グーグル系Waymo、ついに高速道路へ--自動運転タクシーが米3都市で「時短」実現

グーグル系Waymo、ついに高速道路へ--自動運転タクシーが米3都市で「時短」実現

自動運転技術を手掛けるWaymoは、ドライバーのいない自動運転での乗車サービスを高速道路に拡大する。これにより米国時間11月12日から、サンフランシスコ、フェニックス、ロサンゼルスの乗客は、目的地により早く到着できるようになる。

 Googleの親会社Alphabetの傘下企業であるWaymoは、現在5都市でロボタクシーサービスを運営しており、今後も拡大する予定だ。電気自動車「Jaguar I-Pace」で提供される同サービスは、これまで一般道に限定されていた。高速道路を利用することで、乗客はより短いルートで素早く目的地に移動できる可能性がある。Waymoは従業員による高速道路での走行テストを1年以上にわたって実施しており、2024年5月にはその走行の様子を収めた独占映像を米CNETに提供した。

 現時点で高速道路を利用できるのは、Waymoの最新サービスや機能への早期アクセスにオプトインした顧客のみに限られる。その後、より多くのユーザーへと段階的に展開していく。

 筆者は先週、サンブルーノ近郊で一足先に高速道路での走行を体験し、Waymoが高速走行という環境にどのように対応するかを直接確かめた。車両はランプの合流や分岐をスムーズにこなし、車線変更を行い、人間が運転する周囲の車とペースを合わせて走行した。実際、筆者は自分が何か並外れた体験をしていることをすぐに忘れ、まるでごく普通のライドシェアサービスを利用しているかのように感じた。

 Waymoの自動運転技術は、混雑状況、所要時間、工事といった要因に基づき、目的地までの最適ルートを判断する。

 「高速道路を利用することで移動時間が著しく短縮される場合、そのルートが提案される」。WaymoのUX研究者であるNaomi Guthrie氏はブリーフィングでそう語った。「時間をかけて、当社のサービスを展開する各都市で、より多くの乗客に段階的にこの機能を提供していく」

高速道路での自動運転に特有の課題

 技術的に言えば、Waymoにとって高速道路の走行は目新しいことではない。実際、まだGoogleの自動運転車プロジェクトとして知られていた最初期から、すでに行っていた。

 「2009年にプロジェクトを開始した当初、われわれの最初の自動運転テスト走行は高速道路で行われた」と、Waymoの共同最高経営責任者(共同CEO)であるDmitri Dolgov氏はブリーフィングで述べ、当時はそれが最も着手しやすい方法だったとした。「高速道路の運転は、学ぶのは非常に簡単だが、バックアップする人間のドライバーなしで、大規模かつ完全な自動運転という話になると、習得するのは非常に難しいものの1つだ。そのため、システムの安全性と信頼性に重点を置き、適切に実行するには時間がかかった」

 自動運転車がこのような広大な道路を走行することに、不安を感じる乗客やドライバーもいるかもしれない。しかしWaymoは、同社の自動運転技術には重要な利点があると述べる。

 「『Waymo Driver』は疲れることも、集中力を失うことも、運転について感情的な判断をすることもない」と、WaymoのグループプロダクトマネージャーであるJacopo Sannazzaro氏は述べた。

 だからといって、より広大な道路に対応できる技術を準備する上で課題がなかったわけではない。

 「高速道路では、重大な事象が発生する頻度が低くなる。それはつまり、当社のシステムを現実の状況にさらす機会が少ないということだ」と、WaymoのプリンシパルソフトウェアエンジニアであるPierre Kreitmann氏は語る。そこで同社は、非公開コースでの走行とシミュレーションテストを組み合わせ、高速道路への合流から、他の車が横転するような深刻な事象まで、あらゆる状況を想定して何度も繰り返した。そうすることで、走行速度の遅い道路では遭遇しないかもしれない高速走行時のあらゆる事態に対応できるよう、システムを訓練できた。

 Waymoの高速道路走行は、24時間年中無休で利用可能だ。ただし豪雨などの場合には、高速道路ではなく一般道が選択されることもあるという。同社によれば、車両は法定速度の上限までしか出さない。これは、こうした自動運転車と人間が運転する多くの車との違いの1つかもしれない。

ベイエリアでのさらなる拡大

 高速道路での走行追加に加え、Waymoはサンフランシスコ・ベイエリアでの提供範囲も拡大する。同社のサービスエリアは現在、同地域で260平方マイル(約673平方km)以上に広がり、サンノゼ・ミネタ国際空港も含まれている。

 Waymoがサービスを運営する国際空港は、フェニックス・スカイハーバー国際空港に続き、これで2カ所目となる。Waymoは9月、サンフランシスコ国際空港での商業運用を開始するためのパイロット許可も取得した。

 Waymoによる高速道路走行とサービスエリアの拡大に伴い、ロボタクシーサービスが走行できる道路は増え続けている。NuroやAmazon傘下のZoox(9月にラスベガスで一般向け乗車サービスを開始)といった他の自動運転企業が同じ道路を走行するケースも増えている。とはいえ、Waymoがこれまでに要した時間を考えれば、他社がすぐ高速道路に進出してくる可能性は低そうだ。

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