スイッチ2「転売ヤー」封じ込め 任天堂が繰り出したある秘策 高額取引成立しない訳

スイッチ2「転売ヤー」封じ込め 任天堂が繰り出したある秘策 高額取引成立しない訳

人気商品の高額転売が相次いでいることが問題となる中、任天堂が今月5日に発売した新型の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の高額での転売が抑制されている。抽選申し込みに制限を課す一方で、初期出荷台数を増やしたことなどが功を奏しているとみられる。一部のフリーマーケットサイトも当面はスイッチ2の出品を禁止するなど、業界の垣根を越えて「転売ヤー」封じ込めに力を入れている。

スイッチ2は8日までの4日間で世界累計販売台数350万台を突破し、空前の売れ行きとなっている。

フリマサイトのメルカリや楽天ラクマは商品が手元にない「空出品」の禁止などの対策は取っているものの、出品は禁じていないため、数多くのスイッチ2が出品されている。ただ、あまり高額での取引は成立せず、転売市場の過熱は抑制されていることがうかがえる。

発売1週間の12日時点では、希望小売価格5万3980円の本体・国内版「マリオカートワールドセット」が6万8千円前後で売れ残っている。売れたとしてもサイトの利用手数料や送料を差し引くと差額は6千~7千円程度で、転売で大きな利益が出る金額ではない。

任天堂はスイッチ2の発売に際し、これまでにない転売対策を実施。公式ストアでの抽選販売の申し込みにスイッチのソフトのプレー時間50時間以上、オンライン有料会員への累計1年以上の加入などの条件をつけた。

家電量販店のジョーシンは2年間で計15万円以上購入などの条件を満たした会員にのみ、スイッチ2の抽選を受け付ける専用サイトのアドレスを通知する対策をとった。

また、スイッチ2には保証書が付属しておらず、初期不良の対応には購入店のレシートなどが必要。任天堂は「保証書を付属していない理由は公表していない」としているが、「転売ヤー」は転売の際に個人情報の流出を恐れてレシートの提供を拒む事例があり、「買いにくさ」につながっているようだ。

厳しい対策をとるフリマサイトもある。LINE(ライン)ヤフーは「ヤフーオークション」と「ヤフーフリマ」でスイッチ2本体の出品を当面、禁止している。同社によると、スイッチ2と思われる商品を出品しようとするとポップアップでアラートを表示。それでも出品された場合は、人工知能(AI)などで検知し、人の目でチェックした上で削除しているという。

同社の担当者は「件数は公表できないが、悪質と判断した場合には出品者のアカウントを停止している」と説明。今後、スイッチ2以外の商品でも同様の対応を取る可能性があるという。

ゲーム業界に詳しい東洋証券シニアアナリストの安田秀樹氏は「スイッチ2の転売率は1~2%程度の可能性が高い。スイッチと比べて初期出荷の台数を約3倍に増やしたことや転売対策が奏功した」と指摘する。

転売対策は、ゲーム分野に限らずさまざまな人気商品で課題となっている。日本マクドナルドは人気キャラクター「ちいかわ」の玩具付きの「ハッピーセット」第1弾を5月16日から期間限定で販売した。しかし、転売目的とみられる大量購入者が続出。同月23日からの第2弾では1人4個の購入制限をつけたが、いずれも当初の予定より前倒しで終了した。

このほかにも大阪・関西万博の会場限定グッズが転売されるなど、限定商品が狙われるケースが多い。購入の制限を厳しくしすぎると一般消費者が手に入れづらくなるという弊害もあり、企業は対策に苦慮している。スイッチ2の「成功例」が幅広く転売防止に生かされるのか、注目される。

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