iPhone 17を3週間使ってみたけど、やっぱりiPhone SEは手放せなかった

iPhone 17を3週間使ってみたけど、やっぱりiPhone SEは手放せなかった

9月のApple発表会で、リアルタイム更新を手伝っていたときのこと。

「iPhone SE(第3世代)を使っている」と話すと、周りから「えっ、まだSE?」という反応が返ってきました。

「Face IDの方が便利でしょ」

「カメラも全然違うよ」

「ProMotionディスプレイ、ヌルヌルだよ」

わかってる。わかってるんだけど、僕はTouch IDが好きなんだ。ホームボタンが好きなんだ。4.7インチが好きなんだ……!

でも、「食わず嫌いなんじゃないの?」と言われたら、ぐうの音も出ない。僕はなぜ、最新iPhoneどころかFace IDにすら進んでいないのかと。

そんなこんなで、体験のために貸してもらった最新のiPhone 17が手元にやってきました。

iPhone SEを2021年から使い続けてきました。第2世代から第3世代へ移り、時にはiPhoneエクスプレス交換サービスにもお世話になって3台目。それがついに最新モデルへ。

A19チップ、6.3インチのProMotionディスプレイ、デュアル48MPカメラ。スペックシートを見れば、これはもう「別次元」のスマートフォンです。

14時35分、eSIM転送を開始。「どれくらいかかるかなぁ」と思いながらコーヒーを淹れて、メールをチェックしたりして、気づいたら16時。

あれ、もう終わってる。完了するまで1時間半もかかりませんでした。データ移行のストレスがないのは、さすがAppleだなーと思います。

いよいよ、シリコーンケースをはめた、新しいiPhoneを右手に持つ。

……あれ?

片手で使えない、という現実

まず感じたのは「片手で使えない」というストレスでした。

画面は4.7インチから6.3インチへ。数字で見れば1.6インチの差だけれど、実際に持ってみると想像以上に大きい。当然ですが、親指が画面上部に届かない。届かせようとすると、持ち直す必要もあります。

電車の中で、吊り革につかまりながらXを見ようとして、気づく。片手で画面上部のアイコンに届かない。左手を添えて、両手持ちにする。まるでバスケのシュートフォームだ。スラムダンクか。

この「持ち直し」の回数が、一日に何十回、何百回と積み重なっていく。

それに、Apple純正のシリコーンケースは堅牢で、安心感はあるのだけれど……なんだか、コンビニで借りられるChargeSPOTっぽい。これでカメラレンズがなければ、モバイルバッテリーを持ち歩いている人だ。

うーん、ケースについては一考の余地ありでしょうね。

音が良くて大きくて、びっくりした

YouTubeやTVerを再生して驚きました。音が、ぜんぜん違う!

内蔵スピーカーは、音にグッと「広がり」をもたらしているようです。iPhone SEと聴き比べれば、低音の響きも、迫力のある音圧も、まるで別物。iPhone SEが安物のイヤホンに思えてくるほど。

音量も稼げているようで、キッチンでTVerを見ながら料理するときなんて、小型テレビを置いているくらいの利便性があります。

利便性で言えば、バッテリーもずっと長持ち。iPhone SEからバッテリー容量は約1.8倍に増加(2,018mAh→3,692mAh)。充電速度もずっと速い。「20分で最大50%まで充電できる」という謳い文句通り。

ただし、純正シリコーンケースとケーブルの相性問題はあるようです。手持ちのUSB-Cケーブルの中には、ケースに干渉して挿さらないものもありました。たとえば、Nintendo Switchに付属しているUSB-C 充電ケーブルとか。

「のぞき込む」Face IDへの違和感

さて、僕の鬼門だったFace IDはどうか。爆速で認証するじゃん。なんだこれすごい。

どうも、友人や家族がFace IDの反応が悪くて、ちょっと「イラッと」する様子を目にしていたので食わず嫌いしていたんだ、と気付かされました。数年前までマスク生活が当たり前だったこともあって、「Face IDなんて使い物にならない」と思い込んでいた節もある。

ただ、Face IDとの日々で気づいたのは、「スマホへ顔を向ける」という動作が発生することでした。

Touch IDなら指を置くだけで済むのに、「スマホのために」自分の顔の位置を調整している。些細なことだけれど、デバイスに人間が合わせにいく動作に違和感がある。「道具に使われてしまっている」という感覚が、小さくストレスを与えてくるのです。

たとえば、コンビニでの支払い。サイドボタンをダブルクリックしてウォレットを起動、さらにFace IDで認証、という手順も地味に手間です。

使い始めた頃は、決済でFace ID認証がうまくいかずに弱りました。コンビニやスーパーだと決済端末の位置が奥まっていたりして、顔とiPhoneの角度がずれてFace IDがうまく起動しないのです。

浮かび上がる「パスコードで支払う」を慌ててタップし、店員さんや並んでいる人たちの視線を(勝手に)感じながら、焦る。

もっともこれは、サイドボタンをダブルクリック→そのまま画面を見つめてFace ID認証→決済端末にスマホを当てる、という3ステップを意識付けるだけでだいぶ改善されました。

