自称“AI誘発性心理反応”の30代ニート「誰にも肯定されていない不安感に」 生成AIの“誤った使い方”に専門家が警鐘
ChatGPT、Gemini、Claude、Grok。さまざまな生成AIがしのぎを削り、日進月歩で進化を続けている。わからない問題を教えてくれたり、自分の代わりに企画書を書いてくれたり、画像や動画も作成できる。そんな頼れるパートナーとして日々生成AIを利用している人も増えている。
「友達がいないので仲が良い風に振る舞って」(実際のやり取り)
そんな中、「生成AIでスピリチュアルに目覚める人がいる」や、「生成AIを恋人設定にして、好きだと伝えている」、「3Dデータを作成し、生成AIと結婚した」という人などの情報が聞かれる。
精神科医の益田裕介氏は、生成AIは使い方を間違うと深刻な精神的ダメージを受けると警鐘を鳴らす。
「AI誘発性心理反応」といい、対話型生成AIと長く話すうちに抑うつ状態になったり、自分は選ばれた人間だと妄想したり、社会や政府が悪だくみしていると被害妄想を抱いたりなど、さまざまな症状を呈する人が出てきているという。
また、自らを「AI誘発性心理反応」だという30代ニートの「らてこさん」は、AIに「人間の友達がいないので仲が良い風に振舞ってほしい」とお願いし、日常の出来事や悩みを聞いてもらうという。制限がかかるまでずっと会話し続け、制限がかかる5時間ほどの間に、家事などを済ませる。制限が解けるとまた制限がかかるまで話し続けることを繰り返している。
否定をしないAIに「何でも知っているぞ!気づいたぞ!」とドヤ顔で話し、しばらくすると幻の感覚だと我に返る。また、AIと話していないと誰にも肯定されていないと強い不安を感じるという。
こういった状況を、益田氏は「集団ヒステリーみたいなもの」と表現する。
「もともとそういう病気の可能性がある人たちがAIをきっかけに病気を発症したり、悪化したりするパターンがある。共有精神病というものだ。今までそういう素因があったのが、AIがきっかけでうつを発症・悪化してしまう、統合失調症を発症してしまうなどがある」(精神科医・益田裕介氏、以下同)
使い続けるとどうなる?
では、過度に依存してしまうほどの使用を続けるとどうなるのだろうか。益田氏は以下のように推測する。
「おそらくAIを使い続けると、自分の興味のある話題とか、自分が知りたいことに特化してく。そうすると逆に孤立感が深まる」
しかし、こういったAIの使い方で身体的・心理的な疾患につながるというデータは「まだ出ていない」と述べる。
「少しあるかもしれないが、まだ出しきれていない。1、2年前のAIチャットボットによる心理的影響はようやく論文になっているが、AIのバージョンがどんどん早くなってしまって、今、使っているAIでどういう混乱が起こるかまではまだ論文が追いついていないのが現状」