Nintendo Switch 2で使える「microSD Express」って何? 今までのmicroSDとの違いは“接続方法”と“スピード”
既報の通り、任天堂は6月5日に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を発売します。
日本では本体のバリエーションに「日本語・国内専用」と「多言語対応」の2種類があり、日本語・国内専用の本体価格はスペックの割に手頃であることに注目が集まっていますが、外部ストレージが原則としてmicroSD Express限定ということもポイントです。
そもそも「microSD Express」とは何なのでしょうか。従来の「Nintendp Switch」が対応する普通の「microSD」とは何が違うのでしょうか。
まず「SDメモリーカード」を知ろう
microSDを含む「SDメモリーカード」の規格は、SD Associationという団体が定めています。その規格は大まかに「形状」「容量/ファイルシステム」「スピードクラス/接続インタフェース」に大別されます。
形状規格
形状の規格には以下の3種類があります。
・SD:通常サイズのSDメモリーカード(幅24×高さ32×厚さ2.1mm)
・miniSD:少し小さなSDメモリーカード(幅20×高さ21.5×厚さ1.4mm)
・microSD:さらに小さなSDメモリーカード(幅11x高さ15x厚さ1mm)
物理的な形状は異なりますが、いずれも電気信号的には互換性が確保されており、変換アダプターさえあれば同じ機器で読み書きが可能です。
なお、microSDについては元々Sandiskが「TransFlash(TF)」という名称で製品化したもので、中国の新興PCメーカーではmicroSDスロットを「TFスロット」と呼称していることがあります。
容量/ファイルシステム規格
容量とファイルシステムの規格には以下の3種類があります。
・SD:2GB以下/FAT16
・SDHC:2GB超~32GB以下/FAT32
・SDXC:32GB超~2TB以下/exFAT
・SDUC:2TB超~2TB以下/exFAT
容量とファイルシステムについては、上位規格に対応するデバイスは下位規格のカードも使えます。例えばSDXCに対応する機器は、下位のSD/SDHC規格のカードも問題なく扱えますが、上位のSDUC規格のカードは扱えません。
容量/接続インタフェース規格
スピードクラスは、その名の通りデータの書き込み速度の目安(保証速度)を示すもので、3種類のクラスが用意されています(※1)。
・スピードクラス
・クラス2:毎秒2MBを保証
・クラス4:毎秒4MBを保証
・クラス6:毎秒6MBを保証
・クラス10:毎秒10MBを保証
UHSスピードクラス
・U1:毎秒10MBを保証
・U3:毎秒30MBを保証
ビデオスピードクラス(動画録画に使う場合の目安)
・V6:毎秒6MBを保証
・V10:毎秒10MBを保証
・V30:毎秒30MBを保証
・V60:毎秒60MBを保証
・V90:毎秒90MBを保証
(※1)厳密にはスマートフォン向けの「アプリパフォーマンスクラス」もありますが、主要な指標ではないので割愛します
上記のスピードクラスは、SDメモリーカードの黎明(れいめい)期からある独自の「SDインタフェース」を用いるカードが対象です。UHSスピードクラスは、SDインタフェースの増速を図った「UHS(Ultra High Speed)」規格に対応するカード向けに設定されています。
UHSは「UHS-I」「UHS-II」「UHS-III」の3規格があり、UHS-II/IIIについては、接続ピンを8個増やしており、UHS-III規格では毎秒312MB(双方向通信時)または624MB(片方向通信時)の通信に対応可能です。
しかし、特に動画の撮影において、より高速なデータ通信速度を求められるようになったため、SD Associationは2018年、新しいインタフェース(通信)規格に準拠する「SD Expressメモリーカード」を策定しました。SD ExpressはPCでおなじみの「PCI Express」を接続インタフェースを採用しており、通常のSDメモリーカードと比べると接続ピンが8~9個多くなっています(※2)。これにより、最大毎秒985MBのアクセスを確保しています(※3)。
(※2)UHS-II/III規格のカードとはピン配列が異なるため、識別は可能です。なお、最近登場した「2レーン」タイプのカード(通常サイズのみ)ではさらにピンが8~9個増えます(※3)PCI Express 3.0接続対応の機器とカードの組み合わせの場合(PCI Express 4.0対応の機器とカードの組み合わせの場合は最大毎秒1970MB)
従来のSDメモリーカードと区別するために、SD Expressには専用のロゴマークと「SD Expressスピードクラス」を設定しています。SD Expressスピードクラスにおけるデータ書き込み速度の目安(保証速度)は以下の通りです。
・E150:毎秒150MBを保証
・E300:毎秒300MBを保証
・E450:毎秒450MBを保証
・E600:毎秒600MBを保証
なお、SD Express対応SDメモリーカードにはSDインタフェースも備わっているので、SD Express非対応のデバイスでも利用可能です。ただし、その場合の読み書き速度はカードに記載のスピードクラス相当に制限されます。
microSD Expressは「microサイズのSD Expressメモリーカード」
ということで、microSD Expressは「microSDサイズのSD Expressメモリーカード」ということになります。
Switch 2では、内蔵ディスプレイでフルHD(1080p:1920×1080ピクセル)/120fps、外部ディスプレイで最大4K(3840×2160ピクセル)/60fpsの映像出力に対応しています。従来よりもグラフィックス解像度や描画コマ数が増えるため、データのやり取りが増えます。ゆえに、通常のmicroSDでは“スピード不足”と見なしてmicroSD Expressのみ対応としたものと思われます。
なお、Switch 2の製品情報をよく調べてみると、microSDに保存したSwitchの画面写真/動画は読み込めるとされており、物理的に対応できないわけではないようです。
あくまでも、ゲーム体験の兼ね合いで“敷居”を設けたと考えるのが妥当でしょう。
Nintendo Switch 2で使えるメモリーカード、一夜にしてAmazonから消える 転売ヤー関与か?
