JA全農の“備蓄米”表記せず販売要請に消費者困惑 米の価格は?専門家「4月中旬以降に5キロ3800円くらいに安く」
先週入札が行われた備蓄米ですが、政府から集荷業者への引き渡しが18日から始まりました。
流通の混乱を防ぐということで、備蓄米ということは表示されないそうですが、一般に流通している米と区別してほしいという消費者や業者の声が聞かれます。
なぜ備蓄米と表示されないのか、米の価格は下がるのか?
取材しました。
18日から本格的に始まった、政府から集荷業者への引き渡し。
そんな中、JA全農が卸業者に対し、備蓄米と表記しないように求めたことに対し、消費者から困惑の声が。
18日から牛丼や定食など、約5割のメニューを値上げした牛丼チェーンのすき家。
背景にあるのは、米や牛肉の価格高騰。
牛丼並盛は30円アップして480円になりました。
すき家の値上げは2024年4月と11月にも行われていて、2024年度3度目です。
店に訪れていた客は、「仕事している場所が近いので、時間がないときは『すき家』一択。(値上げしても)他がもっと値上がりしているから、たまには来る」「(価格が)上がるとちょっとためらって、買うかやめようかと思う。物価がみんな上がっているから、牛丼だけじゃない」などと話しました。
全国のスーパーでの米の平均価格は、3月9日までの1週間で5kg当たり4077円。
初めて4000円台を突破しました。
こうした中、始まった備蓄米の引き渡し。
流通の目詰まりによる政府備蓄米の放出は、今回が初めてとなります。
備蓄米は3月中にもスーパーなどの店頭に並ぶ見通し。
JA全農では、落札金額に必要経費だけを加えた額で販売するとしています。
その一方、同じタイミングで卸業者に対して行った要請に波紋が。
スーパーなどで販売する際に“備蓄米”と表記しないでほしいというのです。
この要請についてスーパーで聞いてみると、「備蓄米とわかった上でこっちも買いたい。通常並んでいるお米よりも価格が下がると認識しているので。備蓄米であれば表記してもらって、こちらも判断して買いたい」「(表記の有無より)金額が安いのがあればそれでいい。消費者は安い方買うと思う。どういうふうに書かれていようが」といった声が聞かれました。
“備蓄米”とあえて表記しない理由について、JA全農は「買う人が取り合いになり、消費者や流通が混乱することを避けるため」と説明。
では、私たちに選択肢はないのでしょうか。
米の流通に詳しい専門家は、店頭で備蓄米かどうかを見分ける方法があるといいます。
農業ジャーナリスト・松平尚也氏:
今までは単一の種類のコメの銘柄やどこの産地か明示されていたが、(備蓄米などを混ぜた)ブレンド米が販売されることになる。気にしていただければ分かる。
気になるのは米の価格ですが、農業ジャーナリストの松平氏は「4月中旬以降、今5kg4000円の米が3800円ぐらいに安くなると思う。5月に入って段階的に値が下がり、3600円ぐらいまで下がるのでは」と指摘します。
JA全農が要請している非表記について、農水省は「備蓄米の表示は各事業者に委ねる」という姿勢です。
果たして、米の価格高騰の歯止めになるのでしょうか。
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