ホンダの大黒柱「フィット」はなぜ苦戦中なのか? 答えは市場の変化と開発コンセプトの両方にある

ホンダの大黒柱「フィット」はなぜ苦戦中なのか? 答えは市場の変化と開発コンセプトの両方にある

月間販売目標の半分以下と販売苦戦中のフィット

ホンダのコンパクトカー「フィット」は、2001年の初代発売以来、国内市場で高い人気を誇ってきました。

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広い室内空間と使い勝手の良さを強みに、コンパクトカーのベンチマーク的存在として進化を続けています。

現行モデルは、2020年2月に登場した4代目です。発売1か月で累計受注3万1000台超を記録し、月販目標の3倍以上を達成するなど、好調なスタートを切りました。

特に、2モーター式ハイブリッド「e:HEV」搭載モデルが全受注の7割を占め、燃費性能の高さが支持されていました。

しかし、2025年2月の販売台数は4275台と、前年同月比で24.6%減少。発売当初の月間販売目標は1万台と強気でしたが、到底及ばない数字となっています。

競合車の「ヤリス」や「アクア」、「ノート」などが安定した販売を維持する中、フィットの販売は伸び悩んでいます。その背景にはどのような事情があるのでしょうか。

コンパクトカー市場の縮小も背景にはあるが…

ある業界関係者は、フィットの販売状況について次のように話します。

「フィットの販売が落ち込んでいる理由のひとつに、コンパクトカー自体の魅力が薄れてきていることが挙げられます。

近年はSUVの人気が高まり、コンパクトハッチバックを選ぶユーザーが減少しています。

また、軽自動車の進化によって、かつてコンパクトカーがもっていた“室内空間が広くて使い勝手が良い”という強みが薄れつつあります。

地方では軽自動車の利便性が評価され、都市部ではSUVのデザイン性が支持されるため、フィットのようなコンパクトハッチバックの立ち位置が曖昧になってきているのではないでしょうか」

SUVブームや軽自動車比率の増大によってコンパクトカーの市場自体が縮小傾向にあることが、フィットが苦戦している要因のひとつと考えられます。

一方、フィットの競合車種であるヤリスやアクア、ノートは、いずれもコンパクトハッチバックとしてまだまだ安定した販売を維持しています。フィット苦戦の理由として、ほかにはどんな要因が考えられるのでしょうか。

現行フィットでガラリと変わったデザインに賛否両論

フィット不振の理由としてしばしば指摘されるのが、デザインの変更が販売に影響を与えている可能性です。

「フィットは4代目になって、デザインが大きく変わりました。先代までのシャープでスポーティな印象から、柴犬がコンセプトという丸みを帯びた柔らかいデザインになり、賛否が分かれています。

特に、従来のフィットを支持していたユーザーの中には、『スポーティさが失われた』『先代の方がデザインが良かった』と感じる人も少なくないようです。

デザインの路線変更が、ユーザーの好みに合わなかった部分も大きいのではないでしょうか」

実際、フィットのデザインについては「かわいい」「親しみやすい」といった好意的な評価がある一方で、「のっぺりしていて特徴がない」「ホンダらしいスポーティさがなくなった」との否定的な意見も見られます。

初代や2代目のホンダらしいデザインを好んでいたユーザーにとって、現行モデルの方向性がフィットしなかった可能性があるのです。

2026年には次期型フィット登場の噂も

carview!に寄せられたユーザーレビューをみてみると、「万人ウケする見た目ではない」「ホンダらしさがなくなってしまった」という意見がある一方で、「嫌いではない」「乗っているうちに見慣れてきた」というコメントも見受けられ、やはりデザインに関しては賛否両論あるようです。

その他の不満点としては、「ナビの不具合が多い」「ディスプレイオーディオの操作性が悪い」といった電装系の不具合を指摘する意見もみられました。

一方、フィット現行モデルがユーザーから高く評価される点として、「コンパクトカーの中でトップクラスの取り回しやすさ」「広い室内空間」「シートの座り心地の良さ」などが挙げられています。

とくに細いフロントピラーや視覚的なノイズの少ないダッシュボードの設計によって、視界がワイドで運転しやすくなっている点は多くのユーザーから高い評価を受けています。

コンパクトカーの市場はSUVブームなどに押されつつあるものの、決して小さい市場ではありません。やや残念な結果に甘んじている現行モデルのデザインを踏まえて、来年にも登場すると言われる次期型は、ボディサイズの拡大や、スポーティ路線への回帰が行われそうといった予想も出ています。ホンダの大黒柱の今後の展開に、引き続き注目しましょう。

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