4月2日に詳細が明らかになった「Nintendo Switch 2」を巡り、また“転売ヤー”の暗躍が疑われる事態になっている。といっても未発売のSwitch 2本体ではない。そこで使用できるメモリーカードの話だ。
Switch 2では、外部メモリーとしてmicroSD Expressという新しい規格の製品を採用した。これは、インタフェースをPCIe3.0とし、最大985MB/秒(規格値)とポータブルSSDに匹敵するパフォーマンスを発揮するカード。カード表面に記された「microSD EX」というマークが目印だ。
製造メーカーはまだ多くはなく、任天堂が「Nintendo Switch 2向けライセンス商品」として扱うSanDisk、Samsungの他は、Lexarなど一部メーカーが製造している。それらの製品が一夜にしてAmazon.co.jpから消えた。
3日の午前11時時点で「microSD Express」を商品検索してもヒットしない(Amazonは在庫のない商品は検索結果に表示しない)。SanDisk製品の販売ページを見つけたが、やはり価格表示はないため在庫切れとみられる。
Amazon商品の価格推移が分かる「Keepa」で確認したところ、SanDiskの128GBは2日の午後9時ごろまで7400円台だった。これは安価な並行輸入品を扱うショップとみられるが、そこが在庫切れになったのか、深夜に1万1000円に急騰。3日の午前10時には在庫切れとなっていた。
その他、楽天で並行輸入品を扱っていたショップなども品切れの模様。SanDiskの公式直販サイトは在庫があるようだが、256GB版は推定納期が「4~5週間」とかなり先になっている。
こうした事態について、X上ではいわゆる転売ヤーの関与を疑う声が続出している。ただし「そうきたか……」「やりよるな」など、驚きはしながらも比較的冷静な声が多いように見受けられた。
Switch 2は発売が6月5日とまだ2カ月も先で、本体には256GBのストレージを標準で搭載している。また現行Switchではセーブデータのみ残してゲームを本体から削除できるなど柔軟に対応できることもあってか、よほどのヘビーユーザーでなければ外部メモリーが入手できなくても当面は困らないとみているのかもしれない。
「Switch 2」で“唯一対応していないソフト”が話題 「お前かよ」「さすがに笑ってしまった」
任天堂の新ゲーム機「Nintendo Switch 2」の新情報が4月2日に発表されました。“旧機種「Nintendo Switch」のソフトも遊べる”と発表された中、同機種で“唯一対応していないソフト”が話題になっています。
唯一対応していないソフト
2017年発売のNintendo Switchの後継機種となる同ゲーム機は、6月5日に発売予定(価格は日本語・国内専用版が4万9980円)。専用ソフトも発売されますが、Switchのソフトも遊べる仕様になっています。
ところが、任天堂の公式サイトの「Nintendo Switch 2とNintendo Switchの互換性について」というページに「Nintendo Switch 2 で対応していないタイトルは以下の1タイトルです」と掲載され、唯一対応していないソフトが紹介されました。
対応していないソフトは2019年に発売された任天堂の「Toy-Con 4: VR Kit」で、理由として「Nintendo Switch 2 の本体サイズが付属の段ボールキットに合わない」と説明されています。
同ゲームはダンボールを組み立て、Switchと合体させて体感ゲームが楽しめる「Nintendo Labo」シリーズの第4弾です。
SNS上では「Switchソフト全対応って訳じゃないのかって思いつつ見たら流石に笑ってしまった」「物理には対応できずだったか……」「リングフィットなのかなあと思ってたけどそっちかーーーい」「お前かよ」「むしろ1つだけなのすっげーな!」などの声が寄せられています。
任天堂スイッチ2:何が「発表されなかった」か?
