日産 2万人・7工場削減へ 26年ぶり 背水の“リバイバルプラン”!日産車の購入に補助金10万円 商工会議所が計画、6708億円の赤字 再建案は? 全国1万9084社の取引先に影響は?

日産車の購入に補助金10万円 商工会議所が計画、6708億円の赤字 再建案は? 全国1万9084社の取引先に影響は?

お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。今回は、車の購入補助「10万円」です。

■「日産を応援していこう」苅田町から車購入で10万円

出水麻衣キャスター:

車購入で補助金10万円。これは一体、何なのかというと…

日産の車種「日産エクストレイル」を購入した先着20人に、福岡県苅田町の商工会議所が「10万円の補助金を出す」ということです。(6月2日~)

苅田町には日産の工場が2つあり、日ごろから恩恵を受けているということで、苅田町の商工会議所としては、先着20人×10万円(計200万円)と、そんなに大きな金額ではないと謙遜をしながら、「日産車購入の喚起と支援の起爆剤に期待する」といった理由から、大きな赤字を計上してしまった“日産を応援していこう”という立場をとっているのです。

■6708億円の赤字の背景 新たな経営再建計画で2万人がリストラ? 

出水キャスター:

改めて決算を見ていくと、日産は業績不振で、2024年4月~2025年3月の決算では6708億円の最終的な赤字を計上しています。これは、国内の製造業の赤字額としては過去7番目の大きさだということです。

巨額赤字の背景は何なのか。自動車業界に詳しい、ナカニシ自動車産業リサーチの代表アナリスト・中西孝樹氏によると…

▼北米市場での苦戦

ハイブリッドが主流の中、競争力のある車がない

▼経営体質

コロナ禍の収益で身の丈を超えた投資など

こういった背景から、現在苦境に立たされているということです。

こうした中で、日産は経営再建計画『RE:NISSAN』を発表。

2024年11月に9000人の削減計画を発表していましたが、これを今後3年間で2万人削減して、社員全体の15%にします。ある種、リストラをするというような計画を発表しています。

そして、2027年度までに、日本を含めた国内外の(車の生産)工場を統合することを発表しており、17→10工場にするということです。

さらに、工場の稼働率として、2024年度は350万台の生産体制を整えていたのですが、今後100万台を削減して、2027年度には250万台へと下げるということです。

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:

いわゆる企業城下町というのは、調子が良いときはどんどん税収も増えるし、雇用も増えていくのだけど、調子が悪くなってくると税収が急に落ちますし、シャッター通りができたりと、ものすごく変化が激しいんです。

住民はある一定のサービスを受けなくてはいけませんから、それなりに良い税収が必要になってくるので、そこの部分をどうするのか。本来は企業が調子良いときにお金を貯めておいて、その調整をするのですが、実際、あまりお金が貯まっていないんです。

だから、これからどうやって工面していくのか。おそらく都道府県や国なども支援していく必要が出てくると思いますね。

■日産の赤字は1万9084社に影響の可能性 今後を専門家が分析

出水キャスター:

私が注目したのは「1万9084社」という数字(帝国データバンクより)。

これは「完成車のメーカー」だけではなく、エンジン部品や車体部品、鉄鋼業、金属製品、電気機械など、本当にたくさんの会社が集まって、1台の車が出来上がっています。

そういった日産と取引がある会社というのが、47都道府県全てで1万9084社に上るということなんです。

さらに、流通や販売、整備修理、給油所、といった全てを合わせますと、どれほどまで影響が広がっていくのか。多くの人が不安になっているかと思います。

今後、日産はどうなっていくのか。専門家の中西孝樹氏に話を聞きました。ゴーン氏の時は、円安やアメリカが好景気だったことから、V字回復が実現できました。

けれども、今回は「なべ底回復」ということで、トランプ関税やアメリカの不景気、中国のEV車の台頭、為替の影響など、四重苦ということで少し影響が長くなりそうとのことです。

そのため「自動車産業は基幹産業なので、日本経済全体で支えていくべきだ」と話していました。

日産 2万人・7工場削減へ 26年ぶり 背水の“リバイバルプラン”【NIKKEI NEWS NEXT】

日産自動車が国内5工場のうち、創業地の神奈川県にある2工場の削減を検討していることが分かりました。カルロス・ゴーン元会長の「リバイバルプラン」を意識したともいわれる再建計画「Re:Nissan」で、再びV字回復を果たせるのでしょうか。自動車ジャーナリストの川端由美氏を迎え日産自動車の経営再建の道筋を考えます。

「非常に悲しく、大きな痛みを伴う決定だ」ーー日産自動車が「2万人削減と7工場閉鎖」の大リストラ、遅すぎた決断の代償

「非常に悲しく、大きな痛みを伴う決定だ」

 2024年度(2025年3月期)に6708億円の巨額最終赤字(前期は4266億円の黒字)に転落した日産自動車。4月に就任したばかりのイヴァン・エスピノーサ社長は、四半世紀前の「日産リバイバルプラン」に匹敵する大規模リストラ策を取りまとめた。

