日本に資産1億円以上の富裕層は「35人に1人」で“小学校のクラスに1人ぐらい”いる計算 若い頃から投資すれば普通の人でも十分達成可能

日本に資産1億円以上の富裕層は「35人に1人」で“小学校のクラスに1人ぐらい”いる計算 若い頃から投資すれば普通の人でも十分達成可能

人生100年時代に突入し、「老後を見据えてどれくらいのお金があればよいだろうか」と悩む人も少なくないだろう。投資で資産2億円超を築いた兼業投資家・東山一悟氏は「若いころから投資をすれば、世間の中央値をはるかに超える金額を持つことが可能」という。

 現在は資産収入と労働収入で生活する“サイドFIRE生活”を実践中の東山氏は人生で必要なお金についてどう考えるか。自身の娘のためにこれまでの投資や資産形成の経験、生きるために必要な知識を記した著書『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』より一部抜粋・再構成して、東山氏の考えを紹介する。

 ここでは、人生でいったいどのくらいの資金が必要なのか考えてみたい。老後が不安な人は多いだろうし、事故で大けが、病気、失業といった暗い出来事に見舞われることがあるかもしれない。あるいは結婚、出産となれば費用がかかる。海外旅行や高級車を買いたいという消費意欲が増すかもしれない。

 とはいえ正確なことは未来にならないとわからない。

 ……と、ここで終わってしまったら身もふたもないので、今、他の人はどのくらいの資産を持っているのか見てみよう。

世帯別の金融資産

 大手シンクタンクの野村総研は、世帯の金融資産額によって5階級に分けている。

 2023年の発表では、3000万円未満がマス層、3000万円以上5000万円未満がアッパーマス層、5000万円以上1億円未満が準富裕層、1億円以上5億円未満が富裕層、5億円以上が超富裕層だ。このうち、マス層が78%を占めている。

 つまり3000万円以上になったら上位2割だから、まず合格といえるだろう。

 1億円以上の人の割合は2.8%と35人に1人が富裕層以上。単純に考えると小学校のクラスに1人ぐらいはいることになる。

 ぼくが通勤している満員電車のぎっしり詰まった車内に300人ほどいるとすれば、8、9人は富裕層ということになる。だから、数は少ないけれど、ものすごく少ないというわけではない。日本ではちょっとした運と努力と才能、それに時間があれば十分に達成できるはずだ。

 億万長者というと莫大な収入か、投機やギャンブルで大儲けした印象がある。しかし、実際にはコツコツと長期で投資をしてきた着実な方法の人も多く、そちらの方が再現性にも優れている。

普通の人でも億り人になれる時代

 単純計算だが、日本人の平均年収は450万円ほど、共働きの世帯年収は850万円ほどといわれる。

 仮に平均年収の1割の年45万円を毎月3万7500円ずつ積立投資で、年率9%で回すと35年で1億円に達する。共働きの世帯年収の約1割の年84万円とすれば29年だ。年収の1割を投資に回すのは決して無理なことではなく、9%も全世界株式の指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)で過去30年の円建ての平均リターンとほぼ同じだから絵空事ではない。長期にわたって努力すれば普通の人でも十分達成可能なのだ。

 日銀の統計によると、個人の金融資産の3分の2は高齢者が持っているから、ぼくの資産2億円は現役世代では上位1%に入っていると、ちょっと自慢したい。アベノミクス以降に富裕層は増えているし、2023年から大幅な株高が続いているから、現状はさらに富裕層、超富裕層の割合が増えているだろう。

 平均だと惑わされやすいが、中央値という言葉がある。これは文字通り、対象の真ん中の人の数字。例えば5人の人の財産が10万円、20万円、30万円、40万円、100万円だとする。平均は40万円、中央値は5人の真ん中の30万円というわけだ。

 日銀が事務局をしていた金融広報中央委員会(2024年8月から金融経済教育推進機構に事業移管)の2023年の調査では、金融資産保有額の2人以上世帯の中央値は330万円、単身世帯は100万円だった。野村総研の調査と比べると、ちょっとびっくり。

 これも年代によって差があり、2人以上世帯の場合、20 代は30万円、50代は300万円、70代は700万円となっている。当たり前かもしれないが、一生懸命貯蓄をして、年を重ねるごとに増やしていったということだ。

 だから、若いころから投資をすれば、世間の中央値をはるかに超える金額を持つことが可能だ。同時に何があるかわからないのが人生だから、金額が多めになるに越したことはない。

 もし10代、20代だったら1億円を目標として掲げるのが一つのアイデアだと思う。もちろん、1億円なんてとても無理、結局3000万円でマス層を超えるのがやっとだったとなっても、失敗と思わない。あくまでも目標は大きく掲げようというだけで、達成は二の次だ。

 30代以上だと、もっと具体的に自分が結婚しているか、独身のまま老後を迎えるのか、子供は何人ぐらいかをざっくり考え、いくら年金をもらえるかを基に、老後の不足額を計算してみるのがいい。老後の生活費の不足額に介護や葬儀費用として数百万円上乗せすればだいたいOKだ。