4月2日に配信された「Nintendo Direct」では、新製品「Nintendo Switch 2」に関する多くの新情報が公開されただけでなく、期待できる新作ゲームに関する詳細もいろいろと明らかになった。オープンワールド型の新しい「マリオカート ワールド」や、Switch独占となるフロム・ソフトウェアの新作「The Duskbloods」など、わくわくする発表が盛りだくさんだった。しかし1時間にわたる配信の中で任天堂が触れなかったことも多く、疑問が残った。
任天堂が今回明かさなかった主なポイントは以下の通りだ。
新作のスーパーマリオがなかった
2017年に発売された「スーパーマリオ オデッセイ」は、カラフルなオープンワールドや帽子を投げる斬新なゲームプレイでファンや評論家から高く評価された。初代Switchのローンチタイトルではなかったが、約6カ月しか置かずに登場した。
任天堂は今回、発売予定の「ドンキーコング バナンザ」のゲームプレイを披露したものの、新たなメインタイトルのスーパーマリオはなかった。もちろん、マリオは任天堂が多くの力を注いだであろう新作「マリオカート ワールド」の映像にしっかり登場していたが、「オデッセイ」のような楽しいゲームプレイを待ち望んでいるわれわれファンには少し物足りなかった。
新作のゼルダがなかった
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」は2023年にリリースされたばかりで、新たなメインシリーズをすぐに出すのは難しいかもしれない。しかし「ティアーズ オブ ザ キングダム」はマップやゲームエンジンの多くを「ブレス オブ ザ ワイルド」と共有していたため、完全新作というよりは「ブレス オブ ザ ワイルドの1.5作目」という印象があった。だからこそ、新しいゼルダ作品の予告映像くらいはあるだろうと期待していた。
しかし、今回お披露目されたのはSwitch 2用に最適化された「ブレス オブ ザ ワイルド」と「ティアーズ オブ ザ キングダム」、そして「ゼルダ無双 封印戦記」だけだった。
新作のどうぶつの森がなかった
「あつまれ どうぶつの森」は2020年3月の発売直後から世界的な大ヒットとなった。おそらくその理由の大部分はパンデミックによる在宅需要だ。多くの人が外出を控えてSwitchを手にし、あの穏やかな島での生活を楽しんだ。Statistaによると発売初月のダウンロード販売数はコンソールゲーム史上最高を記録し、2024年11月時点で4600万本を超える販売を達成している。
これほど大きな数字を叩き出した以上、任天堂がすぐに新作を出さず、この成功をもう少し引っ張りたいと考えるのも不思議ではない。実際、「とびだせ どうぶつの森」から「あつまれ どうぶつの森」まで8年空いていたことを考えると、次回作は2028年あたりになるかもしれない。
一部の本体スペック情報がなかった
任天堂は新型コンソール内部の詳細については多くを語らなかった。7.9インチ、1080pのディスプレイや256GBの内部ストレージには言及したが、肝心のゲームを動かすプロセッサーやRAMについては語らなかった(編集部注:その後、公式サイトでNVIDIA製カスタムプロセッサーを搭載することを明らかにしている)。初代SwitchはNVIDIAのカスタムプロセッサーと4GBのDDR4 RAMを搭載しており、「ティアーズ オブ ザ キングダム」のような最近のゲームでは性能不足が感じられたのも事実だ。Switch 2は4K/60fpsでのゲームプレイが可能とされているので、プロセッサーやGPU、RAMなどが大幅に強化されているのは間違いない。おそらくオクタコアのチップと高速なDDR5のRAMが採用されているのではないだろうか。
本体やJoy-Conのカラーバリエーションがなかった
Nintendo Switchは「Xbox」や「PlayStation」などの競合機と比べてポップでファミリー向けのデザインを持ち味としてきた。初期の青と赤のJoy-Conは象徴的な組み合わせとなり、さまざまな色の公式Joy-Conも発売された。「Switch Lite」にも複数のカラーオプションが用意された。
しかし今回のSwitch 2は、よりシックな方向に寄っているようだ。本体はほぼ黒一色で、スティック周りやJoy-Conを取り外した部分にわずかな色が見える程度。新型の「Switch 2 Pro」コントローラーも、初代同様ブラックを基調としている。今後、ゲームのデザインをあしらった特別モデルや、より色鮮やかなバージョンが登場する可能性は高いが、発売初日に手に入るのは落ち着いた色合いのモデルだけになりそうだ。