コメントにショック受けるチア学生も... 伝統の「大根踊り」でSNS投稿削除訴え、東京農大が明かした事情
箱根駅伝の名物にもなっている応援団の「大根踊り」について、東京農業大学は、勝手な撮影やSNS投稿は禁止しているとして、投稿を削除するよう公式サイトなどで呼びかけた。
ローアングルで撮るなど一部に悪意ある行為も見られるともいい、このままでは踊り手がいなくなってしまうと訴えている。一体どんな実態があるのだろうか。
■学生保護の観点から、無断での撮影やSNS投稿を禁止
太鼓のリズムに合わせ、学ラン姿の男子学生たちが、大根を両手に持って、上げたり下げたりする。チアリーダーの女子学生たちは、大根カラーにした「ポンポン」を代わりに持ち、同じように踊る。
男女とも、手の動きに合わせ、足を交互に上げるのが特徴だ。
伝統の大根踊りは、正式名を「青山ほとり」と呼び、東京農大の応援名物になっている。
同大が2年ぶりに出場した2025年1月2、3日の箱根駅伝でも、東京・大手町での往路スタート時には、久しぶりの大根踊りを披露し、集まった観衆を沸かせた。同大の公式Xも、大根は、農場を経営する大学OBに依頼して栽培してもらい、元日に学生数人が収穫したと明かし、当日の踊りを撮った写真もいくつか投稿している。
その後、6日になって、同大の公式サイトなどにお知らせが出て、大根踊りを撮った写真などのSNS投稿を削除するよう呼びかけたことが話題になった。
お知らせでは、「重大なお願いがございます」として、こう訴えた。
「東京農業大学では学生保護の観点から応援活動やその模様についての無断撮影および無断でのSNS投稿を禁止しており、会場でも大きく注意書きを掲示すると共に呼びかけをしておりました。全ての方の『大根踊り』に関するSNS上の投稿が悪意のある『悪質な投稿』とは考えておりませんが、削除をいただけますようお願い申し上げます」
公式Xでも、SNS投稿をリポストして紹介したケースがあったものの、後に影響を考えて削除しているという。そして、投稿削除を求める理由についても、次のように触れた。
ローアングルで撮るなど一部に悪意ある行為も
「皆さまに反響をいただいております『大根踊り』ですが担い手がいなくなってしまいますと箱根駅伝のみならず様々な行事等でも披露できなくなってしまいます。どれも反響のある投稿ばかりで悪意あるものはその一部と考えておりますが、学生保護の観点からご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます」
添付した「撮影・投稿禁止」の画像では、「ローアングルからの撮影」などは、固く禁止されているとして、こうした行為は、肖像権やプライバシー権を侵害する可能性があるとした。もし無断投稿が発覚した場合は、法的措置を取る可能性があると、全学応援団の顧問・相談役の総意として警告している。
この投稿は、大きな反響を集め、ネット上で拡散して、まとめサイトなどにも取り上げられている。
投稿へのリプライでも、様々な意見が寄せられている。同大の訴えに賛同する声が上がる一方、公共の場所で披露している踊りの撮影や投稿を禁止することの根拠について疑問を投げかける向きもあった。
無断撮影・投稿をしないよう呼びかけた理由について、東京農大の企画広報課は1月8日、J-CASTニュースの取材に対し、「その投稿に対して寄せられたコメント等の事後のリアクションにより精神的苦痛を強く受けた学生がいます」と説明した。
今回の箱根駅伝でも、無断で撮影してSNS上で投稿するケースがあったという。この投稿者に対しては、大学が削除依頼を行い、学生への波及的な影響を説明して削除してもらったとした。投稿者に削除依頼したのは、初めてだという。
「精神的に深く傷つき、応援から離脱した学生も」
無断で撮影したり投稿したりする行為は、24年の箱根駅伝や地域イベントでもあり、「その投稿に対するコメント等リアクションにより精神的に深く傷つき、以降の応援活動から離脱している学生もおります」と明かした。また、応援団に所属する学生から、ネット上の投稿への削除希望、精神的苦痛に関する相談も多数あったという。また、「チアリーダー部を撮影した『悪質な投稿』がより増えてまいりました」とも明かした。
撮影や投稿の禁止について疑問視する声が出ていることについても、禁止の根拠を説明した。
それによると、応援団は、関東陸連が作成した実施要領などに基づき、陸連が定めた場所で活動しているという。「公共の道路で勝手に応援しているわけではございません」として、「公共性の高い大会であることは認識しておりますが、指定された私有的空間にて行われる応援活動について、撮影等に必要範囲内の規制を行う事は、学生保護の観点から必要性・緊急性を伴う正当性があると判断しています」と理解を求めた。
現時点では、法的措置を検討しているケースはないという。
