Mercedes AMG Mythos メルセデス・ベンツの新たな最高級少量生産ブランド「ミトス(Mythos)」が目指すのは?

メルセデス・ベンツの新たな最高級少量生産ブランド「ミトス」が目指すのは?

メルセデスのハイエンドを新たに定義

メルセデス・ベンツのプロダクトポートフォリオには、現在カスタマーに究極のパフォーマンスを提供するというメルセデスAMG、そして究極のラグジュアリーをもたらすとされるメルセデス・マイバッハという2つのサブブランドが存在する。

すでにこの両ブランドは高級車市場において絶対的な存在感を得ることに成功しているが、メルセデス・ベンツは2022年、メルセデスAMGとマイバッハを超える「超高級コレクターズカー」を手がける新ブランド「Mythos(ミトス)」を立ち上げると発表した。

ミトスとは、ギリシア語で「神話」や「伝説」を意味する言葉。その目指すブランドコンセプトを考えれば、まさに納得のネーミングといえそうだ。

そもそもメルセデス・ベンツが、このミトスブランドを立ち上げた直接の理由は、2026年までに同社の売上高を2019年比で60%増加させるという経営目標を達成することにあった。

収益性の低いコンパクトモデルのラインナップを縮小する一方で、プロダクトポートフォリオのハイエンドに置かれるモデル、すなわち利潤の高いモデルに注力することで、より優れた財務体質を実現。それによって2020年代の半ばまでには営業収益率で14%を達成するという目標を掲げてみせたのだ。

そのために必要とされたのが、メルセデスAMG、あるいはメルセデス・マイバッハよりもさらに高級で高性能な、すなわち新たなメルセデス・ベンツのハイエンドを定義するミトスというブランドだったのである。

マイバッハを超える「ミトス」シリーズを新設 メルセデスが未来予想図を発表

メルセデス・ベンツはこれからのラインナップに関する長期的な整備計画を発表した。今後は世界で最も高い価値を提供する高級車ブランドを目指すという。

3つのモデル・レンジに再構築

この戦略の骨子はモデル・レンジを再構築。ラインナップを「トップエンド・ラグジュアリー」、「コア・ラグジュアリー」、「エントリー・ラグジュアリー」という新しい3つのカテゴリーに分けられる。そのうえで、投資の75%以上を上位ふたつへ集中することで利益率の向上を図る。

トップエンドはマイバッハ、AMGなどで構成

トップエンド・ラグジュアリーに属するのはマイバッハとAMGの全車、EQSとEQS・SUV、そしてS、G、GLSクラスだ。そのシェアを2026年までに60%ほどへ拡大したいと目論む。

AMGはコンセプト・モデルの「ヴィジョンAMG」で提示された、次世代プラットフォームの「AMG.EA」や革新的なモーターを用いて電動化を促進。高性能EVの実用化を目指す。マイバッハはEQS・SUVやSLなどにもラインナップを拡充する。

Gクラスの電動化も待ったナシ

また、電動化の波はGクラスにも及ぶ。それはシリコンバレーのシラ・ナノテクノロジーズ社が開発した新素材を導入した革新的なバッテリーを導入する初のメルセデス・ベンツになる予定だ。また、バリエーションの拡大も検討されているという。

マイバッハSクラスに150台限定で用意された「ヴァージル・アブロー」仕様のような、厳選されたコラボレーションによる限定車も推進。さらに、特別なコレクターズアイテムとなる「ミトス」シリーズを新たに設定する。

新型Eクラスは2023年発表

コア・ラグジュアリーは、C、Eクラスとそのバリエーションで、これまでもっとも販売台数を稼いできたモデル群に相当する。2023年に投入する新型Eクラスはデジタルデバイスの新たなベンチマークを目指す。EVに関しては、まずは「EVA2」プラットフォームを用いたEQE、EQE・SUVを発売し、その後は次世代プラットフォームの「MB.EA」へ移行。さらに、EVA2をベースに中国市場専売モデルを開発し、バリエーションを拡充する。

Aクラスをはじめとする前輪駆動プラットフォームを用いるエントリー・ラグジュアリーは現在の7モデルを、よりグレードアップした4モデルに絞り込み、新たな入門価格帯のカテゴリーとして再定義する。2024年に、「ヴィジョンEQXX」に用いられた「MMA」プラットフォームと、新世代OSである「MB.OS」を採用したニューモデルがデビューする予定だ。

