人を襲う世界で最も「攻撃的」な飛べない鳥 高さ最大180cm、長さ12cmのかぎ爪

人を襲う世界で最も「攻撃的」な飛べない鳥 高さ最大180cm、長さ12cmのかぎ爪

「飛べない鳥」について考えたときに真っ先に思い浮かぶ言葉は、たぶん「攻撃的」ではないだろう。

【画像】高さ最大180cm、長さ12cmのかぎ爪をもつヒクイドリ

動物園の敷地内を穏やかに歩きまわるクジャクを思い浮かべる人もいるかもしれない(ただし、クジャクは厳密に言えば飛べない鳥ではなく、短距離なら飛べる)。モーリシャス島にいた不運なドードーを思い浮かべる人もいるだろう。この鳥はひどくおとなしく、周囲の脅威をおそれなかったばかりに、100年も経たないうちに狩り尽くされて絶滅してしまった。

あるいは、ダチョウを思い浮かべるかもしれない。世界最大の飛べない鳥であるダチョウは、たしかに人間にとって危険となることもある。ダチョウの強力な脚に蹴とばされて重傷を負った人の事例もいくつか記録されている。

だが、あなたがオーストラリア北部かニューギニア地域に住んでいるのなら、本当に気をつけないといけない鳥はヒクイドリだ。ここでは、ヒクイドリの物語と、この鳥が人間にとって危険な理由をひもといていこう。

■飛べない鳥ヒクイドリ──その侮れない力

ヒクイドリの見た目は、白亜紀から出てきたようだ。まっすぐに立ったときの背の高さは最大180cmほどで、体重は大きいもので60kg近くになる。堂々たる姿であるのは間違いない。

つやつやとした黒い羽毛は、きめの粗いマントを思わせる。頭頂には、ヘルメットのような兜状の突起がある。ケラチン質のこの構造にどういう機能があるかについては、まだ論争が交わされている。うっそうとした森を歩きまわるのに役立つと主張する生物学者もいれば、ヒクイドリの野太いゴロゴロという鳴き声を増幅しているとする説もある。

ヒクイドリは縄張り意識の強さで知られ、とりわけメスはその傾向が強い。メスはオスよりも大きく、攻撃的だ。自分の縄張りを猛然と守り、脅かされたと感じたら、おそれることなく突進する。

真の危険は、ヒクイドリの脚にある。足にはそれぞれ3本の指があり、内側の指には長いもので12cmにもなる、短剣のようなかぎ爪がついている。このかぎ爪はただのはったりではなく、強力な武器になる。深い裂傷、時には死に至る傷を負わせる威力があるのだ。

大切なのは、恐怖ではなく敬意

ヒクイドリが人間を襲った事例は、数多く記録されている。最も有名なのは1926年に起きた事例で、棍棒でヒクイドリを殴ろうとした16歳の少年が逆に殺されたと伝えられている。

死に至る遭遇は極めて稀だが、重傷を負う例はまれとは言えない。オーストラリアの、とりわけ人間とヒクイドリが頻繁に遭遇する地域では、野生生物を管理する機関の職員が、ヒクイドリを安全に管理するための手順を策定しなければならないほどだ。

ヒクイドリを際立たせているのは、その攻撃性だけではない。スピードと敏捷性もすごい。時速48kmものスピードで走れる上に、高さ1.5mの跳躍もこなせる。おまけに水泳もできる。おかげでヒクイドリは、生息環境であるうっそうとした熱帯雨林で、いっそうおそるべき存在になっている。

なぜヒクイドリはそれほど攻撃的なのか? 一説によれば、単独生活を送る習性と、子育てへの投資の大きさに理由があるという。卵を産むのはメスだが、卵を温めてかえし、ひなを単独で育てるのはオスだ。このように単独で子を守る習性が、脅かされたときや、驚いたときの攻撃性につながっているとも考えられる。

ヒクイドリが人間と接触する場所(トレイル、郊外の辺縁部、観光地など)では、衝突があっという間にエスカレートするおそれもある。

ヒクイドリは悪者ではないと保護活動家は強調する。その攻撃性は、生まれもった防衛機構だ。さらに、植物を食べて種子をばらまくヒクイドリは、生態系で重要な役割を果たしている。ヒクイドリがいなければ、一部の植物種は存続に苦労するかもしれない。

大切なのは、恐怖ではなく敬意だ。安全な距離を保ち、餌をやったり、刺激したりするのを避けるようにすれば、平和な共存を目指せるはずだ。

【動物】前蹴りが強烈!? 世界一危険な”ヒクイドリ” 動物たちの生態と異名 愛媛 NNNセレクション

「森の人」「世界一危険な鳥」。これらは、ある動物を表す別の名前、つまり「異名」なんですが、なんの動物のことかわかりますか?今回は、動物たちの異名を調査しました!

(2023年7月18日放送「NEWS CH.4」より)

※動画内のデータは、放送時点のものです。

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