人材と一緒に機密情報がリーク。Appleが中国スマホのOppoを提訴

人材と一緒に機密情報がリーク。Appleが中国スマホのOppoを提訴

Appleが中国企業Oppoを提訴したと報じられています。

提訴理由は、Appleからの人材引き抜きによってApple Watch部門がもつ機密情報を盗んだ疑い。

Apple側の弁護団を務めるのはKirkland & Ellis法律事務所。Oppoに引き抜かれ、機密情報を持ち出したとされる問題の人物は、Appleでセンサーシステムアーキテクトを務めたCheng Shi氏。カリフォルニア州北部地方の裁判所にAppleから提出された書類によれば、Shi氏の転職先がOppoのアメリカでの拠点となるカリフォルニアオフィスであり、ここでShi氏はセンサー技術の開発チームのリーダーを務めているといいます。

Shi氏は何をしたのか?

Shi氏が、年収の高いハイクラスなエンジニアとしてAppleに勤務したのは、2020年1月から2025年6月まで。Shi氏は、内部機密であるプロジェクトロードマップ、デザインや開発書類、Apple Watchの心電図機能を可能にしたECGセンサー技術のスペックなどを含め、Appleのヘルス系センサー技術開発に関与する第一人者の1人でした。

今、Shi氏にかけられているのは、退職3日前に社員共有ドライブにあった63の機密文書をUSBドライブにコピー、ダウンロードした疑い。コピーされた文書の中には、未発表のプロダクトの技術的情報やApple Watchの温度計センサー、ハード・ソフトの実装に関する技術的懸念事項などが含まれていたというこです。

Shi氏の検索履歴には、文書ダウンロード前に「Macbookの初期化方法」「共通ドライブのファイルを開いたことは他の人にバレる?」などのネット検索が残っていたとのだとか。

また、Apple Watchのセンサー関連だけにとどまらず、持ち出されたとされる情報の中にはApple印の自社チップ(Mac・iPhone・iPadに搭載されている)に関するものもあったといいます。Appleは近年、カスタムAIチップを開発しており、ティム・クックCEOはこれをAI戦略の鍵と考えているようですが…。

Oppoは、ハイテクスマホで知られる中国企業。2020年にはリリースしたスマートウォッチがApple Watchに酷似していると炎上したことも…。iPhoneには敵わないまでも、Oppoスマホも高い人気を誇り、アジア市場、とくに中国では大きく成功しています。

華為(Huawei)とシャオミ(Xiaomi)とともに、Oppoは、Appleのもつ中国市場スマホシェアに食い込んでおり、2024年には、ついに中国市場におけるスマホメーカーシェアトップ5からAppleが陥落(しかし、Appleも巻き返しており、今年5月にはトップ5に復活)。

Oppoは、米国での事業展開こそないものの、OppoとInnopeakの名の下で、シリコンバレーにてリサーチセンターを運営しています。

本報道について、米GizmodoがOppoにコメントを求めましたが、記事公開時までに回答は得られませんでした。

Appleの主張

Appleいわく、Shi氏の業務端末スマホには、今年4月から6月の退職までの間に行われた、Oppoの上級管理職と見られる人物とのやりとりが残っていたといいます。提訴文書によれば、中には「今週、チームに自分が退職することを伝える予定です」「最近はいろいろな社内文書の確認をしており、できる限りの情報を集めるため1対1のミーティングも多くこなしています。詳しいことはのちほど共有します」というやりとりも…。Appleいわく、実際に退職直前の1ヶ月の間に、Shi氏は33件もの1対1ミーティングをこなしており、彼が直接的に関わりのなかったプロジェクトについても情報を集めていたと見られています。ちなみに、比較として前の年のShi氏の1対1ミーティングの数が明かされており、月7回ほどでした。

6月末に退職した際、Shi氏は退職理由について「年老いた両親の面倒をみるため中国に帰る、職探しはしていない」と周囲に語っており、Oppoの話はいっさいでていなかったということです。

Appleは、今後、Appleの企業秘密からえた情報・技術使用にあたり、Oppoに差し止め命令を求める方針。裁判所にはOppoへの損害賠償の請求を求めており、賠償金ふくめその内容は今後の裁判で決まると見られています。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