 もちろん、結婚するしない、子供がいるいないで変わってくるから、若いうちほど、こんなもんかみたいなイメージでいいし、年代が上がれば、より正確な計算ができるだろう。

※東山一悟・著『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』を元に一部抜粋して再構成。東山氏がいま注目する個別株については、関連インタビュー記事『《投資で2億円稼いだ東山一悟さんが選んだ最新注目銘柄5》危機の時こそ「実力のある企業の株を安く手に入れるチャンス」 要注目はAI関連、不動産開発、コンテンツ産業』で紹介している。

野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計

主な推計結果と調査結果は、以下のとおりです。

富裕層・超富裕層の世帯数は、2005年以降の最多に

預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。結果は、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると165.3万世帯で、2021年の148.5世帯から11.3%増加しています。内訳は、富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯でした(図1)。

2023年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した2005年以降増加しており、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も、2013年以降は一貫して増加傾向にあります(表1)。

出所:国税庁「国税庁統計年報書」、総務省「全国消費実態調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」、東証「TOPIX」およびNRI「生活者1万人アンケート調査(金融編)」、「富裕層アンケート調査」などからNRI推計。

富裕層・超富裕層の純金融資産総額も増加が続く

2021年から2023年にかけて、富裕層・超富裕層が保有する純金融資産の総額は、それぞれ29.0%(259兆円から334兆円)、28.6%(105兆円から135兆円)増加し、両者の合計額は28.8%(364兆円から469兆円)増えました(図1および表1)。また、富裕層・超富裕層それぞれの純金融資産総額は、世帯数と同様、2013年以降一貫して増加を続けています(表1)。

過去10年近くにわたって富裕層・超富裕層の世帯数および純金融資産総額が伸長している要因は、株式や投資信託などの資産価値の上昇により、これらリスク性資産の比率が高い富裕層・超富裕層の保有資産額が増加したことに加え、準富裕層の一部が富裕層に、また、富裕層の一部が超富裕層に移行したためと考えられます。

特に2023年においては、株価の急騰によりリスク性資産の資産価値が大きく増加したことや、円安の進行により外貨建て資産の実質的価値が増加したことにより、富裕層・超富裕層の世帯数及び純金融資産総額が大きく伸長したと考えられます。また、増加傾向にある「相続」によって、相続人が富裕層・超富裕層となるケースも増えていると考えられます。

2023年は、コロナ禍の収束に伴ってそれ以降多くの経済指標が回復基調に転じており、今後の富裕層・超富裕層の世帯数や純金融資産総額に影響を与える可能性があります。

「いつの間にか富裕層」となる一般生活者

今回の推計を通じて、新たに二つの層がみえてきました。一つ目は近年の株式相場の上昇を受け、運用資産が急増したために富裕層となった層で、NRIではこれを「いつの間にか富裕層」と定義しました。年齢は40代後半から50代、職業としては主に一般の会社員で、従業員持株会や確定拠出年金、NISA枠の活用を通じて、運用資産が1億円を超えたケースが多く見られます。2022年に実施した「NRI生活者1万人アンケート(金融編)」の調査結果および近年のTOPIXの騰落などから試算すると、準富裕層から富裕層となった「いつの間にか富裕層」は、富裕層以上の世帯のうち1~2割程度を占めていると推察されます。また、アッパーマス層から準富裕層となった人の中にも、「いつの間にか富裕層」は一定数存在するとみられます。

「いつの間にか富裕層」は、給与収入の範囲内でこれまでと変わらない生活スタイルを維持しており、金融資産が増えても金融機関との付き合いはこれまでと変わらないという、マス層に近い特徴があります。また、資産運用を金融機関の担当者や親族・知人の勧めに任せ、自らは関与・関知していない人も一定数存在します。そのため、従来の富裕層と比べて金融知識が十分ではなく、商品特性やリスクの理解が不十分なままに金融商品を購入する可能性があります。また、金融リテラシーが高くても、急増した保有金融資産の適切な分散投資方針や、富裕層向けの金融商品特性に関する知識が十分でないケースが見られる点も「いつの間にか富裕層」の特徴です。

増加が見込まれる「スーパーパワーファミリー」

もう一つは、都市部居住で世帯年収3,000万円以上の大企業共働き世帯に代表される層であり、NRIではこれを「スーパーパワーファミリー1」と定義しました。「スーパーパワーファミリー」は、20~30歳代の間は子育て・教育の支出や住宅ローン支払いに苦労しますが、昇格・昇給して世帯年収が2,000万円を超える40歳前後から急速に金融資産が積み上がります。最終的には世帯年収3,000万円に達し、50歳前後には富裕層となる可能性があります。地方部においても、生活コストの地域差を考慮すると世帯年収1,000万以上の大企業共働き世帯は、60歳前後に富裕層となる可能性があります。消費性向が高く、不動産や高級消費財などを積極的に購入する「スーパーパワーファミリー」は、女性の社会進出の加速や働き方の多様化に伴う就労機会の増大によって、今後も増加が見込まれます。

富裕層・超富裕層の増加に伴い、その資産構成や資産形成の方法も多様化しています。本邦企業においては、資産運用ニーズの背景にある顧客の世帯構成やキャッシュフロー、ライフスタイルに対する理解を深めると同時に、さらなるデジタルチャネルの活用や顧客との早期の接点構築、顧客管理の高度化が求められています。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