薄型「iPhone Air」から省かれた機能とは
アップルが発表した新モデル「iPhone Air」の厚さは5.64ミリと、同時発表のiPhone 17より3割も薄いことが注目されています。
ただ、その裏でこっそり省かれてしまった機能はないのでしょうか。Webサイトに書かれた仕様から確認してみました。
薄型軽量の代わりにカメラや電池持ちは妥協か
外観ですぐに分かるのが背面カメラの違いです。iPhone 17と比べて超広角カメラが省かれており、iPhone Airでは「13mmの超広角撮影」や「マクロ撮影」が利用できません。
バッテリー駆動時間は、ビデオ再生がiPhone 17の30時間に対してiPhone Airでは27時間、ストリーミング再生は27時間に対して22時間となっています。
iPhone 16 Plusとほぼ同じという意味ではそれほど不安はないものの、電池持ちが大幅に改善されたiPhone 17と比べるとやや見劣りする点です。
この不安を解消するiPhone Air専用のアクセサリとして「iPhone Air MagSafeバッテリー」が発表されました。薄型軽量のメリットは一時的に損なわれるものの、これを購入して背面に装着すると1.5倍ほど長く使えるようです。
充電については、高速充電では「20Wアダプタ」の利用時に「30分で最大50%」まで、またMagSafeやQi2のワイヤレス充電は「最大20W」にとどまり、最新のiPhone 17に比べるとわずかに見劣りします。
本体のインターフェイスとして、iPhone Airは全世界でeSIMのみとなり、物理SIMには対応しません。なお日本ではiPhone 17など他のモデルもeSIMのみとなっています。通信事業者から移行手順や手数料の案内があるかもしれません。
スピーカーは、iPhone Airでは本体上部の「内蔵スピーカー」となり、本体底面のスピーカーは省かれています。iPhone 17では従来通り本体上部と底面に「内蔵ステレオスピーカー」を搭載していることから、よく使う人は実機で確認したいところです。
USBポートの規格はiPhone 17と同じ「USB 2」ですが、iPhone 17との違いとしてiPhone Airは「DisplayPort出力」に対応しないようです。廉価モデルの「iPhone 16e」でもみられた仕様ですが、テレビなど外部に画面を出力するには無線のAirPlayを使うことになりそうです。
iPhone AirのUSBポートはやや背面側に寄っており、アップルとしては珍しい妥協をしたように感じます。本体の薄さを考えるとUSB-C自体を省くという選択肢もあったのではないかと感じるだけに、搭載できたことが凄いのかもしれません。
iPhone Airのモデムはアップル製の「C1X」で、iPhone 16eが採用したC1の強化版となっています。iPhone AirではWi-Fi 7(802.11be)やBluetooth 6、スマートホーム用の「Thread」にも対応しています。
なお日本向けのiPhone Air「A3516」は日本専用のモデルで、バンド11や21に対応しています。薄型化によりアンテナ設計に困難があったのでしょうか。海外モデルを買いたい人に注意を要します。
薄型ということで不安な強度については、実際に使ってみないと分からないところです。アップルの発表イベントでは、iPhone Airは「チタニウムフレーム」を採用しており、同社の「曲げ強度」の要件を十分に満たしたと説明されています。
「スマホに何を求めるか」を問う1台に
プロセッサはiPhone 17の「A19」に対してiPhone Airは「A19 Pro」を搭載。ストレージはどちらも最小構成が256GBで、最大容量はiPhone 17の512GBに対してiPhone Airは1TBと上回っています。
価格はiPhone 17の12万9800円からに対して、iPhone Airは15万9800円からと従来の「Pro」に匹敵する価格帯です。スペック的に上位互換ではない部分もあることを考えると、なかなか強気な設定という印象です。
どちらかというとハイエンドの価格帯でありながらも、カメラや電池持ちなどいくつかの妥協を受け入れつつも、薄型軽量を優先したのがiPhone Airの特徴であり「尖っている」ところといえそうです。
ただ、誰もが最高のカメラを求めているわけではないことは「iPhone 16e」や「iPhone SE」といったモデルが証明しています。スマホに何を求めるか、あらためて問う1台になりそうです。