企業の生成AI費用、自社開発導入なら3165万円--SaaSでも年1445万円

企業の生成AI費用、自社開発導入なら3165万円--SaaSでも年1445万円

Exa Enterprise AIは6月4日、「日本の伝統的大手企業におけるAIの自社開発やツール導入・活用調査」の結果を発表した。自社開発による導入では投資総額が平均3165万円に上り、SaaSツールの利用でも年平均1445万円の支出が発生していることが分かった。

 調査は、創業30年以上かつ従業員300人以上の企業を「日本の伝統的大手企業」と定義し、これに当てはまる企業に所属する410人へ、5月8~10日にインターネットでアンケートを実施した。自社開発導入のケースと生成AIのSaaSツールを利用するケースでそれぞれ結果を取りまとめている。

自社開発のケース

 まず自社開発のケースでは、総投資額(回答191件)について「5000万円以上」が36.4%で最も多く、以下は「1000万~3000万円未満」(26.2%)、「3000万~5000万円未満」(20.4%)、「500万~1000万円未満」(9.8%)、「500万円未満」(8.9%)だった。平均は3165万円となっている。

 しかし、自社開発した生成AIの投資対効果(ROI、回答227件)では、66.5%が「ROIは低い/未計測だが利用されている」と回答。「高いROI(300%以上)を達成している」は17.6%、「あまり利用されていない」は15.9%だった。自社開発では、ROIを低いと感じる傾向にあった。

 また、自社開発した生成AIの実用化(回答227件)については、70.8%が「実用化に至らなかったものがある」、29.2%が「全て実用化した」とし、実用化に至らなかったところで再開発を実施したのは21.4%だった。

 自社開発した生成AIの運用体制とアップデートの頻度(回答265件)では、42.3%が「体制を整備しており、常時の追加・改修が可能」としたが、「体制を整備しているが、常時の追加・改修は困難」が45.3%、「体制が整備されてていない」が12.5%に上り、6割弱が運用に問題を抱えていることが分かった。運用開始後のモデル更新や機能追加などのアップデートまでの期間(回答230件)は、「6カ月~12カ月未満」が33.5%で最も多く、12カ月以上と回答も合計で30.4%に上った。

 自社開発での生成AIのプロンプト共有について(回答281件)は、51.2%が「仕組みはないが随時共有している」、33.2%が「仕組みがあり共有できている」、15.6%が「共有できておらず現場任せ」と回答した。

SaaSツールのケース

 次にSaaSツールのケースでは、年間の支払い費用の総額(回答134件)について「500万~1000万円未満」が26.1%で最も多く、以下は「3000万円以上」(25.4%)、「1000万~3000万円未満」(20.9%)、「250万~500万円未満」(14.2%)、「250万円未満」(13.4%)だった。平均は1445万円となっている。

 SaaSツールでのROI(回答157件)では、72.0%が「ROIは低い/未計測だが利用されている」と回答。「高いROI(300%以上)を達成している」は16.6%、「あまり利用されていない」は11.5%だった。自社開発のケースに比べてSaaSツールの方が利用される傾向にあったものの、自社開発と同様にROIが低いと感じる傾向が見られた。

 SaaSツールの導入期間(回答158件)は、「3~6カ月未満」が40.5%で最も多く、以下は「6~12カ月未満」(22.8%)、「1~3カ月未満」(16.5%)、「12カ月以上」(15.8%)、「1カ月未満」(4.4%)だった。平均は6.1カ月で、上述の「高いROI(300%以上)を達成している」と回答した企業(回答26件)では同5.3カ月と、より短い期間で導入していることが分かった。

 SaaSツールの導入で時間を要した手続きや検討(回答225件)には、「情報セキュリティなど社内基準への適合確認」(38.4%)や「運用ルール・体制などの整備」(31.3%)、「製品の比較・検証」(12.6%)、「利用者部門からの合意獲得」(9.6%)、「予算承認・決済」(5.6%)などが挙げられた。

 導入しているSaaSツールの数(回答165件)は、「1~3件」(37.6%)、「4~6件」(22.4%)、「7~10件」(19.4%)、「11件以上」(18.2%)とばらつきが見られ、平均は5.5件だった。なお、上述の「高いROI(300%以上)を達成している」と回答した企業(回答26件)の平均は7.9件だった。

 SaaSツールがカバーしている業務(回答198件、複数回答)は、「文章要約・翻訳」(72.2%)や「議事録作成」(66.2%)、「社内問い合わせ対応(チャットボット)」(58.6%)、「プログラミング支援」(47.5%)、「企画・開発などの業務」(42.4%)などとなっている。

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