パソコンのゴミ箱を空にしてしまった! 復元はできるの?【専門家が解説】
パソコンの「ゴミ箱」を空にしてしまったけれど、復元したい……。このような場合、実際には可能なのでしょうか。
「All About」ノートパソコンガイドの上倉賢が解説していきます。
(今回の質問)
パソコンのゴミ箱を空にしてしまった! 復元はできるの?
(回答)
パソコンのファイルを削除操作した場合、いったんゴミ箱に入ります。そのゴミ箱から削除すると、実際にデータの削除が行われます。ゴミ箱からも削除した場合、通常の操作では復元できませんが、特殊な方法でデータを復元できることもあります。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
◆ゴミ箱から消してもデータは復元できる場合も?
パソコンで普通にファイルを削除すると、ゴミ箱内に入ります。ゴミ箱内のファイルは簡単に復元可能。これは、実際には削除操作=ファイルをゴミ箱というフォルダに移動させる操作だからです。設定によっては、自動的にデータを完全に削除する機能などもありますが、ゴミ箱内にある限り、データはそのまま残っています。
また、ゴミ箱からファイルを削除したり、そもそもゴミ箱に入れずに削除する完全削除の操作をした場合、データを完全に消しているようなイメージだと思うかもしれませんが、これも違います。実際には、ファイルの目印情報だけを消し、その場所にデータを書き込める状態にしているだけです。つまり、削除操作をすると、ストレージの空き容量が増えるだけで、ファイルのデータ自体はそこに残っているのです。逆にいえば、削除後に残っている部分を他のデータで上書きしない限り、データは復元できる可能性があります。
◆実際に復元するには?
WindowsなどのOSにおける通常の操作では復元はできませんが、データの復元ソフトを使えば、空いている場所に残っているデータから復元できる可能性があります。こういったソフトは空き容量の中から、消したファイルの目印を探して、ファイルを元に戻す操作をします。そのため、データ削除後にその場所にデータを上書き保存していなければ、データの復元は可能かもしれません。うっかり削除したことに気づいたら、データを本当に消さないように、それ以上パソコンを使うのは止めましょう。
しかし、データの復元は単純ではありません。データ構造が単純で、データ量自体も小さいテキストファイルなどはどの復元ソフトでも復元できると思いますが、復元が困難なファイルもあります。例えば動画の場合、1つの動画ファイルに映像、音声など複数のファイルが入っており、データ自体も大きいです。このようなファイルの場合、復元ソフトによっては、元の状態に戻せないこともありますし、復元できても一部のみだったりします。
何より、このような復元はあくまでも最終手段。それを防ぐためにも、重要なのはデータのバックアップです。データは、コンピューターの不具合などではなく、ユーザーの操作ミスで失うことも多いもの。バックアップしてあれば確実にデータは復元できます。