「Switch 2」は高すぎて子どもが買えない? 任天堂・古川社長の見解 長期化・高騰するゲーム開発にも言及
「Nintendo Switch 2の価格設定は、提供するゲーム体験に見合ったもの」──任天堂の古川俊太郎社長は、定時株主総会の質疑応答でそのような見解を示した。同社は6月27日に開催した「第85期定時株主総会」の質疑応答を、7月2日にWebサイトで公開。株主からは、発売したばかりのSwitch 2に関して、さまざまな質問が飛び交っていた。
Switch 2は6月5日に発売した新型ゲーム機。その価格は4万9980円と、任天堂がこれまで発売してきたハードウェアと比べ、過去最高となっている。株主総会でも「Switch 2は過去のファミコンなどに比べると高額であるため、小さな子どもが触れる機会が少なくなるのではないか」と質問があった。
これに対して、古川社長は「Switch 2 の価格設定は、提供するゲーム体験に見合ったもの」と返答。「重要なのは、ユーザーにそれだけの価値を感じてもらえるような楽しいエンターテインメントの体験を提供していくことだと思っている」と考えを示した。
「Switch 2が過去のゲーム機よりも高額なのは事実。ゲーム機以外で、小さなお子様にも任天堂のキャラクターやゲームの世界に触れてもらうさまざまな機会を作っているが、その目的の一つは最終的にゲーム機で遊んでほしいということになる。その際に、ゲーム機の価格がどれほどのハードルになるかという点には注視している」(古川社長)
また、Switch 2の性能向上による、ゲーム開発費の高騰に関する質問も。「結果としてゲームソフトの値段が上がり。最終的にゲームに触れる人口の減少につながるのではないか」という指摘もあった。
古川社長は「昨今のゲームソフト開発は大規模化、長期化しており、その結果として開発費も上がっている。元来、ゲーム事業はリスクの高いビジネスだが、開発のコストが上がることでリスクはより高まっていると認識している」と、ビジネス上でのリスクが高まっていることを認めた。
その上で、任天堂の従来のものづくりを維持するために、開発チームはさまざまな工夫を行っているという。「必要な投資を行いながら、いかに効率良く開発を行えるかが大切だと思う」と古川社長。続けて「短い開発期間ながらも、ユーザーに『これは面白いアイデアだ』と思っていただけるようなゲームソフトの開発も可能であると考えている」とも答え、短期開発のゲームへの開発意欲も示した。
マイニンテンドーストアでの抽選販売を決めたワケ
他にも、株主総会ではSwitch 2の抽選販売に関する質問もあった。任天堂のECストア「マイニンテンドーストア」では、ニンテンドーアカウントを持つユーザー限定での販売としている。この理由について、古川社長は次のように語った。
「ニンテンドーアカウントは、長期の視点で当社がユーザーと良好な関係を築くために、Switchの発売より前に導入した仕組み。以前は、プラットフォームの世代が代わることによって、ユーザーと任天堂との関係が途切れてしまうことがあった。今回のSwitch 2への世代交代においては、ニンテンドーアカウントを活用して、Switchを熱心に遊んでいたユーザーに抽選販売への優先的な応募機会を提供できた」
一方、抽選販売形式にはポジティブ、ネガティブの両方意見があったとも説明。社内整理した上で、今後の学びにしたいと古川社長は返答した。