米やパンも大変身! 血糖値を上げにくい炭水化物にする楽ワザとは、科学者が伝授

米やパンも大変身! 血糖値を上げにくい炭水化物にする楽ワザとは、科学者が伝授

食物繊維のように働き腸の健康も支える「難消化性でんぷん」

 炭水化物を多く含んだ昼食をとったあと、午後の半ばにふいにエネルギー切れを感じたり、白米やジャガイモを食べると、いつもより早くお腹がすくように感じたりすることはないだろうか。そうした現象には理由がある。

 白いパン、ジャガイモ、白米といったGI値(食後の血糖値の上昇度を示す指標)の高い炭水化物は、急速にブドウ糖(グルコース)に分解されて血糖値の急上昇を引き起こし、それが活力の急激な上昇とその後の急降下につながる。GI値が高い炭水化物を知っておけば血糖値のコントロールがしやすくなるが、ほかにも手がある。冷凍だ。

「米、パスタ、ジャガイモなどの食品は、調理してから冷凍し、その後に再加熱すると、でんぷんの構造が変化して難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)と呼ばれるものに変わります」と、米シカゴの登録栄養士でパーソナルトレーナーのヤー・ボアチエ氏は言う。

「これにより、食べたものがゆっくりと消化されるようになり、エネルギーレベルが安定して、血糖値の急激な変動を防ぎ、満腹感が長持ちするようになるのです」

 炭水化物を冷凍することに関する科学的な研究成果と、それが健康の向上や、食品廃棄の削減、食事の準備にどう役立つかを解説する。

「冷凍」のほかにも、難消化性でんぷんの利点と増やし方

 難消化性でんぷんとは、小腸で消化されにくいでんぷんのことだ。消化されなかった難消化性でんぷんは大腸へ進み、そこで健康的な食生活に欠かせない食物繊維に似た働きをする。通常の炭水化物はすぐに分解されてブドウ糖になる一方、難消化性でんぷんは、腸内で有益な細菌によって発酵される。

「難消化性でんぷんからはまた、炎症を抑えて腸の健康を支える酪酸などの短鎖脂肪酸が作られます」と、米ワイオミング州の認定栄養士ヤツェク・シマノフスキ氏は言う。

 2015年に学術誌「Journal of Functional Foods」に発表された研究では、ゆでた全粒小麦粉を凍らせると難消化性でんぷんが増え、加熱と冷凍のサイクルを7回繰り返すと8倍に増えたことが示された。

 また、凍るまで冷やさなくても難消化性でんぷんは増やせる。2015年に学術誌「Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition」に発表された研究は、炊いた白米を4℃(冷蔵庫)で24時間冷やして再加熱すると難消化性でんぷんが2.5倍に増えることを示した。

 さらに、2024年に学術誌「Frontiers in Nutrition」に掲載されたレビュー論文では、加熱のしかたによっても難消化性でんぷんが増やせることが示されている。

 同論文では、電子レンジの再加熱で米やジャガイモなどの難消化性でんぷんが増えるという研究や、小麦麺はゆでたり蒸したりするより電子レンジで調理した方が難消化性でんぷんが多くなるという研究など、さまざまな方法を紹介している。

炭水化物を冷凍すべき人は

 炭水化物を冷凍することで特に大きな恩恵を得るのは、血糖値を管理したい糖尿病の人や、体重を減らしたい人だ。難消化性でんぷんは満腹感をもたらすだけでなく、体内でエネルギーとなるブドウ糖がゆっくりと放出されるため、一日を通して活力レベルを一定に保つ助けとなる。

 また、食事を適切な分量に分けて冷凍すれば、食べる量の管理もしやすくなる。「食品の無駄をなくし、栄養価の高い食品をいつでも、すぐに利用できる状態に保っておけます」とシマノフスキ氏は言う。

 この方法をアスリートやフィットネス愛好者に勧めているのは、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の登録栄養士エイミー・アレクサンダー氏だ。

「炭水化物を冷凍すれば、手軽かつ科学的根拠に基づいた食事法を実践できます。このやり方は一般的な健康目標にも適しており、またエネルギーを長時間持続させられるため、スポーツのパフォーマンスにもよい影響があります」と氏は言う。

 食生活を変える際には、多少の慣れが必要になるものだが、難消化性でんぷんは極めて安全に摂取できる。

「難消化性でんぷんを問題なく消化できる人もいれば、摂取量を増やしたときに軽い膨満感を感じる人もいるでしょう」とボアチエ氏は言う。「不快感を最小限に抑えるには、少しずつ摂取量を増やし、タンパク質や健康的な脂質と組み合わせて消化をサポートするとよいでしょう」

上手な冷凍方法は

 調理した炭水化物を冷ます際には、調理済みの食品を室温で2時間以上放置しないよう、米食品医薬品局(FDA)は警告している。また、熱い食品をそのまま冷凍庫に直行させず、必ず冷ましてから入れることが、食品の安全性と品質の維持につながる。

「熱い食品を冷凍庫に直接入れると、庫内の温度が上がり、中にあるほかの食品が部分的に解けて再凍結されるといったことが起こります」とシマノフスキ氏は言う。「解凍と再凍結が繰り返されれば、細菌の繁殖や食感の劣化につながる恐れがあります」

 冷凍前に冷ましておくことにはまた、解凍時に食品がベチャベチャになったり、パサついたりする原因となる氷の結晶ができるのを防ぐ効果もある。

 調理後は食品を小分けにしておこう。外側だけが内側よりも先に冷めてしまうのを防ぎ、食品全体を素早く、均一に冷ますことができる。

 炭水化物は何であれ冷凍できるが、冷凍に向いている炭水化物がある一方でそうでないものもある。

「全粒粉のパン、炊いた米、トルティーヤは冷凍しても比較的よい状態を保ちますが、生パスタのような水分の多い食品は、水っぽくなることがあります」とボアチエ氏は言う。「最良の結果を得るには、密閉容器に保存し、食感が保たれるよう適切なやり方で再加熱することです」

 炭水化物の冷凍が健康にどのような恩恵をもたらすのかについてはまだ研究が進められている段階だが、これまでの結果は非常に有望だ。

「基本的な利点としては、冷凍は食品の無駄を防ぎ、食材をより長く新鮮に保つうえで役立つことが挙げられます」とボアチエ氏は言う。「しかしそれだけではなく、冷凍は炭水化物の食感や構造を変化させて、消化や活力レベル全体に影響を与えるのです」

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