日産新型「エルグランド」発売へ! 1.5Lハイブリッド搭載した“背が高い”高級ミニバンに進化! 約500万円&NISMO新設定で「アルファード」に対抗も!? 次期型どうなる?

日産新型「エルグランド」発売へ! 1.5Lハイブリッド搭載した“背が高い”高級ミニバンに進化! 約500万円&NISMO新設定で「アルファード」に対抗も!? 次期型どうなる?

約500万円&NISMO新設定も!?

「ミニバン」は今でも人気のカテゴリーとなっており、小型/普通乗用車が台頭したものの、新車販売比率は2割にのぼります。

 そしてこれから登場するミニバンの新型車として、4代目となる次期型の日産「エルグランド」が注目されます。

 初代エルグランドは1997年に発売され、翌年には1か月平均で約4700台を登録する人気車になり、当時のライバル車であるトヨタ「グランビア」を上まわるほど売れ筋となりました。

 しかしその後、トヨタはエルグランドに猛烈な対抗意識を燃やし、ライバル車として渾身の初代「アルファード」を開発。プラットフォームを前輪駆動に改め、外観、内装、居住性、走行性能まで大幅に進化させています。

 初代アルファードの発売は2002年5月22日と、なんと2代目エルグランドの発表日(5月21日)の翌日に登場。報道発表会には、CMで起用した俳優のジャン・レノ氏を招き、エルグランドに徹底的な差を付けました。

 一方、2代目エルグランドは、当時の日産が経営危機に陥っていた事情もあり、後輪駆動の古いプラットフォームを使い続けました。

 2010年に登場した3代目エルグランドから前輪駆動になったものの、これも外観やシートアレンジが災いして人気が低迷。2024年における1か月平均登録台数は約120台に留まるのですが、これは1998年のわずか3%となっています。

 現行エルグランドは発売から15年を経過していることもあり、日産としては現行モデルで終了する意図もあったでしょう。

 しかし最近はライバル車のアルファードが重役の移動に使う社用車としても人気を高める一方で、今の日産には法人向け高級車「プレジデント」や「シーマ」がありません。

 ミニバンが海外で販売できる市場環境に変わってきた影響もあり、エルグランドを改めてフルモデルチェンジすることになりました。

 日産の販売店では、新型エルグランドについて以下のように述べています。

「現行エルグランドの受注は(2025年)7月3日に停止しました。今では少数の在庫車のみを売っています。

 新型モデルの登場は来年(2026年)の7月から8月で、納車の開始は9月から10月だと思います」

 そんな新型エルグランドは「現行モデルの5つの反省」に基づいて開発されています。現行モデルの売れ行きが最盛期の3%に留まる理由を見直して、“売れるラージサイズミニバン造り”を目指しました。

■現行モデルの反省その1:フロントマスクのインパクトが弱かった

 ライバル車のアルファードと、その姉妹車の「ヴェルファイア」は、先代モデル・現行モデルともに、フロントマスクに厚みを持たせて存在感も強いです。その点でエルグランドのフロントマスクは、スポーティなもののインパクトが弱いと言わざるを得ません。

 特に2014年にマイナーチェンジを受ける前は、顔立ちが大人しく、新型車の時点でも売れ行きを増やせませんでした。

 そこで新型モデルは、ボンネットを水平基調に改めて、フロントマスクに厚みを持たせることになります。なおかつフロントグリルは、丸みを付けながらも直立させたデザインで、存在感とスポーティ感覚を兼ね備えます。

■現行モデルの反省その2:ルーフが中途半端に低かった

 現行エルグランドの全高は1815mmです。アルファードは大半のグレードが1935mmなので、エルグランドは120mm低いです。

 ルーフが低いと外観がスポーティに見える半面、前述の大人しいフロントマスクと相まって、存在感が一層乏しくなりました。またミニバンは、車内の広さを外観でも表現する必要がありますが、背が低いと肝心の車内が広く見えなという課題も生じます。

 新型モデルは、全高を1900mm前後に高める必要があります。アルファードよりも背が少し低くスポーティ感覚を残しますが、存在感も強まるはずです。

1.5リッターターボ×e-POWER搭載!

