スマホの『画面保護フィルム』は不要? 強化ガラスが普及した今でも貼る意味がある?
過去にスマホの画面を割った経験がある人や、万が一に備えたい人にとって、画面の保護フィルムは「必須アイテム」と見なされる傾向があります。
一方、近年のスマートフォンは耐落下性・耐擦傷性が大幅に向上しているのもまた事実。iPhoneでは「Ceramic Shield」が採用され、従来のガラスより格段に強度が増加しています。同様に、Pixelシリーズやサムスン端末など、人気のAndroid端末の多くは衝撃耐性のあるCorning社のGorilla Glassを採用しており、もはや保護フィルムは「画面割れ防止」というよりは「細かな傷への対策」の意味合いが強くなりつつあります。
さらに言えば画面割れは「スマホ保険」などでカバーできる機会も従来より増えており、そもそも数年程度使ったうえで破損したスマホであれば買い替えのタイミングと言えるでしょう。
では、実際保護フィルムは「不要」になりつつあるのでしょうか。
【スマホの『画面保護フィルム』は不要?】強化ガラスの性能向上について
スマホの画面保護フィルムが「不要」、という見方が強まりつつある最大の要因は、やはり強化ガラスの性能向上でしょう。
たとえば初代iPhoneの開発において、当初はiPodと同様のプラスチック画面が採用される可能性があったとも言われています。しかしApple創設者のスティーブ・ジョブス氏は最終的にコーニング社に強化ガラスの開発を依頼して、いわゆる『ゴリラガラス』が採用されました。そのゴリラガラスは継続的な改善が続き、2020年頃にAppleとコーニング社が共同開発した『Ceramic Shield』では従来と比較して耐落下性能は4倍に向上しています。
■そもそも保護できるのは「画面」のみ
そもそも画面保護フィルムで保護できるのは「画面のみ」で、フィルムを貼っても背面カメラを保護できるわけではありません。またどれだけ画面が強化されても、日常生活における砂埃や鍵などによる細かな擦り傷は避けられない場合があります。
つまり、スマホの保護を重要視するのであれば、最初から耐衝撃性に優れた機種を選び、なおかつスマホ全体を保護するような「ケース」を買うべきであり、フィルムの優先度は低いとも考えられます。
画面保護フィルムの重要性は「何を優先するか」で変わる
スマホの画面保護技術は「強化ガラスの性能向上」に留まらず、さらに進化を遂げています。たとえばスマホを直接コーティングする「コーティング剤」も一般的なアイテムとしてすでに流通しています。
フィルムによる視認性やタッチ感度の低下を避け、スマートフォンのディスプレイ性能を最大限に活かしたい場合は、フィルムを貼らない、あるいは液体コーティングを選択するという選択肢もあります。
つまり、画面保護フィルムが本当に重要かは、優先順位によっても違います。
■画面保護フィルムにも種類がある
画面保護フィルムには大きく分けて「ガラスフィルム」と「PET素材フィルム(プラスチック系)」の2種類が存在します。
ガラスフィルムは高い硬度と透明度を持ち、衝撃や傷に強いのが特徴ですが、一度割れたら危険なため交換が必須となります。
PET素材フィルムは薄くて軽量で、価格も安いですが、傷つきやすく衝撃吸収性が低いです。
また、比較的最近登場した液体コーティングは、スマホの表面に直接液体を塗るタイプの保護材で、厳密には「フィルム」ではありませんが、撥水効果は抜群で、フィルムの中に気泡やゴミが入ってしまう可能性がなくなるため、より気軽に使えるという特徴があります。一方、製品によっては物理的な保護効果が低くなるため注意が必要です。
■画面保護フィルムを貼るメリット
画面保護フィルムを貼る最大のメリットは、日常的な細かい傷や汚れから画面を守ることができる点です。カバンの中などでスマホを入れる際、フィルムがないと他のものとぶつかって小さな傷がついたりしますが、フィルムを貼っている場合はそのフィルムが画面への傷を防ぐ役割を果たします。また、落下時の本体画面の割れを防いだり、ブルーライトカットや覗き見防止用のフィルムを貼ることで、画面保護にプラスアルファすることができます。
■画面保護フィルムを貼るデメリット
一方で、画面保護フィルムのデメリットとしては、貼り付け時に気泡が入りやすく、端から剥がれてきやすい点が挙げられます。このせいで耐久性が低くなったり、見た目が悪くなったりしてしまいます。
また、ガラスフィルムの場合は本体よりも先に割れてしまうため、落とした際にはフィルムの交換が必要になることもあります。PET素材のフィルムは薄くて安価ですが、衝撃には弱く、画面がやや濁って見えることもあります。さらに、フィルムの種類によってはタッチ感度が落ちたり、操作性に違和感を感じる場合もあります。
■消費電力が大きくなるデメリットも無視できない
フィルムの種類によっては透明度が低く、画面本来の美しさが損なわれることがあります。PET素材はやや濁って見える傾向があります。加えてフィルムによって画面の反射が大きくなり、結果的に画面輝度を上げる必要が生じ、バッテリー消費が増える可能性があります。