「PS Vita」発売から14年 初期好調もなぜ苦戦

「PS Vita」発売から14年 初期好調もなぜ苦戦

ソニーの携帯ゲーム機「PS Vita(プレイステーション・ヴィータ)」が、14年前の2011年12月17日に発売されました。公式の出荷台数は非公表で、「CESAゲーム白書2023」では世界累計1581万台(推計)。前世代機「PSP」(約8000万台)と比べると、2割程度にとどまりました。日本では発売直後に品切れが続くなど初動は好調でしたが、欧米では大苦戦をする形になりました。それでも携帯ゲーム機が売れる日本では、2019年まで販売が継続されました。参考になる記事を振り返りながら、その歩みを整理します。

ココがポイント

PS Vitaは(略)5型の有機ELディスプレイを搭載し、携帯ゲーム機ながら、高画質なゲームが楽しめる事が話題

出典:AV Watch 2019/3/4(月)

高性能を売りにしたPS Vitaは、発売当初はゲームファンの受けが良く(略)スマホゲームの勢いに押される形

出典:河村鳴紘 2023/3/5(日)

ソニーが抱えている問題点は、グループ内の製品同士で機能が重なって競合するという奇妙な状態が継続され、解消される気配がない

出典:日本経済新聞 2012/2/15(水)

(SIE 吉田修平氏=当時)別途ゲームソフトを買わないといけない。スマホゲームの手軽さと比べるとハンディキャップがあった

出典:MANTANWEB 2018/9/22(土)

エキスパートの補足・見解

 失敗とされるVita ですが、登場時はメディアの注目度も高く、多彩な機能を盛り込んだ意欲作でした。

 当時はスマートフォンが普及し始めた時期で、競合する形になりました。これは任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」も同様で、同機の世界累計出荷数は前世代のニンテンドーDSのほぼ半分にあたる約7600万台にとどまりました。携帯ゲーム機全体にとって“冬の時代”でした。

 PS Vitaは欧米向けの本体出荷が2016年に終了しても、日本では2019年まで約600万台弱(ファミ通調べ)を販売しました。しかしゲームビジネスの主戦場である欧米では、据え置き型ゲーム機が優位。実際、ソフトメーカーからは「欧米では携帯ゲームのソフトが売れない」というボヤキを何度も聞きました。

 もっとも、携帯ゲーム機というスタイルが否定されたわけではありません。「ニンテンドースイッチ」や「Steam Deck」にも生きていますし、PS5の周辺機器「PSポータル」も疑似的な携帯機になります。スタイルに応じて遊び方を選べる時代になったと考えれば、PS Vitaは時代の転換点にあり、同時にゲームビジネスの難しさを示唆したと言えそうです。

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