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■「やりたくてやるわけではない」

 2027年度までにグループ全体の15%に相当する2万人の従業員を削減(うち生産が1.3万人、販売管理が3600人、契約社員を中心とする研究開発が3400人)。さらに、国内外の車両工場を17から10へと減らす。

 「やりたくてやるわけではない。ただ、いま手を打たない限り問題は悪化するだけ。残念なことにこれが日産の将来を救う唯一の方法だ」。5月13日の決算会見で、エスピノーサ社長はそう訴えた。

 このほか、組織・部門の垣根を越えた300人のクロスファンクショナルチーム(CFT)を立ち上げて、車両の開発費用からサプライチェーンまでありとあらゆるコストを見直す。

 「Re:Nissan」と名付けた今回の経営再建計画により、変動費2500億円と固定費2500億円、総額5000億円を削減。2026年度(2027年3月期)までに自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフロー(CF)を黒字化させる。1999年、フランス・ルノーから派遣されたカルロス・ゴーン氏が国内5工場の閉鎖と2.1万人の人員削減を決めたリバイバルプランを彷彿とさせる荒療治だ。

 「どうして前の経営体制でこうした改革ができなかったのか?」。複数の記者に問われたエスピノーサ社長は慎重に言葉を選びながら、「経営会議の多くのメンバーが交代し、危機感を共有した。会社としてよりスピードアップしなければならない」と答えるにとどめた。

 日産は、昨年11月に9000人の従業員と2割の生産能力の削減を柱とする構造改革「ターンアラウンド」を示した。だが、生産能力削減は生産ラインの統合やシフトの調整、配置転換が中心。内田誠前社長や坂本秀行前副社長など当時の経営陣は工場閉鎖に消極的だったためで、市場関係者から「(改革の)規模も中身も明らかに踏み込み不足」と批判の声が出ていた。

日産の年間販売は2017年度の579万台をピークに、2024年度には334万台まで4割以上も低下。一方、グループ従業員数は2017年度末の13.8万人から2023年度末の13.3万人と大きく変わっていない。日産の工場稼働率は6割強と低迷しており、設備も人員も身の丈を超えたままとなっていた。

 2万人の人員削減、日本を含む7工場の閉鎖は、日産に必要だった抜本改革がようやく打ち出されたといえる。

■矢継ぎ早に合理化策

 業績悪化に加え、ホンダとの経営統合協議の破談もあり、内田氏の退任とエスピノーサ氏の次期社長就任が決まったのは3月11日のことだ。そこから矢継ぎ早に合理化策が打ち出されるようになった。

 3月末にはインドの合弁工場の持ち株をルノーに売却することを決定。5月9日には福岡県北九州市でのEV(電気自動車)向けLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池の新工場計画の撤回を発表した。電池新工場は今年1月に計画を表明したばかりで、経済産業省から最大557億円の助成を受ける予定だったが、「冷静に厳しい目で精査した」(エスピノーサ社長)と短期間で撤回した。

 経営体制が代わり、ようやく現実を直視した再建策が出てきた日産。だが、「メスを入れるのがあまりに遅すぎた」(日産元幹部)という声は絶えない。

本記事はダイジェスト版です。詳報記事は東洋経済オンライン「【最終赤字6708億円】日産自動車が「2万人削減と7工場閉鎖」の大リストラ、遅すぎた決断の代償」をご覧ください。

日産赤字6700億円! 工場7つ閉鎖!! 従業員2万人削減!! 希望は…復活の可能性は……ある!!!!!

2025年5月13日、日産は2024年度通期の決算を発表、営業利益は698億円、当期純損失は6709億円と発表した。比較可能な1986年3月期以降で過去3番目の赤字だという。

 米国市場および中国市場での販売不振に加え、工場の資産価値の見直し、経営立て直しに向けた人員削減などの損失を計上したことが主な理由だとしており、厳しい事業環境を乗り切るための十分な資金も確保しているとしているが、ここから挽回できなければ、日産に明るい未来はない。はたして、いまの日産には、ここから復活していくための「種」となる要素はあるのか!??考えてみよう。

 文:吉川賢一/写真:NISSAN

社長が商品企画出身であることは大きな希望

 日産が復活していくための「種」となりうるひとつが、2025年4月1日のイヴァン エスピノーサ氏のCEO就任だ。

 エスピノーサCEOは、2003年10月にメキシコ日産に入社したあと、主に商品企画を担当してきた人物だ。そこでの活躍が認められたことでグローバル商品企画も担当。さまざまな役職を経て、2024年3月時点では、グローバル商品企画本部、グローバルプログラムマネジメント、グローバルモータースポーツ、コーポレート市場情報統括本部のチーフプランニングオフィサー(CPLO)など、複数の部署を担当する専務執行役員(SVP)となっていた。

