Siriの新機能搭載に遅れ…アップルはかつて先行していた競争で今は追いつこうと奮闘している
アップルは2011年にSiriを発表し、デジタルアシスタントを業界に先駆けてリリースした。だが、現在のアップルはその先行者利益を活かすのに苦労している。Siriのアップグレードの遅れが続いており、AIアシスタントが注目される今、アップルは遅れを取っている
それは2011年のことだった。当時の最新のiPhoneは4sで、アップル(Apple)は、世界に1年以上にわたり準備を進めてきた画期的な技術を紹介する準備を整えていた。その技術とは、Siri(シリ)である。
アップルがSiriを買収した金額は公開されていないが、この「インテリジェントアシスタント」によって、アップルはスマートフォンユーザーにポケットの中に入るAI音声アシスタントがどれほど役立つのかを示す最初の企業となった。
2025年、アップルのSiriに対する期待は不透明なものになっている。ChatGPTの時代に先行するはずだったアップルの音声アシスタントは、競合他社のより強力なAIアシスタントの集団に追いつくのに苦しんでいる。
言い換えれば、アップルはもともと先頭を走っていたはずのレースで遅れを取ってしまっているということだ。
Siriは遅れが生じている
3月初め、アップルは2024年6月のワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンス(WWDC)で初めて発表されたSiriの生成AI機能の導入が遅れることを認めた。これは、アップルがすでに発表した製品について明確なリリース日を提示できなくなった珍しい事例だ。
アップルの広報担当者、ジャクリーン・ロイ(Jacqueline Roy)は、「Siriを『より自然で、より文脈に適した、より個人的な』体験に変えるようなアップグレードされた機能を提供するには、予想以上に時間がかかる」と非公式のアップルについてのブログ「ダーリン・ファイアボール(Daring Fireball)」に語っている。
これらによって、アップルはあるいくつかの困惑を招いている。過去数カ月で発売された新しいデバイスの数々、例えばiPhone、iPad、Macなどのマーケティングキャンペーンでは、これらがApple Intelligence(アップルインテリジェンス)と連携していることが繰り返し強調されているが、Siriはその基本的な部分を担っている。
このことから、アップルが2024年9月の広告を非公開にした理由が理解できる。その広告では俳優のベラ・ラムジー(Bella Ramsey)がまだ存在しないSiriの機能を使用する場面が撮映されたが、現在その広告は同社のYouTubeチャンネルで非公開になっている。
「遅れていることは十分に理解できる」と、エンダーズ・アナリシス(Enders Analysis)のアナリストであるヘイミッシュ・ロー(Hamish Low)はBusiness Insiderに語った。
「アップルはApple Intelligenceで明らかに先走りしすぎて、期待外れの機能やぎこちないマーケティングキャンペーン、低調な消費者需要という結果に終わった。アップルは最終的に守りの立場に入っていて、AI競争で得るものよりも失うものの方がはるかに多くなっている」
ライバルがSiriを超えていく
アップルは、「2026年中に機能を提供する予定だ」と述べているが、かつて自社の未来をかけていたとも言えるApple Intelligensのアップグレードの遅れは、ライバルのサービスが好調に成長している中で、Siriがいかに大きな問題を抱えているかを示している。