Google 検索の「AIモード」が日本語に対応 Gemini 2.5活用で長文質問も可能に
Googleは9月9日、Google 検索のAI検索機能「AIモード」を日本語に対応すると発表した。ヒンディー語、インドネシア語、韓国語、ポルトガル語も追加され、計5言語が新たに加わる。9月9日から数週間で順次展開予定だ。
Google 検索の「AIによる概要」(AI Overviews)は200カ国以上・40言語以上で稼働中だ。Webサイトの情報から質問への回答を生成する機能で、月間利用者は20億人を超える。AIによる概要を表示する検索クエリは世界で10%以上増えており、増加ペースは衰えていない。
今回のAIモードは「AIによる概要」の進化版だ。Gemini 2.5カスタム版を搭載し、長い質問を細かく分割。複数の検索を同時実行してWebサイトから情報を収集し、AIが統合処理する。英語版は180カ国以上で稼働済みで、今回の多言語化でカバー範囲が拡大する。
長文質問は2~3倍に増加、複数検索で対応
Google 検索のAIモードの強みは長く複雑な質問への対応力だ。「渡り鳥はどうやって行き先を知るのか」といった従来の検索では答えにくい問いでも、整理された回答と関連リンクを返す。
Google 検索担当バイスプレジデントのヘマ・ブダラジュ氏によれば、テスターの質問文字数は従来比2~3倍に増加した。この長文処理を支えるのが「クエリファンアウト」技術だ。1つの質問を複数の検索に分割して同時処理する。
渡り鳥の例なら「渡り鳥 地磁気 感知」「渡り鳥 太陽コンパス」「渡り鳥 星座 ナビゲーション」「渡り鳥 遺伝 本能」といった検索に分解。結果をGemini 2.5が統合し、地磁気感知や太陽位置把握、遺伝的要因など多面的な回答を構築する。
画像検索にも対応、本棚の写真から書籍推薦も
マルチモーダル対応もAIモードの売りだ。写真撮影や画像アップロードから質問できる。本棚を撮影して「これらと似た評価の高い本は?」と聞けば、写っている書籍を識別して関連書籍を推薦。Google ブックスやGoogleショッピングの情報カードも表示される。
ベースにはGoogleレンズの画像認識技術がある。シーン全体を把握し、物体の関係性や材質、形状を認識する。「かこって検索」(Circle to Search)経由でもAIモードを使え、追加質問にも対応する。
Gemini 2.5技術を使いながらも、サービスとしてのGeminiとは別物だ。AIモードは「検索ベースのツール」で、ナレッジグラフやショッピング情報、リアルタイムデータを活用する点が違う。
品質保証には20年超の検索技術が生きており、検索ランキング、安全システム、スパム対策が土台にある。ブダラジュ氏は「推論能力で事実性を高めた。AIモード自体が回答をチェックし、信頼性を検証している」と話す。
メディア企業の懸念に「影響は限定的」
米国でのAIモード導入後、ニュースサイトやメディア企業から検索流入減少の声が挙がった。AI回答で検索が完結し、サイト訪問が減れば広告収入モデルが揺らぐという懸念だ。
メディア向け説明会でもこの話題に質問が集中した。ブダラジュ氏は「Googleからのトラフィックは安定している。大きな減少はない。日々数十億のクリックを送出している」と反論。第三者データの減少傾向については「不完全または偏ったデータによる推測が多い」と指摘した。
robots.txtでAIモードのみを拒否できるかという質問には「AIモードは検索機能の一部なので、従来と同じ制御が適用される」と回答。検索結果への掲載を拒否すればAIモードにも表示されない。Webサイト運営者は通常検索とAIモードを個別制御できず、検索掲載を望むならAIモード表示も受け入れる必要がある。
広告は米国でAIモード回答下への表示をテスト中だ。「デスクトップからモバイル移行時と同様、広告主に新たな機会が生まれる」とブダラジュ氏は述べた。