「GmailのメールはAI学習に使われてる」は本当か?
先週、テクノロジー関連のヘッドラインをある懸念すべき主張が賑わせました。
SNSや一部のニュースメディアによると、GoogleがGmailユーザーのメールをひそかにGeminiとの共有設定に「オプトイン」させ、AIの学習に利用しているというのです。
この論争は大きな話題を呼びましたが、その多くは、一部の単語を大文字にしたあるX(旧Twitter)の扇動的な投稿から始まったようです。
騒動の発端は「スマート機能」設定の誤解
この投稿によると、状況を解決する唯一の方法は、ほとんどのユーザーが聞いたこともないであろう「スマート機能」という設定を無効にすることだとされました。
主張では、「スマート機能」はアカウント内の2箇所でオンになっており、Googleがこの設定をオンにすることで、AI学習のための「許可」を得たのだと示唆されています。
1つ目: Gmail、Chat、Meetを制御する場所
2つ目: より広範なGoogle Workspaceスイート(Workspaceアカウントを持つ場合)で有効にする場所
投稿では、Googleのプライバシーポリシーの一部が「動かぬ証拠」とされました。そのポリシーには、同社が「許可なく」ユーザーのWorkspaceデータを使用してAIモデルを学習させない、と書かれているためです。
この主張は額面通りに受け取られ、このXの投稿は執筆時点で約15万件の「いいね」を獲得。噂はインターネット全体に広く拡散しました。
Googleの公式見解:設定は変更していない
私は先週金曜日にGoogleに連絡を取り、これらの主張に関するコメントを求めました。その結果、Googleの広報担当者から以下の回答を得ました。
これらの報道は誤解を招くものです。弊社は誰の設定も変更していません。『Gmailのスマート機能』は何年も前から存在しており、当社のGemini AIモデルの学習にユーザーのGmailコンテンツを使用することはありません。最後に、弊社の利用規約やポリシーに変更を加える場合は、常に透明かつ明確に告知しています。
Googleの声明通り、「スマート機能」は何年も前から存在しています。実際、GoogleがBard(現Gemini)を最初にリリースする約3年も前の2020年に、米Lifehackerでもこの設定について記事にしています。
「スマート機能」の本当の役割とは?
主張する側にとって誤解されやすい点として、「スマート機能」がユーザーデータを使用してGoogleの機能を改善しているのは事実です。ただし、これはAIモデルの集団学習のためではありません。
「スマート機能」は、ユーザー一人ひとりのGoogle体験をパーソナライズするためにデータを使用します。具体的な例を見てみましょう。
Gmail: ユーザーの書き方を学習し、より適切なスマートリプライを生成する。
検索: 過去の検索に基づいてキーワードを提案する。
マップ: 予約したレストランの情報を表示するなど。
ウォレット: 興味に基づいたイベントのチケットを推奨する。
その他: スパムフィルターやメールの自動カテゴリ分けなど、Googleの主要機能を強化する。
誤った情報に惑わされず、自分で判断を
もちろん、Googleがあなたのデータを収集して個人体験をカスタマイズすることに抵抗があるなら、これらの機能をオフにすることは可能です。
しかし、何をオン/オフにするか理解することが重要です。「誰かがそう主張しているから」という理由だけで、それが真実になるとは限りません。
