「Pixel 10」を触ってみて分かった、Proモデルに引けを取らない実力
夏の終わりとともに、Googleは「Made by Google」イベントを通じて、秋のテクノロジーシーズンへの移行を本格的に始動した。このイベントで発表された注目製品の1つが、同社の「Pixel 10」シリーズである。その中でも、標準となるPixel 10は特に注目すべきモデルだ。
実際に全ての新機種に触れてみた結果、Pixel 10はほとんどのユーザーにとって最適な選択肢だと確信した。その理由は、前モデルと同じ799ドル(12万8900円)という価格で、カメラやバッテリー、そして数々の新しいAI機能を支えるチップセットなど、待望のアップグレードが実現されている点にある。
ここでは、Pixel 10について筆者の第一印象を紹介する。
1. デザイン
まずデザイン面では、Pixelシリーズの伝統的なコンパクトで洗練された感触がPixel 10にも継承されている。前モデルとほぼ同じサイズと重量(わずかに重くなっている)で、手にしっくりと馴染む快適さを保っている。本体の角は丸みを帯びており、側面はアルミニウム素材を採用している。また、前面・背面ともにCorningの「Gorilla Glass Victus 2」を使用した滑らかな仕上げが特徴で、「Pixel 9」の美しさを踏襲しつつ、新しいカラー展開も加わった。
新色には、従来のObsidianに加え、「iPhone 16」のウルトラマリンに似た鮮やかなブルーのIndigo、青みがかった繊細なホワイトのFrost、鮮やかなイエローグリーンのLemongrassが登場している。ガラスのような光沢仕上げは美しいが、指紋が付きやすいため気になる人は注意が必要だ。防水・防塵性能はPixel 9と同様、IP68等級を維持している。
ディスプレーも刷新され、屋内外を問わず快適な画面体験を提供する。6.3インチの「Actua」ディスプレーは、Pixel 9の最大輝度2700ニトから3000ニトへと向上し、好評だった120Hzのリフレッシュレート、2424×1080の解像度、OLEDパネルも引き続き採用されている。
2. 高性能なカメラシステム
Pixel 10の大きな進化の1つが、カメラシステムである。これまでの標準モデルの中で最も高性能であり、新たに搭載された5倍望遠レンズにより、広い光学ズーム範囲と最大20倍の超解像ズームが可能となった。実際に使ってみると、遠くの被写体でも鮮明に撮影でき、ズームを最大にしても画質が保たれる点が印象的だった。この機能により、標準モデルとProモデルの差がさらに縮まっている。
カメラ構成は、従来のデュアルカメラからトリプルカメラへと進化し、4800万画素のメインカメラ、1300万画素のウルトラワイドカメラ、そして新しい1080万画素の望遠レンズを搭載している。ただし、フロントカメラに関しては、Pixel 9の1050万画素の自撮りカメラがそのまま引き継がれており、大きな進化は見られない。悪くはないが、最高とは言えない。
3つ目のレンズが追加されたことで、センサーのスペック自体は若干ダウングレードされたが、新しい「Tensor G5」チップセットによって強化された画像処理プロセッサー(ISP)が、写真の品質向上に貢献している。Googleは、この構成が「最高の画像と動画の品質」を提供するとしている。
デモルームで撮影した写真は、前面・背面ともに鮮明で満足のいく仕上がりだった。ただし、さまざまな光条件下での性能を評価するには、今後の詳細なテストが必要だ。カメラのハードウェアだけでなく、写真撮影ソフトウェアもAIによる大幅なアップグレードが施されており、撮影・編集体験の向上が期待される。
3. Tensor G5
Pixel 10には、Googleが開発した新しいTensor G5チップセットが搭載されており、これによって多くのAI機能が可能になっている。このプロセッサーは「Gemini」向けに設計されており、Googleによれば、TPU性能は最大60%、CPU性能は最大34%向上したという。これまでで最もAIに最適化されたチップセットとなる。
実際の使用環境での性能評価は今後必要だが、このチップセットは、前述のISPの強化、30時間超のバッテリー持続時間、AI機能の使用時の体験向上など、Pixel 10の計算処理能力を大きく支えている。
さらに、クラウドでの処理を避けてデバイス上で処理を行うことで、速度の向上だけでなく、情報が端末内にとどまるためプライバシー保護にもつながる。Tensor G5は、Googleの「Gemini Nano」モデルを端末上で実行できるため、カメラ、テキスト、通話など、スマートフォンのほぼ全ての機能にAIが深く組み込まれている。
4. AI機能
AI機能についても、Googleは前年に続き、今回の新しいハードウェアに多くの新機能を搭載している。多くのテック企業が類似機能を競ってリリースする中、Googleは一部のユーザーにとって真に価値ある独創的な機能を提供している点が印象的だ。
その代表例が「Camera Coach」機能である。名前の通り、AIが完璧な写真を撮るためのサポートをしてくれる。段階的な指示を出し、最終的な写真の参考となるサンプル画像まで生成してくれる。フィードバックには、画角や照明の調整などが含まれている。
その他にも、自然言語で画像編集ができる「Edit with Ask Photos」機能、ユーザーの行動に基づいて関連情報やアクションを提案する「Magic Cue」、必要な情報を一カ所にまとめる「Daily Hub」などが新たに加わった。既存の「Best Take」や「Add Me」などの機能も強化されている。
これらの機能は、ソフトウェアアップデートを通じて旧モデルにも提供される可能性があるが、処理能力の違いや新モデルへの移行を促すため、Tensor G5専用となる可能性もある。
5. Pixelsnapの登場
Pixel 10では新たに「Pixelsnap」技術が導入された。これは、「iPhone」の「MagSafe」に似た体験をPixelにもたらすもので、マグネット式アクセサリー(充電器、マウント、ドックなど)にスマートフォンを簡単に取り付けられる。「Qi2」ワイヤレス充電にも対応しており、高速ワイヤレス充電の恩恵を受けられる。
Googleは、「Pixelsnap Charger with Stand」や「Pixelsnap Ring Stand」も発表しており、スマートフォンを立ててハンズフリーで使用できる。映画鑑賞、SNSの閲覧、ビデオ通話などに最適な使い方ができる。
既存のMagSafe対応製品と互換性があると思われるため、市場に出回っている数千もの製品がPixelでも利用可能となるだろう。