生成AI(人工知能)を悪用して楽天モバイル不正接続、別の少年もプログラム提供受けて回線入手疑い…3・5万件のID使用か

楽天モバイル不正接続、別の少年もプログラム提供受けて回線入手疑い…3・5万件のID使用か

生成AI(人工知能)を悪用して作ったプログラムで「楽天モバイル」の通信回線を不正契約したとして、中高生3人が逮捕された事件で、3人側からプログラムの提供を受けて同様の手法で回線を不正に入手したとして、警視庁と神奈川県警が新たに住所不定の無職少年(17)を不正アクセス禁止法違反などの容疑で逮捕したことがわかった。SNSで購入した約3万5000件の楽天IDを使って不正接続したとみられる。

 少年は、同社が一つの楽天IDで最大15回線まで契約でき、追加契約に本人確認書類の提出が不要なことを調べた上で「楽天を狙った」と供述しているという。不正プログラムが、若者の間で広がっていく実態が浮き彫りになった。

 捜査関係者によると、少年は昨年4月、6人分のIDとパスワード(PW)を使って同社のシステムに不正接続し、このうち1人分のIDとPWで、4回線を契約した疑い。逮捕は今月19日。容疑を認め、不正に契約した約100回線を秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて、「1回線当たり80ドルで売却した」と話しているという。

 少年は、滋賀県米原市の中学3年の男子生徒(15)ら中高生3人(不正アクセス禁止法違反容疑などで逮捕)がテレグラム上で、同社の回線の購入を呼びかけているのを見て、同じ手口で回線を入手しようと計画。何らかの方法で3人側からプログラムの提供を受けた。

 提供されたプログラムは、中高生が開発した2種類のうち、IDとPWをシステムに機械的に入力するものだった。少年は、SNSで知り合った横浜市の高校2年の男子生徒(17)にプログラムを使わせ、回線を不正契約していたという。

 少年のパソコンなどからは、計約3万5000件に上る他人のIDとPWが見つかった。少年は「テレグラムを通じて、楽天のIDを購入した」と説明しており、警視庁などは不正接続に使っていたとみている。

 少年は、SNSで知り合った横浜市の中学3年の男子生徒(15)と共謀した、同社に対する別の不正アクセス事件で、今年2月26日に逮捕されていた。横浜市の中学3年生は昨年7月に不正アクセス禁止法違反容疑で東京地検に書類送検されており、同庁などは21日にも、同市の高校2年生を同容疑などで書類送検する方針。

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回線不正契約、容疑少年グループの自作プログラムでも…若者が犯罪ツール供給の実態浮かぶ

 携帯大手「楽天モバイル」のシステムに不正接続し、通信回線を契約したとして、住所不定の無職少年(17)が逮捕された事件で、回線契約には、生成AI(人工知能)を悪用したプログラムとは別に、仲間の中高生が自作したプログラムも使われていたことが、捜査関係者への取材でわかった。回線はSNSを通じて売却されており、未成年者が高度な技術を悪用して、犯罪ツールを供給している実態が浮かんだ。

 警視庁は21日、少年を不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺容疑で逮捕したと発表し、横浜市の高校2年の男子生徒(17)を両容疑で東京地検に書類送検した。

 発表によると、2人は共謀して昨年4月、6人分の楽天IDとパスワード(PW)で、同社のシステムに不正ログインし、4回線を契約した疑い。いずれも容疑を認めているという。

 捜査関係者への取材で、事件の詳しい経緯が明らかになってきた。少年は2023年12月頃、警視庁が先月逮捕した滋賀県米原市の中学3年の男子生徒(15)ら3人が、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」上で、他人の楽天の回線を販売しているのを見つけた。

 少年は、同様に回線を入手して販売することを計画。SNSで知り合った横浜市の中学3年の男子生徒(15)(不正アクセス禁止法違反容疑で書類送検)に、回線を入手するプログラムの作成を依頼した。

 中学生は専門知識があり、他人のIDとPWを同社のシステムに機械的に入力するプログラムを自作し、昨年1月に運用を始めた。

 ところが、警視庁の捜査の過程で中学生のパソコンが押収されたため、少年は横浜市の高校生に計画への参画を依頼。米原市の中学生側から、何らかの方法で生成AIのプログラムの提供を受け、楽天モバイルへの不正アクセスを継続したとみられる。

 横浜市の高校生はこれとは別に、回線契約を自動で行うプログラムを自作していたという。これらに使われたIDとPWは、少年がテレグラム上で「楽天IDを売ってほしい」と呼びかけて購入していた。

