話題の新モデル「Gemini 3」はビジネスをどう変えるか ユースケース一覧
Googleは最新のAIモデル「Gemini 3」を発表した。 同モデルは「推論能力において最先端のモデル」とされ、ユーザーのプロンプトの細かなニュアンスを読み取ることが可能だという。Googleはその性能を「驚異的」とうたう。併せて、Google Cloudは「エンタープライズ用 Gemini 3」として「Gemini Enterprise」および「Vertex AI」で同モデルが利用可能になったと発表した。
話題の「Gemini 3」はビジネスをどう変えるか
Gemini 3の特徴の一つが、広範なモダリティを対象にした理解力とされている。企業はこのモデルをどのように活用できるのだろうか。
Gemini 3は複数形式のデータに対応しており、レントゲン画像をはじめとする医用画像や顧客との通話記録、業務用機器のログなどの多様な情報を統合的に処理できるとGoogle Cloudは説明している。
法務関連資料や契約文書、調達業務に関する文書などを読み込んで、企業固有の情報に基づいた判断も支援できるという。
同モデルはエージェント型コーディングも得意としており、レガシーコードの移行やテスト工程の効率化、大規模コードベースの処理などに利用できるという。100万トークンのロングコンテキストに対応しているため、コード全体を読み込んだ解析が可能とも説明されている。フロントエンドの開発においては、単一のプロンプトで高い完成度のインタフェースを試作できる点が強調されている。
開発者向けの利用環境としては「Gemini CLI」や新プラットフォーム「Google Antigravity」が紹介されている。「Cursor」や「GitHub」「JetBrains」「Manus」「Replit」などのサードパーティツールでも「Gemini 3 Pro」が利用可能だという。
また、Gemini 3は複数ステップの作業や計画策定を扱えるよう調整されており、財務分野の計画作成、カスタマーサポート需要の予測、マーケティング施策の実行と予測なども想定利用例として示されている。ビジネスツール群との接続により、予算策定や顧客対応プロセスなど実務に関わることも可能だとGoogle Cloudは説明している。
Google Cloudはこのモデルを先行利用しているBoxや楽天グループなどの企業の声も紹介している。Boxの最高技術責任者(CTO)のベン・クス氏は「組織が膨大な非構造化データを生成し扱う中で、Gemini 3 Proは『Box AI』がお客さまの組織的知識を理解し適用する方法を変革する、新たなレベルのマルチモーダル理解、計画策定、ツール呼び出しをもたらしています」と述べ、顧客が「Box」に保存した非構造化データの活用に、同モデルが貢献している点を強調した。
楽天グループのAI for Business ジェネラルマネージャー、梶佑輔氏は「人が同時に話したり画像が不鮮明だったりといった実際に起き得る環境において、音声と視覚の両方を処理できる能力は、エンタープライズアプリケーションにおける優位性を確立しています」と述べ、同モデルが企業の課題解決に貢献する「驚異的な能力を発揮」しているとした。
