自動運転バスやタクシーなどを1万台導入する目標を掲げる。米国や中国ではすでに自動運転タクシーが運行しており、開発競争は激しさを増している。

 自動運転は公道以外にも広がっている。全日本空輸と日本航空は昨年12月、羽田空港で航空貨物を 牽引けんいん する車両のレベル4での自動運転を開始。今後、他の空港にも導入する方針だ。

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