 少年らの端末からは計約3万5000件の楽天IDが見つかった。警視庁は、少年らが複数のプログラムを使い、不正契約を実行していたとみている。

 少年は、楽天モバイルが一つの楽天IDで最大15回線まで契約でき、追加契約に本人確認書類の提出が不要なことを調べて、「楽天を狙った」と供述している。警視庁幹部は「特定企業の対策の脆弱(ぜいじゃく)性がSNSで拡散されており、大きな脅威だ」と語った。

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楽天モバイルは「不正請求」の温床か 被害者は「不誠実な対応」に怒り、「泣き寝入り」も

 2月下旬、警視庁は楽天モバイルの通信回線を不正に契約したとして中高生3人の逮捕を公表した。専門家は、楽天モバイル社の「セキュリティーの低さ」を突いた犯行と指摘する。業界では、同社の不正契約対策は以前から問題視されてきたという。

■楽天モバイル狙いに「やっぱり」

 最近、回線不正契約による被害に遭った楽天モバイルのユーザーのトモコさん(東京在住)は、中高生による事件を知ったとき、「やっぱり」と思った。

「こういう犯罪の標的になるということ自体、楽天モバイル社のシステムが脆弱なのだと思います」(トモコさん)

 読売新聞などによると、逮捕された中高生3人は昨年5月から8月にかけて、秘匿性の高い通信アプリ上で購入した11人分の楽天モバイルのID、パスワードを用いて、不正にログインし、105件の回線契約をした疑いがある。指示役の中学生は「各社の契約条件などを調べ、本人確認の甘い楽天モバイルを狙った」と、捜査員に話しているという。

■問い合わせに4時間、「お客様の落ち度です」

 トモコさんが通信回線の不正契約に気づいたのは今年1月中旬だった。携帯電話代の請求金額を知らせるメールを開くと、画面に目がくぎづけになった。普段の20倍ちかい金額が表示された。

「『何か変な操作をしたのかな』と思った」(トモコさん)

 インターネット上の会員サポートサービス「my 楽天モバイル」を確認すると、2カ月にわたって高額請求をされていた。内訳と契約回線を見て、さらに驚いた。

「身に覚えのない電話番号がずらりと表示された。『不正請求だな』と、直感しました」(同)

 楽天モバイルの問い合わせ窓口に相談しようとしたが、チャットも電話もなかなかつながらない。相談までにそれぞれ1~2時間、計4時間近くを費やした。

 ようやくオペレーターにつながると、「my 楽天モバイル」のIDやパスワードを変更し、楽天モバイルの決済で使用しているクレジットカード会社にも調査を依頼するよう告げられた。また、楽モ社側は不正請求か否かを判断することができないという。「同社も被害者である」と告げられ、遠回しに、「楽天IDとパスワードの管理が甘いのが原因。お客様の落ち度です」という趣旨のことを言われ、ショックを受けた。

■不正請求の訴えいくつも

 相談窓口の指摘を受けて、楽天モバイル以外の楽天サービスやほかの請求書をすべて調べたが、IDやパスワードの漏洩らしきアクセスや、不審な請求は見あたらなかった。

 SNSを検索すると、トモコさんと同様な目に遭い、「複数回線を契約され、不正請求された」という内容の投稿をいくつも見つけた。返金されなかったという書き込みも見た。

<楽天モバイルで身に覚えのない契約が勝手にされていました。8回線。店舗に行ってもダメ。AIチャット、専用回線、いつもつながりません>

<不正契約されて自腹で負担になった。さすがに納得できない>

「楽天モバイルの相談窓口に『同様の被害はほかにもあるのでは』と尋ねたところ、『あります』と、言っていました」(同)

 クレジットカード会社に調査を依頼した際も、楽天モバイルに関して同様の相談があるか尋ねると、「ある」と言われたという。

■いまだ返金されず

 なぜ、楽天モバイルの回線で不正契約が繰り返されるのか。同社のシステムに欠陥があるのではないか。楽天モバイルの相談窓口に尋ねたが、「わかりかねます」と言う。

 トモコさんはクレジットカード会社の規定に沿って、カード番号を変更した。いくつもの支払い先に連絡して、番号の変更手続きを行った。

 楽天モバイルによると、カード会社が不正利用を確認し、悪用が確定した場合、支払い済みの請求はカード会社から返金されるという。しかし、トモコさんはまだ金を受け取っていない(3月中旬時点)。カード会社に問い合わせると、「楽天モバイルからの返事待ち」だという。

