米消費者権利団体ら、2025年10月14日「Windows 10」のサポート終了に懸念の声--マイクロソフトの対応に異議

米消費者権利団体ら、「Windows 10」のサポート終了に懸念の声--マイクロソフトの対応に異議

消費者権利団体のConsumer Reportsは先ごろ、Microsoft 最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏に書簡を送った。この書簡は、同団体の政策フェローであるStacey Higginbotham氏と技術政策ディレクターのJustin Brookman氏によって執筆されたもので、10月に予定されている「Windows 10」のサポート終了に対する懸念が示されている。

 Windows 10のサポート終了に異議を唱える団体は、Consumer Reportsだけではない。2023年10月には、非営利団体のPublic Interest Research Group(PIRG)が同社に再考を求め、「ユーザーにも地球にも悪い取引だ」と批判した。同団体は、Windows 11の厳しいハードウェア要件によって、最大4億台もの正常に動作するPCが廃棄される可能性があると警告していた。

 PIRGは今週、新たな要望を発表し、European Right to Repair連合、iFixit、Consumer Reportsなどの消費者・環境団体と連携して行動を起こしている。

 Consumer Reportsは、500万人の会員を代表して、Microsoftの決定が「Windows 11に対応していないPCを持つ何百万もの消費者を取り残し、1年間のサポート延長に30ドルを支払うか、Windows 11対応の新しいPCに数百ドルを費やすか、あるいは何もせずにPCのセキュリティや機能が徐々に劣化するのを受け入れるかという選択を迫ることになる」と主張している。

 この問題は、単なる消費者の不利益にとどまらず、何億台もの保護されていないPCが他の組織への攻撃に利用される可能性があるという点で、国家安全保障上のリスクにもなり得る。

 Consumer Reportsは、2025年に実施した10万台以上のノートPC/デスクトップPC所有者を対象とした会員調査を引用している。その調査では、「2019年以降に購入され、所有期間が5年以内のノートPC/デスクトップPCの95%以上が現在も使用されている」と報告されており、WindowsベースのPCが長期間使用される傾向にあると結論付けている。また、「消費者は、MicrosoftがWindows 11のハードウェア要件を発表する前にPCを購入しており、次のOS移行まで使い続けられると期待していたことは明らかだ」とも述べている。

 書簡の著者らは、Microsoftの計画に内在する根本的な矛盾にも言及している。彼らは、「Windows 11がサイバーセキュリティ向上のために不可欠なアップグレードだと主張しながら、何億台ものPCをより脆弱(ぜいじゃく)な状態に置くのは偽善的だ」と批判している。また、1年間のセキュリティ更新を有償で提供するという決定についても、消費者に不親切であると指摘し、PCのセキュリティを維持するために30ドルを支払うか、Microsoftの他の製品やサービスを利用するよう強いられることになると述べている。さらに、「これは、Microsoftが競合他社に対してわずかな市場シェアを得るための手段に過ぎない」とも主張している。

 こうした状況を踏まえ、Consumer ReportsがMicrosoftに求めているのは、比較的控えめな要望である。具体的には、Windows 10からアップグレードできない全てのユーザーに対して、セキュリティ更新を無償で延長するよう求めている。また、Windows 10からの移行を促進するための取り組みや、ハードウェアを手放す消費者のためにPCのリサイクルを提供するパートナーシップの構築も要望している。

「Windows 10」のサポート期限切れまでにPC買い換えやアップグレードが間に合わない? 暫定措置の「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」をチェック!

2025年10月14日(米国太平洋夏時間、以下同)に、Windows 10のサポート期限が終了する。「EOS(End of Service)」とも言われる本事象について、2回に渡って解説してきた。

 2回目でも触れた通り、手持ちのWindows 10 PCが「Windows 11」の動作要件を満たしている場合は、サポート終了期限前にOSをアップグレードすれば問題ない。しかし、動作要件を満たさないPCを使っている場合は、PCの買い換えが必要となる。

 PCメーカー各社では、Windows 10のEOSを見越して手頃なPCを順次投入しているものの、その多くは手頃とはいえ安価ではない。ある程度まとまった出費を要する。夏のボーナスも過ぎてしまったし、冬のボーナスで購入しようにも支給日はまだもう少し先なので、このタイミングでの出費は正直厳しいという人もいるだろう。

 では、このままWindows 10のEOSを迎えて、セキュリティ上のリスクにさらされてもいいのかというと、それもまた違う。セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)なPCを“踏み台”にして、さらに別のPCを攻撃する事例も見受けられるからだ。

 PCの買い換えまでの間に、せめてセキュリティ面だけでも“延命”したい――そんな人に向けた選択肢として、Microsoftは「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」というものを用意している。今回は連載の最終回として、ESUのあらましと利用方法を解説する。

そもそも「ESU」とは何か?

