「Excel」の先進機能としてAIエージェントがテスト中、マクロや関数でも実現できない自動化を「言葉」で可能に

「Excel」の先進機能としてAIエージェントがテスト中、マクロや関数でも実現できない自動化を「言葉」で可能に

Microsoftの先進的なAI機能を一般提供に先駆けてテストできる「Frontier」プログラムでは「Excel Labs」というアドインが提供されており、「Microsoft Excel」の新機能「Agent Mode」(今年9月末発表)を試すことができる。

 「Agent Mode」は、言葉で「Excel」を操れるようにするAIアシスタントだ。同社の生成AI「Copilot」のインフラストラクチャー上に構築されており、ワークブックの内容を理解し、ユーザーの指示(プロンプト)をもとに必要なスプレッド操作を複数ステップにわたって計画し(マルチステップ推論)、実行に移す。具体的には以下の処理が可能だ。

・ブックの操作

・シートの追加、名前の変更、削除

・セル値、範囲を挿入・変更

・条件付き書式、罫線、フォントスタイル、およびデータ検証ルールを適用

・構造化されたテーブルを作成し、ブックのレイアウトを管理

・ワークブックのメタデータと構造(名前付き範囲やシートの表示など)を操作

・データの作成と変換

・ユーザーのプロンプトに基づいて合成データまたは派生データを生成

・計算を実行し、複数のシートに数式を適用

・組み込みの「Excel」ロジックを用いてデータを集計

・推論ロジックを使用して新しいテーブルを作成し、既存のテーブルを変換

・アーティファクトの生成

・グラフ、ピボットテーブル、図形を作成および編集

・ソースデータを視覚化し、ブックに自動挿入

・計画ツール、ダッシュボード、テンプレートをゼロから生成

・書式設定とプレゼンテーション

・シート全体に一貫したスタイルを適用

・ユーザー定義のルールまたは推論されたパターンに基づいて、セル、行、列を書式設定

・グラフの外観とレイアウトをカスタマイズ

・条件付き書式と視覚的な手がかりを適用して、傾向や異常を強調表示

・コンテキスト認識

・ブックの構造、現在の選択、画面に表示されている内容を理解

・複数のシートにまたがる構造化データと非構造化データの両方を分析

・「Excel」の再計算・更新ロジックを用いて「Agent Mode」によって作成されたコンテンツがネイティブの「Excel」数式やオブジェクトのように動作するように調整

・現在の選択内容をもとにカスタマイズされた応答を提供

 「Agent Mode」が従来の「Excel」機能と異なるのは、自律的に動作する点だ。これまの「Excel」はあらかじめユーザーが定めた通りの自動化しか行えなかったが、エージェントAIであれば自律的に判断・実行できるため、マクロや関数では実現できない自動化を構築したり、ユーザーの意思決定を支援したりできる。

 また、「Agent Mode」は「Excel」の「COPILOT」関数とも連携が可能。

 以下のような数式で、AIエージェントを「Excel」関数に組み込むことができる。

・マーケティング部門の新入社員向けオンボーディングチェックリストを作成する:=Copilot ("Generate an onboarding checklist for new hires in the Marketing department")

・経費報告書のデータ(シート2)における異常値の検出:=Copilot ("Find anomalies in expense report data (Sheet2)")

・月次収益を可視化し、重要な変動を強調する:=Copilot ("Visualize monthly revenue and highlight significant changes")

 こうした機能があれば、「Excel」の関数やマクロに習熟していないビジネスアナリスト、人事マネージャー、財務リーダーであっても、「Excel」で高い生産性や洞察力を得ることができるだろう。

 これらのAI機能を試したい場合は、「Excel for Web」で「Frontier」機能を有効化して、「Excel Labs」アドインを導入すればよい。「Microsoft 365 Copilot」ライセンス、または「Microsoft 365」のPersonal/Family/Premiumのサブスクリプションがあれば利用可能だ。

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