Touch IDなら指を置きっぱなしで済んでいたのになぁ。

やきそばを作って気づいた、重さとバランス

仕事を終えて、夕食にやきそばを作りました。

鍋を振る手首が妙に疲れている……。そういえば今日は、一日中、iPhone 17を持ち歩いて使ってみたのでした。

iPhone SEからiPhone17への変化は、単純な重量増(144g→177g)だけじゃない。大きくなったことで重心が上に移動し、片手で支える際のバランスが変わった。これが地味に手首にクルのです。

4.7インチのSEは、手のひら全体で「包み込む」ように持てました。でも、6.3インチのiPhone 17は、親指と他の指で「挟んで支える」持ち方になる。この持ち方の違いが、てこの原理のように、手首への負荷を増幅させているんだと思う。

ちなみに、気になってキッチンのデジタルスケールで計ってみると、純正シリコーンケースは32.7g。合わせれば約66gの差ができる。そんな差なんて、スペック上は誤差かもしれない。でも、やきそばを作る手首は正直でした。

満員電車で吊り革につかまりながらの片手操作。ベッドで寝転がってSNSをスクロールする時間。ポケットに入れたままちょっと走るとき……。

iPhone SEの軽さと小ささは、こういう「日常のすき間」で真価を発揮していたんだと気づくのです。

カメラは最高。マクロ撮影の「頼もしさと異様さ」

とはいえ、撮影体験はまったくの別物でした。

48MPデュアルFusionカメラは、確かに美しい写真を撮ってくれます。拡大もしつつ比べてみると、色の再現性や細かい描写は歯が立たない。

超広角レンズも僕にとっては新体験で、空や自然もずっと撮りたくなります。

ナイトモードも優秀で、夜景も、光量不足のスポットもなんのその。

明暗差が大きなところでも、しっかり空気感も残しつつ、シャープに解像してくれる感がある。暗所に映り込んだステッカーもつぶれず、光っているネオンが飛ぶこともない。特に何も考えずにこれが撮れてしまう、というのは一つの体験価値ですね。

フロントカメラもきれいで、膝の上でじゃれるペットを撮ったりすると、ついつい夢中になってしまいました。

近いものを撮ろうとすると、カメラが勝手にマクロモードに切り替わります。その自動判定の賢さには「頼もしさ」を感じるものの、突然に画角が変わる挙動には「異様さ」も。iPhone SEにはなかった機能だけに、慣れるまで少し戸惑いつつ。

でも、12MPシングルレンズで撮っていた頃の写真が「悪かった」わけでもないんです。思わず撮った夕焼け、食卓に並ぶ料理、家族の表情からも「ああ、こんな日だったなぁ」という記憶はちゃんと残っています。

解像度やボケ感に優れた「良い写真」がもっと欲しければ、ちゃんとコンデジを持ち歩けばいい。iPhone 17ではなく、同じくらいの値段で手に入るFUJIFILMのX halfあたりを持っても楽しいかもしれない。

もちろん、「スマホ1台で全部済む」っていうのが大切な理由というのもわかります。だからこそ、自分の日々にとって、どれくらいの写真や動画が、なぜ必要なのか。それを一度、見つめなくてはならないですね。

iPadのように、サイドボタンにTouch IDを!

iPhone 17を3週間使ってみて、改めて思います。

iPhone SEには、まだまだ、僕にとってiPhone SEにしかない魅力があると。

4.7インチは親指が画面全体に届き、ジーンズの前ポケットにもスッと入る。指を載せるだけでロック解除できる手軽さ。iPhone 8から続く飽きの来ないシルエット。カメラバンプの出っ張りは小さく、テーブルに置いたときのガタつきもない。

それに、レンズが大きくなればなるほど、どうしても見た目の端正さとのミスマッチ感もぬぐえなかったんです。

今、個人的に思うのは「iPadのようなサイドボタン内蔵Touch IDを搭載したiPhone SE」が欲しい、ということです。

iPad Air(第4世代)以降で採用されている、トップボタン内蔵Touch ID。これなら全画面デザインを実現しつつ、Touch IDの利便性も維持できるはず。旧世代のProチップを使って、カメラレンズはシングルでいいからバンプを大きくさせない感じに。

「コンパクトさ」「進化した機能」「手頃な価格」のバランスが取れた、iPhone SE(第4世代)こそ、僕が欲しいiPhoneなんだろうな、と思わされました。

スマホに求めるものは、手のひらと日常が教えてくれる

iPhone 17は間違いなく優れたスマートフォンです。

ProMotionディスプレイは本当に滑らかで、A19チップの処理は体感でもずっと速い。カメラはバラエティに富んで美しく、バッテリーだって長持ちします。それなのに価格は据え置きで、数世代のジャンプアップを決めるなら積極的に勧められる一台です。

でも、それが「あなたにとって最高か」は別の話。

日々、家族のためにやきそばを作り、満員電車で吊り革につかまり、ポケットにスマホを入れて走る。仕事にPCはまだ欠かせなくて、スマホだけで済ませられることは限定的。そんな生活の中でなら、144gの軽さと4.7インチの収まりの良さは、ProMotionディスプレイやデュアル48MPカメラにだって勝るかもしれないのです。

6インチ超えのスマホが当たり前になった今、あえて4.7インチを使い続ける理由。それは、スペックシートには表れない「手に馴染む感覚」なのかもしれません。

だから、僕はiPhone 17をお返ししたら、しばらくまたiPhone SEと暮らすことにしました。まだ見ぬiPhone SE(第4世代)への期待と、いつか来るであろうお別れが笑顔だといいな、と思いながら。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