なぜFFは毛嫌いされるのか?「走りならリヤ駆動」って本気でわかっていってる? FF嫌いは単なる刷り込みな可能性大!

「走りならリヤ駆動」って本気でわかっていってる? FF嫌いは単なる刷り込みな可能性大!

なぜFFは毛嫌いされるのか?

いまや乗用車の大半はFF車だ。FF車は効率がいい。エンジンと駆動系が一体となってフロント部に集中するので、部品点数が少なく、製造コストを下げられる。横置きエンジンなら室内も広くできるし(フロアも低く平らにできる)、車重も軽くできるので、燃費も有利。重量物がフロントに集まっているので、直進安定性がいいというのがメリットだ。

 このようにとっても合理的であるがゆえに、今日のFF全盛期を迎えたわけだが、走りにこだわる人、ハンドリングの質感にこだわる人には、FFアレルギーがある人がいるようだ。当今のように軽自動車からミニバンまで、FFもしくはFFベースが主流になっても、FFにネガティブなイメージがあるのはなぜなのか。

 主に4つの理由が考えられる。

 ひとつ目は、重量配分がフロントヘビーになってしまうため。エンジン、駆動系がすべてフロント部で完結するFF車は、質量の中心がフロントに集中するため、必然的にフロントヘビーのクルマになる。それを相殺するためと、FFの長所である室内スペースとトランクルームをより広くするために、ホイールベースを長くとる傾向があるが、フロントヘビーでロングホイールベースということは、直進性に優れる代わりに操縦性は劣るということ。

 何事も一得一失は世の常なので、真っ直ぐに走るのが得意なクルマは、基本的には曲がりにくい。これが、ハンドリングにこだわる人がFF車を避ける第一の原因。

 ふたつ目はトラクションの問題。クルマはアクセルを踏んで加速をすると、荷重が後ろに移動し、ノーズアップ、前上がりの姿勢になる。これは物理的な問題なので、どんなクルマも避けられない。しかし、FF車は前輪が駆動輪なので、発進時やコーナリングの脱出時、あるいは加速時にアクセルを踏み込むと、フロントの荷重が薄れて、駆動輪にかかる荷重が減って、大きなパワーをかけるとそれを受け止めきれなくなり、トラクションが抜けてしまうことになる。したがって、FF車は原理原則として大パワーエンジンには不向きだ。

走りの性能だけを見ればFFもFRも大差はない

 3つ目は、横置きエンジンに限定されるが、アクセルのオン・オフで、エンジン自体が前後に首を振り、その違和感がどうも気になるというケース。

 最後はもっと単純で、いわゆるパワースライドができないから。アクセルオンでヨーイングを大きくできるのは後輪駆動車の特権なので、これが手放せない人はFFアレルギーになってしまう。

 もっとも、フロントヘビーによるアンダーステアとトラクションがかかりづらい問題は、タイヤの性能が飛躍的にアップしたことで、ほぼ解消したといえる。シビックタイプRのように、330馬力/420Nmのターボエンジンですら、FF車に搭載できるようになったのがその証だ。もちろん、シャシー・サスペンションの進化、電子制御の進化も大きく貢献していて、後輪駆動車よりハンドリングのいいFFスポーツも珍しくなくなってきているほど。

アクセルのオン・オフによる、横置きエンジンの首振りも、マウントブッシュの位置や材質、設計、精度の問題なので、気にならないレベルになってきた。

 最後のパワースライド云々に関しては、良し悪しというより好き嫌いの問題なので、ここが最後のわかれ目かもしれないが、どうしてもFRがよければ、RZ34やGR86/BRZ、NDロードスターなど、新車で選べるFRスポーツもあるし、GRヤリスほか、4WDスポーツという選択肢もある。輸入車ならMRやRRもあるので、そちらを選ぶ手もあるが、走りの性能だけを客観的に見れば、FFもFRも大差はなく、いいFFもあればイマイチのFFもあるというだけ。いいFFは並のFRよりもハンドリングが優れていて、そのまた反対も当然ある。

 いまや駆動方式にかかわらず、いいクルマはいいし、残念なクルマは残念で、すべては個別の問題レベル。

FFの走りっぷりにネガティブなイメージを抱くのは、少々先入観が強すぎると思われる。

 もっとも、物理的な資質でいえばFFがスポーツ走行に不利なのは事実なので、FFのハンドリングをよくするために注いだ技術とエネルギーをFRに注いだら、もっといいFR車ができたのだろうな、と思う気もちが拭えないことまでは否定できない……。

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