 もちろん経歴だけでここからの采配を語ることはできないが、商品企画を熟知したエキスパートであることから、市場でどういった商品が求められているのか、それに対して日産のリソースで何が提供できるのかなど、現場を理解できる経歴をもつことは確かであり、いまの日産に必要な思考をもつ人物であるように思う。元日産社員(筆者)としては、CEO就任発表時の「日産はこんなものではないと、心から信じている。」という言葉にも大いに希望を感じた。

 2024年度決算と同時に発表となった経営再建計画 Re:Nissanでは、グローバルで17ある工場を10に集約するほか、人員削減も2万人に増やすとのこと。大きく重たくなった会社を実力に沿ったかたちにスリム化し、再び輝かせることができるか、大いに期待している。

技術力はトヨタにだって負けていないはず

 そしてもうひとつが「技術力」だ。よく「日産は、クルマはいいんだけど…」といわれたりもするが、(商品の方向性などはさておき)クルマ自体の出来はすこぶるよく、評判も決して悪くないと思う。

 開発費のコストダウンが厳しい中でも第3世代e-POWERを開発し、弱点といわれ続けたe-POWERの高速燃費を改善するほか、20%ものコスト低減も実現するなど、新技術を生み出せることは、いまも高い技術力をもつ証だと思う。また日産が「次世代の運転支援技術」としている最先端の運転支援技術も、2027年度から市販車に導入することを発表するなど、その技術力はトヨタにだって負けてはいない。

 特に第3世代e-POWERの投入は、日産にとって大きな希望だ。日産はこの第3世代e-POWERによって、「2026年にe-POWER車のコストをエンジン車と同等にする」としており、これが実現できるのなら、かなり希望が持てる。是非ともグローバルで展開して欲しいユニットだ。

 特に、期待できるのが新型エルグランドだ。新型エルグランドには、この第3世代e-POWERの搭載が明言されているが、もし新型エルグランドが、第3世代e-POWERによってエンジン車と同等のコストとなるのなら、アルファード/ヴェルファイアに見飽きていたラージサイズミニバンユーザーの心を撃ち抜くことができるかもしれない。久々に面白い日産車が登場することになると思う。

これまでの「財産」があることも日産の希望

 また、これまでクルマを数多く開発し、ファンに愛されてきたことも日産の希望だろう。日本国内では、ここ2年間ほど新型モデルを発表していないが、海外では2024年度だけで、新型キックスや新型ムラーノ、新型キャシュカイ、新型アルマーダ/パトロール、インフィニティQX80などを投入しており、グローバルでのラインアップは決して少なくない。

 そのため、新規開発が難しくても、たとえば米国市場や欧州市場に、国内のノートオーラやエクストレイルe-POWER、軽自動車を投入してみたり、国内に米国キックスやムラーノやパスファインダー、英国ジュークやキャシュカイを投入するということはできるはず。また、かつて販売していたクルマを最新にアレンジして販売したり、既存のモデルを使って過去の名車をオマージュしたようなモデルを開発するというのもいいと思う。

 もちろん何でもかんでもやればいいというわけではなく、コストも膨大にかかることなので慎重にやるべきではあるが、最小限のコストで利益を得ることができるよう、使えるものは使うべきであり、それがあること自体、日産の大切な財産だ。日産関係者によると、他市場のクルマを販売するという案はこれまでも企画開発チームから幾度も出ていたそうだが、全てお蔵入りとなってきたそう。新しい経営体制でこうした方面にも動きがあることを期待したい。

まずは悪しき風習をリセットし「種」を大切に育ててほしい

 日産によると、2024年度の売上高は12兆6332億円だという。営業利益と当期純損失は冒頭で触れたように698億円と6709億円だ。2023年度は売上高12兆6857億円、営業利益5687億円、当期純利益4266億円、2022年度は、売上高10兆5967億円、営業利益3771億円、当期純利益2219億円だったので、売上高はほぼ変わっておらず、営業利益が激減していることが大きな問題。

 日産は「主に米国市場や中国市場の需要に対し、適切な商品を適切なタイミングで供給できていなかったこと(販売パフォーマンスの悪化)が原因」としており、北米や中国でクルマが売れないことで、多大なインセンティブ(販売奨励金)を出したことが主な要因だ。実力に見合わない過剰な生産設備を確保していることも損失に繋がっただろう。

 これまでは技術力があっても商品としては空振りも少なくなかった日産だが、商品企画出身のエスピノーサ氏の社長就任で、この「適切な商品を適切なタイミングで供給できなかった」という点はずいぶん解消できるような気がする。日産が復活のために勝負するべきなのは、やはり米国市場だ。まずは現在の値引き販売をやめ、いいクルマを適正な価格で売る流れに正したうえで、こうした「種」を大切に育て、復活してくれることを期待している。

【日産 本決算】新社長の采配に希望はあるか?

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