「iPhone Air」はもう生産終了!?〝薄いだけのiPhone〟にユーザーが興味を示さなかった理由

「iPhone Air」はもう生産終了!?〝薄いだけのiPhone〟にユーザーが興味を示さなかった理由

9月に発売されたiPhone Airは苦戦を強いられている。10月22日、Nikkei Asiaは「iPhone Airの生産発注量はすでに生産終了水準に近いレベルまで削減されている」(https://asia.nikkei.com/spotlight/supply-chain/apple-slashes-iphone-air-production-plans-boosts-other-17-models-sources)と報じた。iPhone史上最薄となる5.6mmのボディが大きな話題になったが、なぜユーザーは「薄さ」を求めなかったのか。その理由を考えたい。

iPhone 17とiPhone Air、明暗がくっきり

iPhone Airはかなり厳しい状況にある。Nikkei Asiaは次にように報じている。(以下、カッコ内はNikkei Asiaより引用。訳筆者)

「iPhone Airの生産発注量はすでに『生産終了水準』に近いレベルまで削減されている」

「Appleが複数の部品・モジュール供給業者に対し、iPhone Air向けの発注を大幅に減らすよう通知した」

「11月以降、iPhone Airの生産発注量は2025年9月比で1割未満」

「ほぼ生産終了モード」

など。悲惨な言葉が並んでいる。

Phone Airは、当初の生産計画では新型iPhone全体の約10〜15%を占める見込みだったにもかかわらず、「需要の低さ」により上記、方針転換がなされたそうだ。

今年、発売された新型iPhoneがすべてそうかというとそうではない。iPhone 17とiPhone 17 Proは当初の想定を上回っている。

「iPhone 17の生産を約500万台増産し、ハイエンドモデルのiPhone 17 Proについても追加発注を行っている」

これは特定の地域だけの話ではなく、全世界レベルの話である。

日本でも発売一ヶ月以上が経ち、多くのレビューが集まった今、概ね「今回はiPhone 17が当たり」という評判だが、どうやらそれは世界共通らしい。

なぜ、iPhone 17とiPhone Airの明暗はくっきりと分かれてしまったのだろうか。

「薄さ」以外の長所を訴求できず、コスパ悪なイメージ

iPhone Air最大の特徴は本体の薄さにある。

iPhone 17の7.95mmに対し、iPhone Airは5.6mm。その差、2.35mmはスペック上はわずかな差に思われるかもしれないが、手に触れるとその違いは一目瞭然。本体サイド部分の感触が、iPhone 17が「面」ならば、iPhone Airは「線」なのだ。この体験は、iPhone Air唯一無二のものになっている。

発売前は「iPhone 17 slim」など本体名称の噂があったが、蓋を開けると「iPhone Air」。ナンバリングからは外れた新たなラインナップとして、Appleは薄型スマホ”Airシリーズ”を世に送り出そうとしたのではと推測できる。

では、なぜiPhone Airは不評なのか。本体の薄さの代償として失った「バッテリー容量」か、はたまた「耐久性」への不安か。もちろん「価格」に対する不満もあるだろう。

iPhone Airの価格は15万9800円〜、標準モデルのiPhone 17が12万9800円〜。3万円の差で体験できる良さが「薄さ」だけならば消費者は当然、コスパが悪く感じるものだ。

しかし、1番の問題は消費者に「薄さ」の価値を訴求できなかった点にあるのではないだろうか。そして、それはスマホ業界が自分で蒔いた種だ。

近年、消費者はスマホの大型化を受け入れざるを得ない。

iPhoneシリーズは標準モデルは11以降、6.1インチが基準になり、17ではさらに大きく6.3インチになった。今から約10年前、iPhone 6〜8の頃は4.7インチだった。

カメラの構成化に伴って、背面部のレンズの出っ張りもいつしか当たり前になった。

コンパクトサイズのiPhoneもminiシリーズは13を最後に撤退。SEシリーズも今年、16eが発売したことで姿を消した。

ユーザーがどれだけ小さい/軽い/薄いスマホがいいと言っても、メーカーはその選択肢を用意してこなかった。これはAppleに限った話ではない。スマホ業界全体がそうなのだ。そして、ユーザーがスマホの巨大化を受け入れてきたタイミングで、「薄さ」を訴求されても今更感は拭えない。これまでスマホ業界が自ら切り捨てた「薄さ」は、すでにユーザーが求めるスマホの価値ではなくなっていたのかもしれない。個人的にはiPhone AirはAppleらしい魅力あるデバイスだと感じていただけにi減産のニュースは残念だ。

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「iPhone Air」減産報道の裏側 “薄さ”はスマホの進化を止める壁になるのか

2025年9月に発売されたiPhone Airについて、複数のメディアが相次いで減産を報じています。Nikkei Asiaは、関係者の話として、11月以降の生産受注が9月時点と比べて約9割削減されると伝えています。「ほぼ生産終了レベル」との見方もあり、大幅な縮小が見込まれているようです。

 著名アナリストのMing Chi Kuo氏も、自身のXで「iPhone Airの需要が期待を下回り、ほとんどのサプライヤーは2026年第1四半期までに生産能力を80%以上削減すると予想されており、リードタイムが長い一部の部品は2025年末までに生産中止となる予定です」と投稿しています。

