プレステ5がアメリカで値上げ。トランプ関税を批判する声がSNSで続出
ソニーは8月20日、主力ゲーム機「PlayStation 5」の3バージョンをアメリカで約50ドル(約7400円)値上げすると発表した。
ソニーのグローバルマーケティング担当副社長イザベル・トマティス氏は値上げについて「多くのグローバル企業と同様、私たちは依然として厳しい経済環境の中で事業を展開しています」と説明している。
「その結果、アメリカでPlayStation 5の希望小売価格を8月21日から引き上げるという難しい決断を下しました」
値上げで、2020年の発売当初500ドル(約7万4200円)だった標準モデルは549.99ドル(約8万1600円)になった。
ディスクドライブ非搭載の「デジタルエディション」は450ドル(約6万6800円)から499.99ドル(約7万4200円)に、人気の「Pro」は749.99ドル(約11万1400円)になる。
ソニーは20日の発表で、トランプ大統領が導入した関税について触れていない。
しかし最高財務責任者のリン・タオ氏は5月に行われた投資家向けの収支報告説明会で「関税分を製品価格に上乗せする可能性がある」と述べている。
ソーシャルメディアで怒りや嘆きの声
プレステ5の値上げについてSNSには怒りや嘆きの声が投稿されている。
あるゲーム愛好者は、「初代プレステから使っているけれど、発売から時間が経って値下げされるのではなく、逆に値上げされたのは記憶にある限り初めて」とXに投稿。
また「トランプに投票した人のせいでこうなった」という大統領や支持者を批判する声や、「トランプが100%悪いのは間違いないとしても、ソニーは関税のコストだけであれば吸収できたはずだ」という意見もある。
トランプ氏は4月、すべての輸入品に一律10%の「基準関税」を課し、約60カ国に対してはそれ以上の税率を設定すると発表した。
その後の交渉で、日本からの製品に課される関税は15%になり、8月7日から適用されている。
トランプ氏は、関税を導入して「アメリカの製造業を復活させる」としているが、アメリカ国内での価格上昇や世界的な景気後退などを招きかねないという懸念が生じている。
SNSでの議論は、「ソニーが値上げを責任転嫁している」と非難する側と、「トランプ関税のせいだ」と関税政策を糾弾する側にわかれているようだが、「5年前に発売されたゲーム機が、なぜこんなに高額になっているのか理解できない」と困惑する意見も少なくない。
なぜゲーム機は高額になったのか PS5の米国の値上げから考察
ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の米国の価格が50ドル値上げされ、約550ドルになりました。日本では何度も値上げされていますが、米国では初めて。先日は、任天堂も初代「ニンテンドースイッチ」(通常版)の米国価格を40ドル値上げして約340ドルになりました。
現在人気の「ニンテンドースイッチ2」の価格は約450ドルで、日本は特別に約5万円ですが、従来の任天堂のゲーム機からすると高価格なのは確かです。なぜ今のゲーム機は高いのでしょうか。理解の参考になる記事を挙げながら、考えてみます。
ココがポイント
「プレイステーション5」を50ドル値上げ、ソニーが「苦渋の決断」
出典:TBS CROSS DIG with Bloomberg 2025/8/21(木)
任天堂、初代スイッチを米国で値上げ--トランプ関税の影響か
出典:CNET Japan 2025/8/4(月)
Z世代の77%がNintendo Switch 2の発売が楽しみと回答(略)購入したいと回答している人は28%
出典:PR TIMES(RECCOO) 2025/4/23(水)
世界が平和だったらゲーム機も買いやすいのにね』という感じで、社会情勢による影響がとても大きい
出典:窓の杜 2025/5/8(木)
エキスパートの補足・見解
世界で売れるゲーム機は、世界経済の影響を受けやすいもの。そして世界的にインフレ基調にあるため、値上げされたり、高額化しつつあります。新型コロナで増加した需要に加え、流通網の混乱や戦争なども影響しています。
家庭用ゲーム機は、新型が出るたびに高性能化が進むため、価格が上昇しやすい商材です。一方で、ヒットの量産効果が見込めるため、かつては値下げが期待できたーーそうした時代もあったのです。
しかし現在、“構図”は変わりました。人件費や生活コストも上昇しており、ゲーム機だけが例外になりません。なお米国では、日本や欧州に比べて低価格のゲーム機が売れる傾向にあります。例えば、初代スイッチもライトが良く売れますし、割安の再生品PS5が販売されています。
米国でのPS5の値上げが意味するのは、経営で“守り”に入ったということ。発売初年度は、本体が逆ざやでも普及を優先していました。しかし世界累計出荷台数が8000万台を突破した今、赤字でも売るような極端なリスクを負う必要はありません。
ただし価格が高くなるほど新規への普及にブレーキがかかるのは確か。厳しい状況の中で、今後各ゲーム会社の業績がどうなるのか。注目されます。