 ごく一部の例外を除き、MicrosoftはWindowsを含むソフトウェアやサービスのEOSを事前告知している。最近では「製品およびサービスのライフサイクル情報の検索」というサイトからサポート終了日を検索可能だ。

 事前に告知されているのなら、本来であればEOSを見越してPCやソフトウェア/サービスのリプレースを検討することもできるはずだ。特にネットワークにつながることを前提とした昨今のOS(Windows)を使うのであれば、サポート期間が十分残っているOSに対応するPCにEOSを迎える前に乗り換えることを強く推奨する。

 しかし、個人ユーザーや中小企業ユーザーは、そもそもソフトウェア/サービスにEOSがあることを意識していないことも珍しくない。TV/ラジオや新聞、Webメディアで話題になることで「初めて知った」なんていうこともある。

 ただ、中小企業を含む法人ユーザーの場合、EOSを知っていながらも別の理由から乗り換えをためらうケースもある。「置き換えるべきPCが大量にあり、迅速に買い換えられない」「業務で利用している内製アプリや基幹システムの検証や改修に時間を要する」といったことが割と多いのだ。企業の規模や置き換え(リプレース)方法にもよるが、PCの全台数置き換え(OSのアップグレードを含む)に事前準備を含めて3~4年を要した例もある。

 とはいえ、EOSによって利用しているPCにセキュリティ更新が配信されなくなると、セキュリティ強度が著しく下がってしまう。今回紹介するESUは、MicrosoftがEOSを迎えたWindowsにセキュリティ更新を有償提供するプログラムとなる。従来は法人(ボリュームライセンス)ユーザー向けに年単位契約で最長3年間提供してきたが、Windows 10では個人向けにも1年間提供される。

 ESUは、あくまでもセキュリティ更新を延長提供するプログラムだ。そのため、かなり深刻な影響を及ぼすものを除いて不具合の修正や新機能を追加するための更新は一切行われない。

個人向けESUは条件付きで無料 どうすれば使える?

 Windows 10で個人向けESUを利用すると、サポート終了日から1年間、つまり2026年10月13日までセキュリティ更新を受けることができる。現時点ではさらなる期間延長は予定されていない。あくまで時限的な対応なので、この期間内のできるだけ早い時期にWindows 11に乗り換えるようにしたい。

 個人向けESUの契約は、Microsoft アカウントにひも付ける形で管理される。そのため、Windows 10にMicrosoft アカウントでサインイン(ログイン)していることが前提となる。ローカルアカウントでサインインしている場合は、Microsoft アカウントでのサインインに切り替えよう。

 先述の通りESUは有償提供で、個人向けの場合は1台あたり30ドルとなっている。ただし、以下のいずれかの条件を満たしていると無料だ。

・「Microsoft Rewards」1000ポイントで利用権を引き換える

・「Windows バックアップ」でPCの設定をOneDriveに保存する設定が有効である

 上記のうち、2つ目の条件が求めているのはあくまでも“PCの設定”のバックアップだけで、他のデータのバックアップまでは求めていない。恐らく、多くの人にとってはこの条件が一番満たしやすいと思われる。

 個人向けESUは、Windows 10を2022 Update(バージョン22H2)にした上で、最新の更新プログラム(2025年7月のオプション更新以降)を適用すると利用できる。ここからは適用の手順を紹介していこう。

 まず、スタートボタンを右クリックしてメニューを出す。「設定」→「更新とセキュリティ」とクリックしてWindows Updateの画面を表示しよう。ウィンドウの右側に「拡張セキュリティ更新プログラムに登録して、デバイスのセキュリティを維持しましょう」と表示されている場合は、その下にある「今すぐ登録」をクリックすれば適用プロセスを開始できる。

 この表示が出ない場合は、必要な更新プログラムが適用されていない可能性が高い。先にWindows Updateを実行して、最新の更新プログラムを適用してほしい。

 「拡張セキュリティ更新プログラムを有効にする」というウィンドウが表示されたら、そのまま「次へ」をクリックする。するとMicrosoft アカウントでサインインしてるかどうかのチェックが行われる。Microsoft アカウントでサインイン済みの場合は、利用できる適用オプションの確認が行われ、どのオプションを適用するか尋ねられる。

 Windowsの設定をOneDriveにバックアップする設定が有効な場合は、適用オプションは提示されず無料で登録できる旨が表示されるので、「登録」をクリックして少し待とう。するとESUへの登録が完了した旨が表示される。「完了」をクリックすれば手続きは終了だ。

 手続きを完了すると、Windows Updateの画面に「お使いのPCは、拡張セキュリティ更新プログラムを取得するために登録されています」と表示される。この状態でも、Windows 11の動作要件を満たしている場合はアップグレード可能だ。

 個人向けESUの登録には、Microsoft アカウントを別途用意する必要はある。しかし、非常に簡単に登録できることは非常にありがたい。

SUはあくまでも“時限的措置”

 繰り返すようで恐縮だが、ESUは何らかの理由で早期にWindows 11への移行が困難な環境への救済措置であって、Windows 10を“延命”するための措置ではない。できるだけ速やかにWindows 11への移行を勧めてほしい。

 なお、法人ユーザーはESUの無償利用の対象外で、ボリュームライセンス契約を行うことでESUを適用可能だ。法人向けESUは最長で3年間(2028年10月13日まで)利用可能だが、1台あたりのライセンス料金は以下の通りとなる。

・1年目(2026年10月13日まで):61ドル

・2年目(2027年10月13日まで):122ドル

・3年目(2028年10月13日まで):244ドル

 このように、年を越すごとに費用が倍となり、最大で1台あたり467ドルの負担が発生する。やはり、早めにWindows 11への移行を行うのが賢明だ。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