日産「サクラ」を購入者はどう評価している? 走りや快適性は絶賛…航続距離や意外な欠点を指摘する声も
好調だったサクラの販売台数が昨年は踊り場に
2022年6月に発売された「サクラ」は、日産が「リーフ」や「アリア」で培った技術で開発した初の軽自動車規格の電気自動車です。
ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1655mmと、一般的な軽ハイトワゴンと同様の扱いやすさと室内空間を備え、航続距離はWLTCモードで180km。
発売当初は大きな反響があったものの、2024年の販売台数は前年比61.7%となる2万2926台へと落ち込んでいます。
またCEV補助金を利用して購入した場合は、4年間の保有義務があるのにも関わらす、補助金の一部を返金してまで売却されたケースも少なくないようです。
実際の購入者はサクラをどのように評価しているのでしょうか。
軽自動車とは思えない加速性能と静粛性などに高評価
carview!に寄せられたユーザーレビューを見ると、多くのユーザーがサクラの動力性能と静粛性を高く評価しています。
サクラのモータースペックは最高出力が64psと一般的な軽ターボモデルと変わりませんが、最大トルクは軽ターボ車の2倍近い195Nmであり、このトルク値は2L自然吸気エンジン並です。
「発進や加速がスムーズで、登り坂も余裕」「エンジンがないぶん車内は静かで、タイヤの走行音の方が気になる」「長距離走行でこれほど疲労感がないのには驚いた」などのコメントがあるように、サクラの加速性能と静粛性は非常に高いようです。
また運転疲労が少ない理由は、床下に配置されたバッテリーによる低重心化の恩恵も大きそうです。「軽自動車とは思えないほど安定していて、しっとりとした乗り心地」「背高だけど強い横風のときでも不安感がない」といったコメントも多く見られました。
加えて、上級グレード「G」などは内装の質感も高く評価されており「軽自動車とは思えない豪華な内装に大満足」との声も。
面白いのはエアコンの効きの早さが評価されていること。エアコンの使用によって航続距離は大きく左右されますが、サクラではヒートポンプエアコンシステムが採用されているため、夏場のエアコン作動効率が高く、冬場はエンジンの水温に依存するエンジン車よりも早く車内が温まるようです。
そのほか、軽自動車ならではの取り回しの良さに加え「ガソリンスタンドに行く必要がない」「オイル交換が不要で、回生ブレーキを併用するためブレーキパッドも減りづらい。ランニングコストは最高」とのコメントもあり、多くのユーザーが軽EVの特徴と使い勝手を高く評価しています。
航続距離、ブレーキ、ラゲッジスペースには不満も
一方、不満な点として多くのユーザーが挙げるのは、航続距離の短さについてです。
サクラのWLTC航続距離は、通勤や買い物といった一般的な用途に十分と思われる180kmですが、EVの走行可能距離は電装品の使用状況や外気温に大きく左右されます。
「実際の走行可能距離は140~160kmくらいで、移動範囲は片道60kmが限界。夏冬はもっと短い」「電欠の不安から遠出するのが怖い」などのコメントに並び、「もう少しバッテリー容量が欲しい」と多くのユーザーが不満を漏らしています。
また、ブレーキフィールに対しても「回生ブレーキの効きが甘いのに対して、フットブレーキがかなり効くのでバランスが悪い」との指摘があり、なかには「ブレーキ操作の微調整が難しくて上手く駐車できない」というユーザーの意見もあります。
その他の細かな指摘では、リアシートが左右独立スライドではない点や操作しづらい走行モードボタン配置、収納の少なさなども不満点として挙げられています。
サクラの高い価格については、多くのユーザーが「コストとサイズの兼ね合いから仕方がない」と納得している様子ではあるものの、評価点の低さに不満が表れています。
「この価格で、もう少しだけ航続距離が長ければ理想」というのが多くのユーザーが抱える本音のようです。
価格や航続距離など、いまだ万人向けとは言えない
軽EVのサクラは、軽自動車としての扱いやすさを備えながら、既存の軽自動車を大きく凌ぐトルクフルでストレスのない走りが特徴です。
とくに通勤や買い物、送迎といった普段使いに最適な乗り物であると多くのユーザーから評価されています。
その一方で補助金を加味しても価格帯は高く、航続距離が短いため長距離走行や遠出には不向きなクルマであると指摘されています。
また補助金を利用した場合でも、4年間は手放せない状況も考慮する必要があるうえ、走行の要であるバッテリーの劣化も心配され、購入後の値下がり幅が大きい点も留意が必要です。
サクラを所有するには、多くのユーザーが口を揃えて言うように「自宅に充電環境があること」「長距離移動可能な別のクルマを所有していること」の2点が重要かもしれません。