メモリ不足で来年はパソコン高騰が確実。各BTOメーカーが早めの購入呼びかけで受注停止になる事態に
パソコン用のメモリやSSDなどの価格上昇を受け、BTOメーカー各社が「なるべく早めの購入を」と呼びかけた結果、注文が殺到。その受注増により、受注停止や出荷遅延をメーカーが告知する事態となっております。
背景には、AIデータセンター向けのHBMなど高付加価値メモリ需要の拡大により、工場の生産がそちらに割り振られてしまい、結果として一般向けメモリの供給が逼迫(ひっぱく)していることがあります。
ココがポイント
メモリ品薄激化でPCメーカーから「想定を上回る注文」の悲鳴続出。“値上がり懸念”からの駆け込み需要か
産大手のSKハイニックスが消費者向けDRAMの不足は少なくとも2028年まで続く可能性があると警告した、との内部報告
出典:オタク総研 2025/12/16(火)
エキスパートの補足・見解
メモリの値上げは10月ごろから始まってきており、その価格は安い時期と比べて3倍や4倍にもなろうとしています。
その結果、今後の仕入れコスト上昇が避けられず、あわせてパソコンの価格が上昇することが見えています。そのため、BTOメーカーが早めの購入を呼びかけたという流れです。
すでに多くのメーカーでBTOパソコンやゲーミングPCの値上げ、搭載されるメモリの容量の削減などが行われていますが、その価格は以前と比べて割高な水準に達しています。
このメモリ不足が解消するのは2027年とも2028年とも言われており、それまではパソコン価格は高止まりする可能性が高いです。今からパソコンを購入しようと考えている人は、かなりの出費を覚悟しなければなりません。
正直なところ、メモリの価格がいつ落ち着くかは読めません。現在の状況はパニック買いのせいだとも言われていますが、海外報道では2026年のメモリ生産枠はすでに完売しているという話もあり、少なくともここ1年は大きく値下がりするとは思えません。
消費者が取れる手段としては、今あるパソコンの困っている部分だけをアップグレードしつつ、大事に使うということになりそうです。
メモリ高騰でパソコンが買えなくなるかも? 2026年はさらに値上がりする恐れ、いま買うべき理由とは
メモリ業界第3位のMicron社は12月3日、消費者向けブランドCrucialの販売を2026年2月までに終了すると発表しました。
あくまでも消費者向けの販売をやめるだけであり、企業への提供は続けられるものの、浮いたリソースはAIデータセンター向けのメモリ需要に充てるとしており、メモリの供給がこれまでより減ることは間違いありません。
AI需要の高まりにより、メモリの価格は2025年11月から高騰しています。そんななかで私たち一般消費者は、いつパソコンを買えば良いのでしょうか?
ココがポイント
Micron、AI需要ひっ迫で消費者向けSSD/メモリ事業撤退。Crucialブランド終了
出典:PC Watch 2025/12/4(木)
米ショップが苦渋のPC値上げ(中略)メモリ価格が6倍、SSD価格が2倍にまで高騰しており、価格改定が避けられない
出典:PC Watch 2025/12/1(月)
真のメモリ不足はまだ来ておらず、2026年前半に入ってから本格的に不足する可能性が高いと見ている
出典:ニッチなPCゲーマーの環境構築Z 2025/12/2(火)
SKハイニックスは来年DRAM生産量を8倍に増やす予定だが、それでもメモリ不足を緩和するには不十分
出典:自作ユーザーが解説するゲーミングPCガイド 2025/11/22(土)
エキスパートの補足・見解
結論から先に言うと、パソコンを買うのであれば「いま」です。
SNSでは「いつ買ったらいい?」という質問に対して、「いまは時期が悪い」と返すお決まりの流れがありますが、「いまは時期が悪い」のは本当です。しかし、これからさらに悪くなる可能性が高いです。
メモリメーカーのTeam社が警告しているように、2026年はさらにメモリが不足し、高騰する恐れがあります。
パソコンショップやBTOメーカーはメモリ不足を見込んである程度の在庫を抱えているため、いまであれば価格をいくらか抑えることができますが、メモリの仕入れ価格が上がれば販売価格も引き上げざるをえません。
というわけで、新しいパソコンが欲しいと思っているのであれば、いまが一番安い可能性が高いです。とくにRAMが64GB以上のスペックのパソコンが欲しい人は早めが良いでしょう。来年は同じ価格では買えないと思います。
ちなみに、いま購入しないのであれば、次に価格が落ち着いてくるのは2027年下旬とみられています。パソコンが欲しい一般消費者はいますぐ買い替えるか、状況が変わると言われている再来年まで待つかという選択を迫られています。
