「AI芸人」は生まれるのか?ハリウッドでは「AI女優」誕生、お笑い界が探るAIとの距離感と人間の強み

「AI芸人」は生まれるのか?ハリウッドでは「AI女優」誕生、お笑い界が探るAIとの距離感と人間の強み

ハリウッドで初となる「AI女優」のティリー・ノーウッドが発表されるなど、芸能分野でも加速的に普及しているAI技術。

お笑いも同様で、たとえば『大阪コメディフェスティバル』のなかの公演「MANZAI×AI」(9月22日開催)では、「お笑い特化型AI字幕翻訳サービス」などの技術を活用して海外客に向けて漫才ネタが届けられた。

一方「AIにネタを制作してもらっている」と公言する芸人や作家はまだ目立っていない。お笑いはAIをどのように活用していくのか。また、「AI芸人」「AI作家」などは誕生するのだろうか?

ココがポイント

AIによって生成された女優であるティリー・ノーウッドが、世界的な注目(中略)10種類以上のAIソフトを組み合わせて生成

出典:KAI-YOU | POP is Here . 2025/10/1(水)

「有吉の壁」で画期的企画 完全AI支配のAI選手権が地獄過ぎ あまりのネタに有吉膝から崩れる

出典:デイリースポーツ online 2024/3/28(木)

ネタに関しては、わざと「変にしてる」みたいな部分が多い(中略)感覚的なものを重視してるから、今の段階ではAIは使ってない

出典:エンジニアtype - 技術者のキャリアを考えるWebマガジン 2025/7/3(木)

特定のキャラクターの人格を持ったAI(中略)著名人の方の言動を取り込んで、その人が言いそうなことを言うAIができます

出典:FUTURE IS NOW - 未来定番研究所 2020/11/4(水)

エキスパートの補足・見解

2024年3月27日放送『有吉の壁』(日本テレビ系)では、チャットGPTが考案したコントが披露された。演者である芸人の組み合わせもチャットGPTが発案。ただ、各ネタの台詞は説明的で「笑えるオチ」にも至らなかった。AIは出来事やデータ、パターンを統合して答えを出す仕組み。そのため、観客の予測を裏切る構造や文脈のズレを笑いに変えることは難しい。現状では「お笑い向き」と言えない。

ビスケットブラザーズは「今の段階ではAIは使っていない」と語る。筆者が取材した際、彼らは自らを外見・内面ともに「特徴的」と表現していた。だからこそ、個性を意味する「ニン」を生かした笑いが生み出せる。観客を気色悪がらせる独特のキャラクターや設定も、その「ニン」ゆえだろう。AIが導く「総体的な正解」には決して収まらない、人間ならではの強みである。

今後、ネタ作りやアイデア出しにおいてAIを活用する場面は確実に増える。しかし、舞台などに立つ芸人に不可欠な「ニン」や見る者を揺さぶる人間味は、AIには代替できない。お笑いの世界で主役になるのは「AI芸人」ではなく、あくまでAIを道具として操り、自分の個性と融合させられる「生身の芸人たち」ではないか。

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