カシオ計算機、社長交代 成長加速へ新体制発足 財務戦略に強みの高野晋氏が就任
カシオ計算機株式会社は4月22日、代表取締役の異動と役員人事について発表した。現社長の増田裕一氏が今期で退任し、後任には取締役常務執行役員CFOの高野晋氏が就任する。
カシオ計算機株式会社は4月22日、代表取締役の異動と役員人事について発表した。現社長の増田裕一氏が今期で退任し、後任には取締役常務執行役員CFOの高野晋氏が就任する。新体制は2025年6月27日の定時株主総会と取締役会の決議を経て正式に発足する予定だ。経営体制の刷新により、同社グループの持続的な成長と企業価値のさらなる向上を目指す方針が示された。
新社長・高野晋氏、財務戦略で成長加速へ
今回の社長交代は、カシオが進めてきた事業構造改革の一区切りと、次世代へのバトンタッチという意味合いが強い。増田氏は就任以来、事業ポートフォリオの見直しや人員構成の適正化、経営理念の再定義、組織改革などに取り組み、赤字事業の整理やコンシューマ事業への集中を進めてきた。その結果、会社が成長軌道に乗る土台が整ったとし、「今こそ次世代へバトンを託すべき」と退任を決意したという。
高野新社長は、1984年の入社以来、経理や財務畑を歩み、2009年には執行役員財務統轄部長、2021年からはCFOとして財務戦略を担ってきた。経営環境の変化が激しい中、キャッシュフローの強化や資本効率の向上、資本市場への対応など、財務面から会社を支えてきた実績が評価されている。高野氏は「増田前社長の改革路線を継承しつつ、戦略的な資源配分による成長軌道の確立、コーポレートガバナンスの強化、人材戦略の推進に注力する」と意気込みを語った。特にROE(自己資本利益率)の早期回復や、時計・教育事業の再成長、新規事業領域への挑戦を掲げている。
また、今回の人事では、社外取締役比率の引き上げや女性取締役の登用など、ガバナンス強化策も打ち出された。監督と執行の分離を明確にし、より機動的かつ客観的な経営判断を目指す。昨年発生したサイバー攻撃を受け、情報セキュリティー対策の抜本的強化も進める考えだ。
カシオ計算機は、電卓やG-SHOCKなど独自の製品で世界的に知られるが、グローバル市場の変化やデジタル化の波に直面している。高野新体制のもと、財務力とガバナンスを武器に、独自性と成長力を両立させる経営が期待される。