「ビジュアル吹き替え映画」が初公開に。言語の壁は“視覚的にも”解消されていく

「ビジュアル吹き替え映画」が初公開に。言語の壁は“視覚的にも”解消されていく

アメリカの映画館チェーンAMCシアターズが、映画業界にとって画期的とも言える技術を導入しました。外国語の映画を自国の言葉に吹き替えするさい、音声だけでなく“視覚的にも吹替”するというビジュアル・ダビングです。

今までの吹替では、どうしてもセリフと口の動きが完璧には合いませんが、AIリップシンク(音声と口の動きを合わせる技術)でぴたりと合わせられます。

「言葉の壁」が視覚的にも解消される、ということです。

スイス映画『Watch the Skies』でこの技術が採用され、プレミア公開されます。長編映画でビジュアル・ダビングが使用されるのは初めて。

ビジュアル・ダビング技術を開発、提供するのはAI企業のFlawless AIです。

ハリウッド進出に有利

ハリウッド有するアメリカでは、自国映画がたくさんあることで、外国語映画に触れる機会が他国よりも少ないと言われています。結果、字幕映画や吹替映画に馴染めず、苦手という人も少なくないのだとか(ただし、YouTubeや配信サービスの影響で、世界のコンテンツを字幕で見るハードルが下がってきてもいる)。

世界の映画業界、とくに予算が限られたインディーズ映画にとっては、ビジュアル・ダビング技術によって、アメリカという大規模映画市場でより多くの人にリーチするいいチャンスとなるかもしれません。

一方で、オリジナル版とは役者の演技まで変わってしまうのではないかという懸念や不安の声もあります。

俳優の仕事も奪わない

AI台頭において、自分たちの権利や仕事をまもるため、2023年、映画俳優組合 - アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が大規模ストライキを行いました。待遇改善やAI利用制限などに関して最終的に合意し、ストライキは終了しましたが、今回のAI生成はこの取り決めには反しないのでしょうか。

結論からいうと問題なし。

スイス映画オリジナルでは役者が演じています。英語版吹替でも、役者が演じて声をあてています。AIが生成しているのは、オリジナル役者の口(顔)の動きを、英語版役者の言い回しに合わせる部分のみ。ゆえに、役者の権利は侵害されていないのでOKという判断だそうです。

WATCH THE SKIES - World's first AI visual dubbed feature film

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