「若手はCOBOLを学びたがらない」 60年前のコードが今も動く――英国の銀行システムを縛る“技術負債”

「若手はCOBOLを学びたがらない」 60年前のコードが今も動く――英国の銀行システムを縛る“技術負債”

「英国の銀行システムには、今も1960~1970年代に書かれたソフトウェアコードが使われている」――経営コンサルタント会社Baringaが英国の銀行員200人を対象に実施した調査では、回答者の16%が1960年代のソフトウェアを、約40%が1970年代に書かれたソフトウェアコードを使用し続けていることが分かった。約50%の回答者は、「退職間近の従業員数人のみが理解しているソフトウェアに依存している」と答えた。

半世紀前のコードが支える現代の銀行システム

 調査は、英国の銀行システムがレガシーな技術基盤に依存している実態を浮き彫りにした。同調査によると、38の金融機関がパンチカードなど、物理的なシステム上で動作するように設計されたコードを今も使用していると回答した。15%の回答者は、かつて販売されていた、部屋を占有するサイズのメインフレーム用に書かれたコードを稼働し続けていると答えた。

 現場からは切実な声も寄せられた。ある回答者は「銀行のATMネットワークは、パッチを当てた古いWindows NT系のサーバで運用している」と述べる。別の回答者は「主要銀行の基幹システムは1970年代に構築され、今もCOBOLを使い続けている」と明かす。COBOLは、税務当局、銀行、保険会社、住宅ローン会社などが使用する信頼性の高い金融、管理システムの頼りになる技術だった。

 ある金融機関の上級IT専門家は、1960~80年代のシステムを数多く扱ってきた経験から次のように語る。「古いシステムが長く使われたのは、シンプルで安定し、大量の単純取引を効率よく処理できたからだ。しかし今やレガシーなシステムの理解者は退職を控え、若手はCOBOLを学びたがらない。結果として、金融機関はこれらのシステムから徐々に離れざるを得ない状況にある」

 Baringaのポール・ミハイロビッチ氏(銀行および市場技術部門エキスパート)は「複雑な技術資産の中に古い技術が一部残ってしまうのは避けられない」と指摘する。「金融機関は巨大な組織であり、国全体で数百万の顧客にサービスを提供している。技術革新のたびにインフラを全面的に作り直すことは現実的ではない」

銀行が直面する2つのリスク

 ミハイロビッチ氏は、数十年前に書かれたコードを使い続けることで銀行が直面するリスクを2つに整理している。

・重要インフラへの深刻なリスク

特定の用途向けに運用されたシステムで長期間使用され、少数の高齢の専門家によって保守されているコードは、重要なインフラにとって重大なリスクとなる。維持できるのは少数の高齢専門家だけで、トラブルが起きても修復は困難となる恐れがある。

機敏性の欠如とコストの増大

・特定のレガシーシステムを維持するためだけに専門家を抱える状況が続けば、顧客ニーズの変化に素早く対応できない。維持コストも膨大になる。

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