 一方で、Apple Insiderは、投資銀行などの情報源をもとに「製造に減速の兆候はなく、当初計画通りに行われている」と報じるなど、情報は錯綜(さくそう)しています。また、iPhone Airは発売直後の購入層をターゲットとしていないため、時間の経過とともに安定需要を獲得する可能性も指摘されています。

 筆者自身、レビューのため短時間ながらiPhone Airの実機に触れましたが、薄くて軽いという点を含めて非常に魅力的な端末だと感じました。しかし、市場の反応については賛否が分かれており、その背景には、現代のスマートフォンが抱える構造的な問題が透けて見えるようです。

スマホの成熟によるニーズの変化

 スマートフォンの薄型化のブームは10年ほど前にもありましたが、当時は機能性よりも「技術力の象徴」としての意味合いが強かったように思います。薄さは洗練さの象徴であり、道具としての機能美を体現するものでした。しかし、スマートフォンがあまりに多機能になった今では、薄さを追求することは、むしろユーザーが求める機能との間にトレードオフを生む要因となっています。

 メールやチャット、動画視聴、ゲーム、写真撮影、決済、健康管理など、スマートフォンは今や生活の中心的なツールです。こうした使い方を考えれば、薄さよりもバッテリーの持ちやカメラ性能を重視するのは自然な流れです。

 iPhone Airが直面したのはまさにその点で、カメラとバッテリーという2つの物理的制約です。高画質なカメラには一定の厚みが必要で、薄型化を進めればセンサーサイズやレンズ構成に妥協が生まれます。同様に、バッテリー容量も筐体の薄さに反比例します。

 これらはユーザーにとって、最も妥協しにくいポイントでしょう。特にバッテリーは、1日中快適に使えることが基本的な要件となっており、薄さのために稼働時間が短くなることは受け入れがたいものです。カメラ性能についても、SNSへの投稿や思い出の記録において、従来のデジカメに代わるツールとなっており、その性能が製品価値を大きく左右します。

価格と機能のバランス

 iPhone Airのもう1つの課題は価格設定です。iPhone 17よりも高価でありながら、一部のスペックでは妥協を強いられる構成は、コストパフォーマンスを重視するユーザーには響きにくいでしょう。ベースモデルのiPhone 17の完成度が高く、多くのユーザーのニーズを満たしていることも、iPhone Airの立ち位置を難しくしています。

 プレミアム価格を支払うのであれば、全ての面で最高の体験を期待したいというのは消費者として当然のことでしょう。結果として、多くのユーザーにとって「薄さ」という付加価値は、バッテリーやカメラの妥協を正当化できるほどの魅力に映らなかったのかもしれません。

薄さと保護のジレンマ

 iPhone Airの象徴ともいえる薄さは、同時に実用面での悩ましさも抱えています。リセールバリューを考えればケース装着はほぼ必須です。しかし、それではせっかくの「Airらしさ」が失われてしまいます。

 これはiPhone Airに限らず、薄型スマートフォン全般に共通する根本的な問題ですが、せっかくの薄型デザインが保護のために隠れてしまうのは残念なところです。Pixelシリーズのように、ケースを装着することを想定してデザインしたという端末もありますが、薄型端末ではそうしたことも難しくなります。

 かつてスティーブ・ジョブズが語ったように、ケースやバンパーを着けずに裸で使えばいいのかもしれません。しかし、それを実行するにはスマートフォンは高くなりすぎ、「気軽に裸で持てる」時代ではなくなってしまいました。

スペック表では伝わらない価値

 薄型スマートフォンが不人気となる要因としては、実機を触らずスペック比較だけで購入を決める層が増えたことも挙げられるでしょう。オンライン購入が主流となり、店頭で実際に手に取る機会が減少しています。薄さや軽さといった物理的な魅力は、数字では伝わりにくく、実際に持ってみて初めて実感できる価値です。

 短時間ながらiPhone Airに触れた際、その薄さや軽さは確かに印象的でした。しかし、そうした体験をせずにスペック表を眺めれば、どうしてもバッテリー容量やカメラ性能といった欠点の方が目に付いてしまいます。こうした体験価値をどう伝えるかは、今後のプレミアムデバイスにとって重要な課題になりそうです。

薄型スマホの未来はどうなる?

 iPhone Airの減産報道は、「薄さ」そのものの価値がなくなったことを意味するわけではありません。むしろ、多機能化が進むスマートフォンの中で、どこまで「軽さ」や「持ちやすさ」を追求できるのかという、難しい課題を改めて示した出来事だといえます。

 現時点では、カメラやバッテリーといった物理的な制約の中で、薄型化を進めることには限界があります。しかし、技術の進歩によって、その壁を超えられる可能性も十分にあります。

 また、全ての人に向けた「主流モデル」ではなく、特定の価値観を重視するユーザーに向けた端末として、薄型スマホが再評価される余地もあります。例えば、「軽くて持ちやすい端末が好き」「ポケットを圧迫したくない」といったユーザーにとっては、iPhone Airは今でも魅力的な存在のはずです。

 薄さという価値が評価される日が来るかどうかは、これからの技術革新と消費者の嗜好(しこう)に委ねられています。そして、その行方こそが「スマートフォンの次の10年」を占う試金石になるのかもしれません。

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