Switch 2でPCゲーム『Hades II』を限定先行配信。ゲーマーの「セカンド端末」から脱却したい任天堂の策略

Switch 2でPCゲーム『Hades II』を限定先行配信。ゲーマーの「セカンド端末」から脱却したい任天堂の策略

Switch 2の発売に合わせて、任天堂は数々の新作タイトルを用意しています。そのラインナップはただただ発売が楽しみだけでなく、Switch 2でしかプレイできない限定的なものも。

そう、すでに話題の『Hades II』です。Supergiant Games開発の大人気ゲーム『Hades』の続編! 待ち望んだ新作がSwitch 2で先行スタートします。

『Hades II』は、アーリーアクセスのWindows版が昨年5月にリリース。10月にMac版がリリースされています。Switch 2の発売に合わせて、アーリーアクセス版から完全版に移行。完全版リリース時に、パソコンではなく家庭用ゲーム機でプレイできるのはSwitch 2のみ。

プレステ&Xboxゲーマーはしばらくお預けとなりますが、これぞ任天堂の作戦! Hades IIのSwitch 2先行で任天堂が狙うのは、ゲーマーの「セカンド端末」の位置付け脱却です。

任天堂がゲーム開発者インタビューを公開

Switch 2で発売予定のゲームについて、開発者に直接インタビューする任天堂のオリジナルコンテンツ「Creator's Voice」。Supergiant Gamesも登場し、開発秘話を語っています。

SupergiantのスタジオディレクターのAmir Rao氏は、こう語っています。「どうしても、絶対、何がなんでも60fpsでのプレイは譲れませんでした。それがSwitch 2の力なら、グラフィック機能をさらに強化できるんです」

…ゲーマの中にはこのインタビューを聞いて「5年から10年前のゲーム開発者かよ」とつっこみをいれたくなる人もいると思います。それもわかります。

が、任天堂の「最新」モバイルゲーム機であるSwitch 2の性能は、他社の前世代、PlayStation 4と同等といわれていることを忘れずに。Nvidia開発のチップのグラフィックアップスケーリングDLSSによって、Switch 2は4K画質で60fpsを出すことができるのです。

新作続々の2025年

Switch 2発売の目玉となる新作『マリオカート ワールド』を皮切りに、7月には『ドンキーコング バナンザ』『カービィのエアライド』が、冬には『ゼルダ無双 封印戦記』のリリースが控えています。さらに来年は『The Duskbloods』もリリース。

続々と新作リリースが控えているものの、その中でも『Hades II』はやはり特別。(PC版をのぞく)Switch 2限定先行配信は、任天堂にとっても初となる試みであり、大きな力をもちます。任天堂がSwitch 2にどれだけ力を注いでいるか、2025年をSwitch 2色に染め上げるために必要な策略です。

(まさか2025年が、トランプ政権によって関税バトルのとんでもない年になるとは思ってなかったでしょうが…。)

プレイしたゲームはここにある

任天堂は、任天堂独自のやり方で進む企業です。同業界の他社に何を言われても気にしないタイプ。

MicrosoftのXboxにおける戦略は、かつて限定だったタイトルをGamePassサブスクを通して、できるだけ多くのプラットフォームに展開していくこと。Sonyは、端末限定だったゲームをパソコンゲームに展開し大きく成功しています。

一方で、任天堂がマリオをPCゲーム市場で展開することは、たぶんないでしょう。しかし、PCゲーマーを気にしていないわけではありません。任天堂はPCゲーマーにも知ってほしいのです、PCゲームがSwitch 2でプレイできるということを。

市場調査会社DFC Intelligenceの最新リサーチによれば、PCゲーマーのセカンドゲーム端末として最も人気なのがNintendo Switch(初代)。これは、初代の価格が300ドル(日本では税込3万2978円)だったことも影響しているでしょう。

PCゲーマーというのは、高スペックのゲーミングPCにかなりの予算を割いているわけで、ゲーマーの中ではゲームにコミットする金額が大きい方たち。つまり、Switchの300ドルなんて、はいはい買っとこってなわけです。

Switch 2の450ドル(日本では税込4万9980円)という価格は、セカンド端末としては初代よりもハードルがあがるでしょう。

さらにトランプ関税の影響で、アメリカでは予約受付が延期されており、価格変更の可能性も考えられます。セカンド端末として非常に難しい状況になるかもしれません。モバイルPCゲーム機だって多数リリリースされています。

だからこその限定ゲームタイトルです。Switch 2でしか遊べないゲームの価値がますます重要になります。PCゲーマーによりSwitch 2に注目してもらわなくてはいけません。安いからとりあえず買うではなく、これでしかプレイできないゲームがあるから買うののです。

『Hades II』は、PCゲーマーにこれまで以上にSwitchに目を向けてもらったり、ここでしかできないゲームに熱中してもらうための布石。第2の端末ではなく、PCゲーマーにとってもPCと同じようにヘビーユーズする端末を目指します。

また、任天堂はSwitch 2でゲーム価格にもメスをいれています。マリオカートが80ドル(日本ではDL版が8,980円)、ドンキーコングは70ドル(日本ではDL版が8,980円)。

任天堂アメリカのDoug Bowser社長は、ワシントン・ポストのインタビューでゲーム価格について「変動する」と語っています。いわく、ゲームの耐久性やリピート率によって時とともに変動すると。ちなみにですが、今現在、Steamでの配信なら『Hades II』は30ドル(日本では3,400円)…。

DFC Intelligenceの最新予想では、発売直後のSwitch 2の販売台数は1500万台。記録的な数ですが、関税前に予想されていた1700万台よりは下がっています。

はたして、やはり値上げがネックとなるのか。それとも限定ゲームの価値が打ち破るのか。

Hades II [Nintendo Direct | Nintendo Switch 2]

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