 トモコさんが腑に落ちないのは、楽モ社から「次回以降、同様のお問い合わせをいただいた場合には対応ができかねます」と告げられたことだ。

「楽天モバイル社のシステムが脆弱なゆえのトラブルだと思っています。同様のことが起こる恐れがあるのに、1回の対応に限る理由がわからない。不誠実の極みじゃないでしょうか」(同)

■「問題があるのでは」とライバル社

 同一名義での大量不正契約をされた携帯電話は特殊詐欺などの犯罪で使用されてきた。そのため、警察庁や電気通信事業者協会は、「原則として」、個人による契約回線数を5回線までに制限してきた。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの契約数は5回線までで、追加契約には本人確認が必要だ。一方、楽天モバイルは1つの楽天IDで最大15回線まで契約可能で、追加契約には本人確認書類の提出は不要となっている。逮捕された中高生はこの脆弱性に目をつけ、回線を不正に契約したとみられる。なぜ、楽天モバイルでは他社に比べて回線数の上限が2倍以上多く、本人確認も甘いのか。スマホジャーナリストの石川温さんは、こう語る。

「楽天モバイルは新規参入の会社なので、他社スマホからの乗り換えに特に力を入れ、とにかく契約者数を増やそうとしています。そのため、回線数の上限も本人確認も緩和したいのでしょう」

 楽天グループの三木谷浩史・会長兼社長は「乗り換えの手間が煩雑」だとして、本人確認の簡略化に力を入れてきた。

 楽天モバイルは2023年7月、楽天カードの所有者に対して、本人確認書類の提出が不要な「Rakuten最強プラン(データタイプ)」の提供を開始した。

 これに対して、ソフトバンクの宮川潤一社長は、次のように述べている。

「ちょっと問題があるのではないか。本人確認については犯罪防止の観点から非常に重要だと理解している」(24年8月4日の決算発表で)

 楽天モバイルの音声通話の契約についても、楽天銀行、楽天証券、楽天生命に提出しているいずれかの本人確認情報を「Rakuten最強プラン」申し込み時の本人確認に使用することが可能となっている。

■不正契約発覚は氷山の一角か

 2年前、三木谷氏が「本人確認をしないで他社から乗り換えられる仕組みを導入する」と発言したとき、「そんなことをして大丈夫なのか。業界内では懸念された」と石川さんは言う。

「結局、楽天モバイルが本人確認書類の提出が不要なプランを導入すると、回線が不正契約される事案が発生し、同社は注意をうながすようになった。やっぱり、そうなるよな、と思いました」(石川さん)

 楽天モバイルは不正を検知するモニタリングを24時間365日実施しており、不正に契約された回線を検知した場合、パスワードのリセット、契約者への通知、回線の利用停止、契約解除などの対応を随時行っているという。

「今回の不正契約について、通知は一切なく、こちらから問い合わせて発覚した。不正契約に気づいていないユーザーは相当数いるのではないか」と、先のトモコさんは怪しむ。

■楽天モバイルの回答は

 記者は楽天モバイル社に次の質問を送付した。(1)スマホの不正契約の相談はどのくらい寄せられているのか。(2)警察庁の「上限5回線」の要請にもかかわらず、なぜ契約回線の上限を15回線に設定しているのか。(3)追加契約には本人確認書類の提出が不要なことや、本人確認書類の提出が不要なプランの提供は、犯罪防止の観点から問題ではないか。(4)不正契約があっても、契約者にそれが通知されない事案が最近あった。不正を検知するモニタリングは機能しているのか。(5)不正契約への問い合わせは1回だけしか対応しないのはなぜか――。

 これに対して楽モ社は以下のように、回答した。

 (1)回線不正契約の相談については、「個別に対応しておりますので、詳細の回答は控えさせていただきます」。(2)契約回線の上限を15回線にした理由は、「お客様の様々なニーズに対応するため」。(3)(4)については、「今後も不正検知のためのモニタリングや不正防止のための仕組みの強化など、継続的かつ多岐にわたる対策に徹底して取り組んでまいります」などとし、実のある回答は得られなかった。

 (5)については、「被害に遭われたお客様には、基本的に1回まで救済措置についてご説明させていただいておりますが、再度被害に遭われた場合などは個別に状況を確認させていただいたうえで、柔軟に対応させていただいております」。

 スマホの回線はいまや社会インフラだ。それが第三者に契約され、長期にわたり不正請求の温床になっているとしたら、由々しき事態だ。楽天モバイル社の倫理観が問われている。

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