SingleStore、日本市場に本格参入--AI対応データ基盤の需要に対応
米国に拠点を置くデータベース企業のSingleStoreは8月5日、日本市場への本格参入を発表した。日本が国家戦略としてAIの活用を加速させる中、同社は超低遅延のAI対応データベースプラットフォームを提供していく。
SingleStoreは、2011年にMemSQLとして設立され、当時はインメモリー型の高速なオンライントランザクション処理(OLTP)データベースを提供していた。2020年に現在の社名に変更され、現在はトランザクション処理と分析処理(OLAP)を1つのエンジンで実行できる「HTAP(Hybrid Transactional/Analytical Processing)」型のデータベースを展開している。
SingleStore 最高経営責任者(CEO)のRaj Verma氏は「日本への進出は、世界のAIの進化を支えるという当社の使命において、戦略的かつ象徴的な一歩だ。日本の技術力とイノベーションの波に、当社のリアルタイムかつAI最適化されたデータ技術が貢献できることをうれしく思う」と述べる。
同社は近年急成長を遂げており、年間経常収益(ARR)は過去4年間で1000万ドルから1億ドル以上に拡大。2022年の資金調達ラウンド後には、評価額10億ドル超のユニコーン企業となった。現在、世界50カ国以上に顧客を持ち、日本は8番目の拠点となる。
日本事業の責任者には、西岡正氏がマネージングディレクターとして就任。同氏の指揮のもと、同社は戦略的な人材採用、主要クラウド事業者やシステムインテグレーター(SIer)との連携、金融・製造・通信・ヘルスケアなど多様な業界へのサービス提供を通じて、日本国内での事業基盤を拡大する方針だ。
西岡氏は「私たちの目標は、日本企業が求めるパフォーマンス、スケール、シンプルさを提供し、AIビジョンの実現を支援することだ。日本企業特有のニーズを深く理解し、精密さ・品質・継続的改善という文化に寄り添いながら、信頼されるパートナーとしてAIの可能性を最大限に引き出していきたい」と語った。
アジア太平洋(APAC)地域では、すでに日本経済新聞社、サムスン電子、Tata、DBS銀行、Posco、6senseなど100社以上の企業を支援しているという。
同社の統合プラットフォームは、ハイブリッドトランザクション/分析処理(HTAP)、ベクトル検索、全文検索、低遅延のストリーミングデータインジェストを独自にサポート。サーバーレスインジェスト、統合AI機能、開発者向けに最適化されたワークフローを標準で備え、柔軟性と高い応答性を兼ね備えたAIアプリケーションの構築を可能にする。
また、構造化データと半構造化データの両方をネイティブに処理し、「Snowflake」「Postgres」「Microsoft SQL Server」「Oracle Database」「MySQL」などの主要プラットフォームとの互換性を持つことで、クラウド環境全体でのスケーラビリティーを実現。企業はデータアーキテクチャーを統合しながら、複雑さと遅延を大幅に削減可能という。