不登校の子、楽しく学ぶ 仮想空間の教室に注目、選択肢の一つに、和歌山県紀南

不登校の子、楽しく学ぶ 仮想空間の教室に注目、選択肢の一つに、和歌山県紀南

夏休み明けは、登校渋りや不登校が増えやすい。子どもの自殺が多くなる傾向もある。登校や対面での活動が難しい場合、オンラインでの学びが選択肢の一つとして注目されている。

 和歌山県紀南では不登校専門の訪問看護ステーション「Hull(ハル)」(印南町)が、不登校の子ども向けのオンライン教室を運営するワオフル(東京都)と連携してオンラインと現実を組み合わせた居場所づくりを進めている。 

 オンラインフリースクール「夢中カレッジ」は、メタバース(仮想区間)上の教室。パソコン画面上に2次元のゲームのような世界が広がる。この空間でアバター(分身)を操作し、学園生活を送る。アバターは顔の形や髪形、服装を自由に選べる。

 小学校高学年の「教室」を取材すると、大きな机を囲んで、それぞれが座りたい席で、授業に臨んでいた。「100万円もらったら、お菓子に使うか、遊園地で遊ぶか、それとも別のものを買うか」。教員の問いかけにそれぞれが意見を表明し、話し合う。

 ワオフルでは、社会と関わる力を育む「SEL(ソーシャル・エモショーナル・ラーニング)」に力を入れている。自分や他者を知り、自己と他者の関係性に気付いたり、言語化したりすることを学べるという。

 教室では顔を画面に表示するかどうか、マイク機能を使って話すかどうかも個々の自由。直接話せなくても、チャットで意見を伝えたり、誰かからの意見に「リアクションボタン」を押したりするだけでもいい。

 ワオフルの辻田寛明代表は「仮想空間で人に対して慣れていき、現実のフリースクールや学校に戻るステップにしてもいいし、通信制の学校に進んでもいい。もちろん、カレッジを活用し続けてもいい」と話す。

 希望する場合は、毎月学校に子どもの履修状況や活動の様子を報告して、出席認定を取得することもできる。認定は各校の校長の判断となるが、90%以上の認定実績があるという。「カレッジ」で深めた学びをきっかけに、大学の総合型選抜(AO入試)を目指している生徒もいる。

 教室の隣に「ひとりブース」がある。「学校には行こうと思うけれど、教室には入りたくない」という状態はオンライン上でも起こる。ここにアバターを座らせると、他のアバターから話しかけられない。個人用の自習室になる。

 逆に学年を超えて楽しめる「部活動」もある。「マインクラフト」「アニメ」など好きを共有する子同士で楽しめる。自分がやりたい新しい「部活」をつくることもでき、教育に関心のある大学生がイベントを企画することもあるという。

 地図上にはないオンラインの教室には、北海道から九州まで小中学生約60人が「通学」している。

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