2020年10月に、固定費削減や価格設定改善により経済状況に左右されない採算性を目指す財務目標を打ち出したメルセデス・ベンツは、2020年代半ばまでに利益率の8〜14%向上を図るという。経済格差の拡大が進行する時代を、シュトゥットガルトはさらなる高級化に舵を切ることで乗り越えようとしている。

「AMG」よりも「マイバッハ」よりも凄いサブブランドが誕生! メルセデス・ベンツの次なる一手「ミトス」とは

メルセデス・ベンツをさらなる高みへと導くサブブランド

 メルセデス・ベンツのプロダクトポートフォリオ(車種展開)には現在、AMGとマイバッハというサブブランドが存在していることを知る人は多いだろう。前者は究極のパフォーマンスを、そして後者は究極のラグジュアリーをカスタマーに提供するためのサブブランドで、この両ブランドはすでに市場においても絶対的な存在感を得ることに成功したともいえる。

だがそれらは、メルセデス・ベンツにとってはひとつの通過点にほかならなかった。なぜなら彼らは、メルセデスAMGよりも高性能で、かつマイバッハよりもラグジュアリーなシリーズを市場に投じることを、2022年にはすでに発表していたからだ。

 メルセデス・ベンツのもっとも熱心な愛好家に向けて、これからさまざまなモデルがリリースされていく超高級コレクターズカーのブランド名は、「ミトス(Mythos)」という。ミトスとはギリシア語で神話や伝説を意味する言葉であり、かつてフェラーリもテスタロッサベースのコンセプトカーでこの名前を掲げたことがあった。

メルセデス・ベンツにとって今後の課題は、魅力的なラグジュアリープロダクトを生み出すことと同時に、それによる収益性を高めることにあるが、そのためには1台あたりの収益率が高いミトスのようなブランドは、今後そのブランド構築と魅力的な商品の開発に注力していかなければならないものと考えるのが自然な成り行きといえる。

 すでにメルセデス・ベンツからは、このミトスブランドからの第一弾モデルとなるコンセプトカーの「コンセプト・メルセデス AMGピュアスピード」も発表されている。250台の限定で販売されるというこのモデルは、きわめて革新的な、そして同時にメルセデス・ベンツのレーシングカーの伝統を感じさせるルックスをもち、その完成度の高さから判断するに、ほぼこのままの姿で限定生産へとプロセスを進める可能性が高い。

250台という数字はやや大きな数にも思えるが、そこはメルセデス・ベンツというブランドのもつバリューの大きさに比例したもの。フェラーリやランボルギーニとの格の違いを物語る。

AMGとマイバッハとそしてミトスがメルセデス・ベンツを牽引する

 コンパクトなディフレクターが装備されるほかは、フロントウインドウも、そしてルーフも備わらないコンセプト・メルセデス AMGピュアスピード。

そのネーミングのとおり、純粋にスピードを追求したこのモデルには、安全性のためにF1マシンのHALOのようなバーが装備されており、それだけでもドライバーは走りに対して特別な感情を抱くことができるのは間違いのないところだ。さらにミトスのカスタマーは、エアロダイナミクスを熟考したヘルメットを2個、納車時に受け取ることも可能だという。

ロングノーズに新たなデザインへと生まれ変わったシャークノーズ。そしてビッグサイズに拡大されたスリーポインテッドスターのエンブレムなど、コンセプト・メルセデス AMGピュアスピードのフロントマスクは、じつに挑戦的な造形でまとめられている。

 もちろんコンパクトなリヤセクションもシート後方のフライングバットレスや、メルセデス AMGの存在を意識させるストロボパターンから、グラファイトグレーへと色調が変化する仕上げも、AMG ONEと同様にこれもまた相当に手が込んでいる。

ゼッケン10は、1924年のタルガ・フローリオでメルセデス・ベンツが優勝した時に掲げられていた栄光の数字である。

 メルセデス・ベンツは、この「ミトス」の誕生と引き換えに、プロダクトポートフォリオを減少させていく方針であることは確かなようだ。とくにエントリーモデルに関してはその傾向が強く、それは役員クラスのメンバーからもすでに合意を得ているものだと噂される。

メルセデス AMG、マイバッハ、そしてこのミトス。メルセデス・ベンツの将来は、これらのサブブランドによるさらなる高級化戦略にかかっているといってもよい。

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