ペットを飼っていて冷房を24時間つけっぱなし……電気代はどれくらいになる?【専門家が解説】

ペットを飼っていて冷房を24時間つけっぱなし……電気代はどれくらいになる?【専門家が解説】

ペットを飼っているなどの理由で、エアコンを1日中つけっぱなしにしている、という人もいるでしょう。この場合、電気代はどれくらいかかるのでしょうか。

「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が、24時間冷房を使用した場合の電気代の目安と、少しでも電気代を抑えるためのコツを解説します。

 (今回の質問)

ペットを飼い始めて、冷房を24時間つけっぱなしです。電気代はどれくらいになりますか?

 (回答)

一概には言えませんが、気になる場合はワットチェッカーで調べるのも手です。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

◆冷房を24時間使った場合の電気代の目安は?

エアコンの電気代は、エアコンの省エネ性能や設定温度、外気温、部屋の広さと断熱性能などによって変動するため、一概にいくらくらいとは言えません。

これらを考慮しつつ、一般的な目安を計算してみましょう。ここでは、平均的な運転時の消費電力を500W(0.5kW)とし、電気料金単価を1kWhあたり31円とします(電気料金単価は地域や契約プランによって異なります)。

・1時間の電気代: 0.5kW × 1時間 × 31円/kWh = 15.5円

・1日の電気代(24時間): 15.5円 × 24時間 = 372円

・1カ月の電気代(30日): 372円 × 30日 = 1万1160円

これはあくまでエアコン単体の目安であり、ほかの家電の電気代は含まれていません。また、エアコンは設定温度に達するまでは最大能力で運転し、その後は能力を落として運転するため、常に500Wを消費するわけではありません。外気温が低い日や、部屋の断熱性が高い場合は、これより安くなる可能性もありますが、真夏日であればこれ以上の電気代がかかることも十分にありえます。

◆エアコンをつけっぱなしにした方が電気代がお得になる?

エアコンは「こまめにオン・オフする」よりも「つけっぱなし」の方が得と、WebサイトやSNSなどで目にした人もいるでしょう。こちらもいろいろな条件によって異なるため一概には言えません。ダイキン工業が2016年に実施した実験では、外出時はエアコンをオフにする「こまめに入り切り」では9時から23時の運転で4.4kWh(1kWhあたり31円換算で約136.4円)、「つけっぱなし」では5.7kWh(同176.7円)という差が出ています。

ただし、運転をオフにすると室温が上がってしまうため、ペットを飼っている家庭ではペットの命を危険にさらしてしまうことになりかねません。決して小さな差ではないかもしれませんが、大切な命を守るためには仕方のないところではないでしょうか。

◆少しでも電気代を抑えるためのコツは?

電気代を抑えつつ、ペットにとって快適な室温を保つためには、いくつかの工夫が有効です。

▼設定温度の最適化

犬や猫の場合、一般的に25℃前後が快適とされています。鳥類や爬虫類、小動物など、種類によって適温は異なるため、飼っているペットの適温を調べましょう。人間にとって少し暑いと感じるくらいが、ペットには適温なこともあります。

▼サーキュレーターや扇風機との併用

エアコンの冷気は下にたまる性質があるため、サーキュレーターや扇風機で空気を循環させることで、部屋全体の温度ムラをなくし、効率よく冷やせます。部屋の中に風を送ることで、設定温度を1~2℃上げても快適に感じられる場合があります。風が直接ペットに当たり過ぎないよう、天井や壁に向けて使用するのがおすすめです。

▼断熱性の向上

遮光・遮熱カーテンやすだれ、遮熱フィルムなどを利用して、窓からの熱の侵入を防ぎましょう。これはエアコンの効きをよくし、電力消費を抑える上で非常に効果的です。冷気が逃げたり、外の熱気が入ったりするのを防ぐために、すき間テープなどで密閉性を高めるのも有効です。

▼室外機の環境整備

直射日光が当たる場所に室外機がある場合、通気を妨げないように日よけを設置することで、冷房効率が向上します。また、室外機の前方に物を置かず、風通しをよくすることも大切です。

▼フィルターの定期的な掃除

エアコンのフィルターが汚れていると、冷房効率が低下し、余分な電力を消費します。2週間に1回程度を目安に掃除しましょう。

▼自動運転モードの活用

エアコンの「自動運転」モードは、設定温度に到達すると消費電力を抑えて運転するため、常に強運転にするよりも効率的です。

これらのコツを実践することで、ペットに快適な環境を提供しつつ、電気代を賢く節約することが可能です。

◆ワットチェッカーで電力量を計測するのもおすすめ

ちなみに、筆者は電力消費量を計測できる「ワットチェッカー」などと呼ばれる機器をエアコンのコンセントに接続し、毎月の消費電力量を計測しています。

2024年7月は必要に応じてオン・オフするようにしていたのですが、2025年の夏は自宅にいることが多いこともあり、25℃設定でつけっぱなしにしています。2024年7月は1カ月間で70.04kWh(約2171円)だったのに対し、2025年7月は7月16日までの16日間で39.74kWh(約1232円)、1カ月に直すと76.99kWh(約2387円)でした。同じ環境下ではないものの、1カ月あたりで見るとほとんど違いがないという結果になりました。

つけっぱなしにするとどのくらいの電力消費量になるのか気になる人は、ワットチェッカーを導入して計測してみてはいかがでしょうか。設定温度を変えたら電力消費量がどのくらい変わるのかなどについても実験してみると、自分なりの快適性と省エネ性のバランスを見つけられるかもしれません。

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