「中国外交部ジェネレーター」話題 ツールが同時多発、SNSは大喜利に 台湾現地メディアも反応
高市早苗総理が11月7日の衆議院予算委員会で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と発言し、それを撤回しないことを受け、中国外交部は13日から15日にかけてXで「台湾問題で火遊びをするな」などと警告する画像を複数公開した。強気な言葉遣いもあって投稿は政治的な議論につながっているが、SNSでは投稿をちゃかす動きも。例えば、中国外交部の投稿を模した画像ジェネレーターが同時多発的に生まれ、日本で話題になっている。
中国外交部は13日以降、赤黒い背景に白・黄色の文字で警告文を書いた画像を複数投稿。「日本は再び軍国主義の過ちを繰り返すつもりなのか」「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」といったメッセージを日本語と英語で発信した。14日には、中国国防部も青地に白・黄色い文字の画像で同様の警告を投稿した。
XやThreadsなどのSNSでは外交問題として議論が繰り広げられている一方、苛烈な言葉選びや視覚的なインパクトを面白がるユーザーも続出している。オリジナル画像と同様の背景に好きな文字を入れられるジェネレーターもいくつか同時多発的に誕生。これらを使ったパロディー画像の投稿が相次ぎ、半ば“大喜利状態”になっている。
例えば、フィクションのあらすじやネットミームを入力した投稿が見られる。ジェネレーターによっては、背景を中国外交部と中国国防部のもので切り替えられる機能も用意されている。
一連の動きは台湾現地メディアも報じている。例えば現地メディア「自由時報」は、パロディー画像の流行を取り上げ、日本だけでなく台湾でも「反共ミーム」として拡散していると報道。「日本と台湾のネットユーザーになじみのあるミームが盛り込まれている」といい、Web版では日本のXユーザーの投稿も引用している。
「粉骨砕身」意味間違い、「ジェネレーター」登場で大喜利状態 日台ネットで「おもちゃ」にされる中国政府
日本を批判する中国政府のX投稿が、「ネットミーム化」の兆しを見せている。
■「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」
【画像】「粉骨砕身」の意味とは
ネット上の発火源は、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事による高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁について、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」(原文ママ・以下同)とした投稿だった。
薛氏は9日夕方までに投稿を削除した一方で、「中国内政への干渉、国家主権の損害、台湾両岸統一の妨害などは一切許さい」(原文ママ)などと主張。このほか、自身の主張を支持するような投稿をリポスト(拡散)し波紋を広げた。
中国外務省は13日、孫衛東外務次官が日本の金杉憲治・駐中国大使を呼び出して「厳正な申し入れと強烈な抗議」を行った。対する日本の外務省は14日、呉江浩・駐日中国大使を呼び出してSNS投稿に関して抗議。
こうした対応に中国側は中国国民に対して日本への渡航を控えるよう注意喚起するなど、日中の外交関係は悪化している。
「必ず中国人民解放軍の鉄壁の前で 粉骨砕身になり...」
こうした中、SNSでは中国国防省報道官や中国外交省報道官による日本語の「警告」投稿が注目を集めている。
人民解放軍の公式報道アカウント「China Military Bugle」は14日、青い背景に白い文字で「日本側が歴史の教訓を深く汲み取らず、あえて危険な賭けに出たり、更には軍事的に 台湾海峡情勢に介入したりすれば、必ず中国人民解放軍の鉄壁の前で 粉骨砕身になり、多大な代償を払わなければならない。」とつづった画像を投稿した。
「力の限り懸命に働くこと」を意味する「粉骨砕身」を、文字通り「骨や身が砕けること」という意味で使ったと思われるポストに、面白がる声が上がった。
こうした警告投稿は、中国外務省報道官(CHINA MFA Spokesperson)の公式Xでも投稿されている。
こちらは赤と黒のグラデーションがかかった背景に、白とオレンジ色の文字で主張をつづった画像ポスト。日本語および英語でのポストがセットになっている。
13日の投稿では、「日本は再び軍国主義の過ちを 繰り返すつもりなのか 再び中国人民とアジア人民を 敵に回すつもりなのか 戦後の国際秩序を 覆そうとしているのか"」と主張。「中国外交部報道官 2025年11月13日」の署名が添えてある。
続く投稿では、「日本が台湾海峡情勢に 武力介入すれば 中国は必ず 正面から痛撃を加える」。「われわれは 日本に告げる 台湾問題で 火遊びをするな 火遊びをすれば 必ず身を滅ぼす」としている。
日本をはじめとする各国のXユーザーらに釘を刺すような文面が並ぶが、SNSではこれを面白おかしく受け止める声が上がった。
「たけのこ派に告ぐ チョコの量が多い きのここそ至高である」
Xでは、赤地の背景に白とオレンジ色の文字で、思い思いの主張をつづるユーザーらが続出した。
近代地歴の解説動画を投稿しているYoutuber・破綻国家研究所さんが15日、「例のアレ、ジェネレーターを作ってみた」として「大判焼外交部ジェネレーター」を公開すると、さらにこの流れは活発になった。誰でも簡単に「中国外交部報道官風」の画像を生成できるとして、複数のユーザーらが"ネタ投稿"を行っている。
政治関連の主張を投稿するユーザーらのほか「たけのこ派に告ぐ チョコの量が多い きのここそ至高である」と「きのこたけのこ論争」をめぐる投稿や、「全男性に告げる どんな理由があっても 百合の間に挟まるな 挟まれば全世界が 必ずお前を滅ぼす」といった主張もある。
個人サイトの日記投稿をベースとして流行したネットミーム「吉野家コピペ」をもじった投稿も注目を集めた。
台湾の国家安全会議の呉釗燮(Joseph Wu)秘書長も16日、英語で「中国は平和を愛すると主張しながら 台湾を脅迫し フィリピンをいじめ 日本に攻撃する これは単なる覇権主義だ」とつづった。
思わぬ流行に、台湾のユーザーは「お前ら(私も含む)有名人やんwwww (台湾メディアより)」と反応。日本のユーザーからも「まさか中国外交部も人民解放軍もネットミームになって遊ばれるなんて夢にも思わなかっただろうな」「世界よ、これが日本だ」などと面白がる声が上がっている。
