大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
<ウクライナ軍のMiG-29戦闘機が、搭載したフランス製のAASMハンマー精密誘導爆弾2発によってロシア西部ベルゴロド州のFSB関連施設を攻撃したとする映像が話題に>
ウクライナ軍の戦闘機が、ロシア西部ベルゴロド州にあるロシア連邦保安庁(FSB)の拠点を空爆し、複数の情報将校を殺害したと報じられている。
ウクライナ空軍と関連のあるテレグラムチャンネル「ソニアシュニク(Soniashnyk)」は、この攻撃は、フランス製のAASM(空対地モジュラー兵器)ハンマー精密誘導爆弾を搭載したMiG-29戦闘機によって実行されたと述べている。
X(旧ツイッター)上のオープンソース・インテリジェンス(OSINT)のアナリストたちは、標的となった建物がFSBに関連する施設であることを確認している。
本誌はロシアおよびウクライナの当局に電子メールでコメントを求めている。
今回の攻撃は、2022年2月にウラジーミル・プーチン大統領が始めたこの戦争の中でも大きな転換点になるとみられる。
ウクライナはこれまでにロシア国内の弾薬庫や後方支援の拠点、空軍基地といった軍事施設を標的としてきたが、今回のベルゴロド州グロトボの基地への攻撃は、FSBに関連する施設に対する初めての攻撃とみられる。
ソニアシュニクは、ベルゴロド州のウクライナ国境付近にあるFSBの拠点が、フランス製のAASMハンマー精密誘導爆弾2発で攻撃されたと報じている。
同チャンネルが共有した動画は未検証ではあるが、攻撃の瞬間を捉えている。ドローンで撮影されたこの映像には、爆弾が建物に直撃し、煙が巻き上がる様子が映っている。
<攻撃の狙いは?>
動画のキャプションには、「最初の警告を無視した結果だ──コサックたちは再び話をしに行くことになる」と記されている。
「ウクライナ空軍は全方面で作戦を継続しており、MiG-29がFSBの将校たちを含む敵勢力を破壊している」
ウクライナ軍はドローン基地、管制センターといったロシアの軍事目標を攻撃するために、これまでにもAASM爆弾を広く使用してきた。
AASMはフランスのサフラン・エレクトロニクス&ディフェンス(Safran Electronics & Defense)が設計した空対地兵器で、深部攻撃と近接航空支援任務(地上部隊への航空支援任務)の両方に対応している。
今回の攻撃は、ウクライナ軍がベルゴロド州のデミドフカ村を掌握したと報じられてから数週間後に行われた。同地域ではまた、ウクライナの長距離ミサイル「HIMARS」によってロシア軍のヘリコプター4機が破壊された。
フィンランドに拠点を置く「ブラック・バード・グループ(Black Bird Group)」の軍事アナリスト、エミール・カステヘルミは以前、本誌の取材に対し、ウクライナ軍がデミドフカ以外で目立った進展を見せている兆候はないと述べている。今回の展開も領土奪取ではなく、ロシア軍の戦力を拘束する「牽制行動」とみられている。
サフラン・エレクトロニクス&ディフェンスはビジネス・インサイダーに対し、2025年はAASMハンマー精密誘導爆弾の生産を大幅に増強すると述べているが、ウクライナにどれだけ供給されるかは不明だ。
シベリアで初の無人機攻撃 ロシア基地攻撃し「41機損傷」
ウクライナ情報機関の保安局(SBU)は1日、ロシア軍の複数の飛行場を無人機で攻撃し、ロシアの戦略爆撃機など41機に損傷を与えたと主張した。地元メディアが報じた。ロシア国防省は、数機が燃えたと発表した。東シベリアのイルクーツク州が含まれ、州知事によるとシベリアで初の無人機攻撃となった。
1年半以上かけ、ゼレンスキー大統領の指揮の下、マリュクSBU長官らが計画を進めた「歴史的特別作戦」と強調。無人機117機で、ロシアの戦略巡航ミサイルを搭載する航空機の3割超を攻撃し、約1兆円相当の被害を与えたと誇示した。ロシア領内のトラックに載せた移動式家屋に無人機を隠したという。
ウクライナ「ロシアの戦略航空機34%に損害」 損失1兆円、一斉ドローン攻撃で
ロシアの侵略を受けるウクライナの情報機関、ウクライナ保安局(SBU)は1日、複数の露空軍基地をドローン(無人機)で一斉攻撃する特殊作戦「パウチーナ(クモの巣)」を同日実施し、露軍が保有する戦略航空機の34%に損害を与えたと発表した。ロシアの損失額は70億ドル(約1兆円)に上ったとした。ロシアも同日、国内5州の空軍基地がドローン攻撃を受けたと発表した。
■核兵器の運用態勢に影響も
ウクライナのゼレンスキー大統領は同日のビデオ声明で「作戦は1年半以上準備されてきた」と指摘。作戦には117機のドローンと同数の操縦士が参加したとした。
ウクライナメディアがSBU筋の話として伝えたところによると、今回の攻撃で、早期警戒管制機「A50」や戦略爆撃機「TU95」、超音速戦略爆撃機「TU22M3」などを含む40機以上の露軍機を損傷させたとした。
事実であれば、露軍の爆撃能力が大幅に低下する上、核兵器の運用態勢にも影響が出ることが予想される。ウクライナは2日にトルコで予定される対露和平交渉でロシアの発言力を弱めるため、このタイミングで攻撃を決行した可能性がある。
■露基地付近トラックからドローン発射
報道によると、SBUは、露防空システムによる撃墜を避けるため、各空軍基地近くまで移動させたトラックからドローンを発射した。露当局に拘束されたトラック運転手が「積み荷が何か知らなかった」と話したとの情報もある。ゼレンスキー氏は、作戦を準備するため露国内に潜入していた要員が作戦開始前にロシアを脱出し、安全な場所にいると述べた。
一方、露国防省は1日、露中部リャザン▽北部ムルマンスク▽東シベリア・イルクーツク▽極東アムール▽西部イワノボ-の計5州の空軍基地がウクライナのドローン攻撃を受けたと発表。一部で航空機が炎上したとしたが、詳細な被害には言及しなかった。また、攻撃に関与した数人を拘束したとも主張した。