■現行モデルの反省その3:ミニバンでは室内高が乏しく3列目の座り心地も不満だった

 前述の全高1815mmに抑えたことと関係するのが、ミニバンでは室内高が低めということ。室内高の数値も1300mmで、アルファードの1360mmを下まわり、エルグランドは頭上の空間が少々窮屈です。

 また室内高が足りないため、3列目シートに座ると床と座面の間隔も狭く、足を前方へ投げ出す座り方となり、ラージサイズミニバンなのに、3列目があまり快適ではありません。

 新型モデルは、全高を1900mm前後に設定することで、頭上の空間に余裕を持たせます。3列目の床と座面の間隔も広がり、着座姿勢も改善。多人数乗車時の快適性を向上させます。

■現行モデルの反省その4:3列目の格納方法と荷室の使い勝手が不評だった

 現行エルグランドの3列目は、背もたれを前側に倒して格納します。格納時には、広げた荷室の床が3列目のために持ち上がって荷室高が不足し、3列目を格納して大きな荷物を積みたいユーザーには不便です。

 新型モデルの3列目シートは、アルファードなどと同様に、一般的な左右跳ね上げ式に改めます。広げた荷室の床が下がり、荷室高にも余裕が生まれます。

■現行モデルの反省その5:ハイブリッドが用意されていない

 現行エルグランドのエンジンは、2.5リッター直列4気筒ガソリンと3.5リッターV型6気筒ガソリンを搭載していますが、現在ミニバンではハイブリッドの搭載が常識となっているなか、エルグランドでは選べません。これも販売が低迷する要因です。

 そこで新型エルグランドは、ハイブリッドの「e-POWER」搭載車となり、ガソリンエンジンを廃止。

 しかも新型エルグランドのe-POWERは、設計が最も新しい第3世代となり、発電用の1.5リッターターボエンジンは、燃焼効率の優れた一定の回転域を保つことで、燃費を向上させます。

 ただし速度やアクセル操作とは無関係にエンジン回転数が一定に保たれると、ドライバーや同乗者に違和感が生じるので、新型エルグランドの第3世代e-POWERは、ノイズを徹底的に小さく抑えて、発電用エンジンを意識させないように開発し、運転感覚を電気自動車(EV)に近付けると言います。

 駆動用リチウムイオン電池にも十分な容量を持たせます。発電用エンジンが効率の優れた一定の回転数で回り続けると、低回転域を使わないため、走行状態によっては過剰な発電が行われます。それを余裕のあるリチウムイオン電池に蓄えて、エンジンを停止させて走る距離を伸長させます。

 なお一定の回転数で回すため、すでに「エクストレイル」に搭載されているe-POWERとは異なり、1.5リッターターボエンジンに圧縮比を変化させる機能は装着されません。そのためにコストを抑えられます。

 WLTCモード燃費は不明ですが、ライバル車を見ると、アルファード&ヴェルファイアハイブリッドの2WDが17.5~18.9km/L、ホンダ「オデッセイ」のe:HEVは19.6~19.9km/Lです。そうなると新型エルグランドは、20km/Lを目指すでしょう。

 新型エルグランドで気になる価格は、ベーシックなグレードが約500万円で、機能を充実させた主力グレードは600万円前後になることが予想されます。

 現行モデルでは2.5リッターガソリンエンジンを搭載するエントリーグレードの「250ハイウェイスターS」が408万2100円で用意されますが、これに比べると少なくとも約100万円は値上げされることになりそうです。

 新型エルグランドにとって辛いのは、2025年1月に、アルファードが「ハイブリッドX」を比較的安価な510万円で追加したことです。

 2列目がベンチシートのみの実用的なグレードですが、安全装備などは充実しており、法人ユーザーを含めて需要が多いです。

 新型エルグランドもこのアルファード ハイブリッドXを無視できず、500万円前後のグレードを用意し、その上で、アルファードの「ハイブリッドZ」(635万円)に対抗する主力グレードを600万円前後に設定するでしょう。

 さらに新型エルグランドでは、スポーティな「NISMO」、質感を高めたプレミアムな「AUTECH」などの派生モデルも用意。

 経営状況が悪化している日産では、トヨタと違って車種を豊富にそろえることはできず、そこでグレードの数を増やして選択肢を充実させるという方法を取ることになります。

 思い返せば、初代エルグランドが登場した1997年は、日産の経営悪化が表面化した時代でした。その中で初代エルグランドは好調に売れて、日産の国内販売を支えました。

 4代目となる新型エルグランドも、リストラを迫られる今の日産を窮地から救ってくれるでしょう。

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