「最悪死にます…」猛暑の車中に絶対「置きっ放しNG」な毎日使っているものとは?
記録的な猛暑が続いていますが、台風が過ぎた後も“10年に1度レベル”の高温になるようです。1秒でも早くエアコンを効かせるには?暑すぎるマイカー内で快適に過ごすワザを解説します。高温の車内では思いもよらず危険なことが起きます。特に近年、新たにひとつ「絶対に気を付けなければいけないこと」が増えました。何だと思いますか?(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
● まるでサウナ…猛暑でのカーライフ 「絶対に気を付けなければいけない」のは?
猛暑日の日数をはじめ、暑さに関するさまざまな記録が塗り替えられた2025年の夏。9月に入っても残暑厳しい日が続いています。
クルマの室内も、とんでもなく暑くなっています。天気のいい日の昼間など、まるでサウナかよ……と思うことも。それが嫌でエンジンをかけたままクルマを離れる人もいますが、これは絶対にNGです。コンビニでちょっと買い物のつもりでも、クルマが盗まれれば一大事。盗んだ人が無免許でさらに事故まで起こしたら、運転者が責任を問われることすらあります。クルマには施錠の義務があるので、施錠していなければ盗まれた側にも責任が発生するのです。
また、ほぼ全国の自治体にアイドリングを禁止する条令があるので、エンジンをかけたままの駐車は厳禁です。「子どもやペットが乗っているからエアコンを付けていないと……」というのは言い訳になりません。そもそも、もし何らかの原因でエンジンが停止したり、エアコンが故障したりしたら、あっという間に車内温度は上昇します。それこそ、子どもやペットを命の危険にさらすことになります。クルマから離れるときは子どもやペットを残さず、必ず一緒に降りましょう。
他にも、車内温度が上昇する夏、車中では思いもよらず危険なことが起きます。特に近年、新たにひとつ「絶対に気を付けなければいけないこと」が増えました。それは何だと思いますか?
暑い季節の危険として注目されているのが、リチウムイオンバッテリーです。スマートフォン用のモバイルバッテリーや、涼を取るための携帯扇風機などに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは高温になると発火する危険性があります。
クルマの中でもダッシュボードの上は、なんと70℃〜80℃近くになるといわれます。ダッシュボードの上でなくても、そもそも車内にリチウムイオンバッテリー内蔵の製品を置きっぱなしにするのは危険です。モバイルバッテリーや携帯扇風機はもちろん、スマホ本体や加熱式たばこ、ワイヤレスイヤホンなどもリチウムイオンバッテリーを使っています。これらは絶対に車内に置いたままにしないようにしましょう。
また、最近は飛行機に乗ると「スマートフォンやモバイルバッテリーがシートの隙間に挟まったときは、絶対にご自身で取ろうとせず、必ずキャビンアテンダントを呼んで下さい」といった注意を耳目にするようになりました。これは、シートの隙間から無理やり取ろうとしてリクライニングを動かすと、スマホやモバイルバッテリーが破損し発火する恐れがあるからです。
飛行機のみならずマイカーも同様で、特にパワーシート搭載のクルマはなおさら危険です。電動でスライドやリクライニングができるパワーシートは強力なモーターを使っているので、スマホなどが挟まった状態で動かすと破損させる可能性が高いです。リチウムイオンバッテリー内臓製品を落としたときは、焦らず慎重に探すこと。間違ってもシートのスライドやリクライニングなど(手動も含む)は動かさないようにしましょう。
● クルマの中が暑すぎる…! 1秒でも早くエアコンを効かせるには?
さて、駐車していたクルマの室内が高温になっている場合、どうすれば快適でしょうか?
まずは車内の温度を上げないのが一番です。日陰に駐車が理想ですが、できないときはサンシェードなどで窓ガラスをカバーするのも手です。長時間駐車の場合、サンシェードは室内の温度上昇を避ける効果はさほど高くないのですが、ダッシュボードやハンドルなどの温度上昇はある程度防げます。ダッシュボードのように容積の大きな部品が温まっていると、室内の温度を下げるのに時間が掛かります。ハンドルに触れないほど熱くなっていることもありますよね。
室内の温度を下げるためにエアコンをフルパワーで作動させて待っている人を見かけますが、まずは室内の熱い空気を出してからエアコンを作動させたほうが効率がアップします。熱湯の入ったコップに水を注ぐより、一度熱湯を捨ててから水を注いだほうが冷たい水になるのと同じ原理です。
室内の熱気を追い出すには、対角線上のドアを開けて、片方のドアをパタパタと数回開け閉めします。その後、乗り込んで少し我慢できるほどになったらドアを閉めて走り出し、やはり対角線上の窓を開けるといいでしょう。
クルマのエアコンは内気循環と外気導入が選べるものがほとんど。エアコンまわりのスイッチでクルマのイラストのなかに矢印がぐるっと回って描かれているマークが内気循環、クルマの外側から中に向かって矢印が描かれているマークが外気導入です。
車種によっては内気循環マークだけのものもあります。この場合は、内気循環のマーク部分が点灯しているときが内気循環、消灯のときが外気導入です。効率よく室内を冷やすには内気循環ですが、乗車人数が多いときに内気循環のままだと酸欠になることもあるので注意しましょう。
クルマのエアコンにはフィルターが付いていて、外気導入時にはフィルターを介した空気が導入されます。しかし、前方を走るクルマの排ガスが多い場合やトンネル内ではフィルターで除去しきれないことも多いので、その場合は内気循環を推奨します。
● エアコンの効きが弱く温度が下がらない… まずはガス(冷媒)不足を疑うべし
エアコンの効きが弱いと感じたとき、簡単にできるのが「冷風」の温度を測定することです。エアコンの吹き出し口に温度計を近づけて、走ってみて10℃程度になっていればエアコンは正常。それ以上の冷却は期待できません。
もし、温度が下がらないようなら、まずはガス(冷媒)不足を疑います。ガス不足は自分で点検する方法もありますが、コツや経験が必要です。大型カー用品店などでも点検、補充ができますので、効きが悪いときにはプロに任せましょう。ガス不足が原因で冷えないのであれば、ガスを充填すればエアコンは効くようになります。ただし、ガス不足の原因が「ガス漏れ」だった場合は、ただちにガス漏れを修理する必要があります。
軽自動車などはエンジンの排気量が小さいため、エアコンの効きも弱くなる傾向があります。しかも最近の軽自動車は「スーパーハイトワゴン」といって車高が高く、室内容積も大きいので、どうしてもエアコンの効きが悪くなりがちです。もし、前席にしか乗っている人がいないなら、後席との間にビニール製の透明なカーテンを設置してエアコンの効きをアップさせる方法があります。「車名 エアコン カーテン」でネット検索すると対応商品が見つかります。
9月5日時点で台風15号が本州を横断しています。その後、9月10日頃から全国の広い範囲に“10年に1度レベル”で「かなり気温が高くなる」可能性が予報されています(東北太平洋側、関東甲信、東海、近畿、中国、四国、九州北部・南部、沖縄。「高温に関する早期天候情報」気象庁発表)。命にかかわる暑さですが、少しでも快適なカーライフを過ごしたいものですね。読者の皆さんの工夫や知恵があったら教えてください。